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- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
透過電子顕微鏡、温度計測、熱輸送評価、導電性評価、電磁場評価
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
日本顕微鏡学会, 日本金属学会
受賞履歴
- 日本顕微鏡学会 第20回「奨励賞」(顕微法基礎部門) (2019)
- Asian Association of Thermoelectrics 【The AAT Poster Prize 2018】 (2018)
- 第62回 日本金属学会金属組織写真賞透過電子顕微鏡部門 「奨励賞」 (2012)
- 第58回 日本金属学会論文賞「組織部門」 (2010)
- 第56回 日本金属学会論文賞「まてりあ論文部門」 (2008)
- 第55回 日本金属学会論文賞「工業材料部門」 (2007)
- 青葉工学振興会 及川研究奨励賞 (2007)
- 第54回 日本金属学会論文賞「若手講演論文」 (2006)
外部資金獲得履歴
- ナノスケール動的ステレオ熱輸送評価法の開発についての研究 (2024)
- パルス電子線を用いた先端材料におけるナノ熱輸送評価についての研究 (2022)
- 熱デバイス評価に向けたTEMによる高速ナノ熱輸送計測法の開発について の研究 (2020)
- TEMを利用したナノスケール定常熱伝導評価手法の開発とその応用につい ての研究 (2014)
- ナノチューブ探針による高精度TEM内局所電気計測手法の開発と微細配線評価への応用 (2011)
マテリアル基盤研究センター
パルス電子線を利用したTEM内ナノスケール熱輸送計測法の開発とその応用
透過電子顕微鏡,温度計測,熱伝導率,パルス電子線,温度波,熱電対,熱拡散率,その場観察,TEM,STEM
概要
透過電子顕微鏡(TEM)および走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて、材料の微細構造と熱輸送特性との関係をナノスケールで明らかにする研究に取り組んでいます。特に、電子線を局所的な熱源として利用し、試料中を伝わる微小な温度変化をナノ熱電対によって検出する「STEM熱解析顕微法(STAM)」およびパルス電子線を用いた「p-STAM」の開発を進めています。
本手法により、従来の電子顕微鏡観察では得ることが難しかった、結晶粒界、異相界面、欠陥、ナノ構造などにおける熱の伝わり方を、材料の組織と対応させて評価することを目指しています。これまでに、サファイアなどのモデル材料を用いた計測原理の検証に加え、熱電材料やセラミックスを対象として、熱伝導の異方性、結晶粒界によるフォノン散乱、界面熱抵抗などの解析を行ってきました。
また、試料内部で生じる熱輸送現象を電子顕微鏡内でその場計測するための装置、試料ホルダー、信号検出・解析技術の開発にも取り組んでいます。電子顕微鏡による構造・組成解析とナノスケール熱計測を融合することで、半導体、熱電変換材料、セラミックス、機能性材料などにおける熱輸送機構を解明し、高効率な熱制御材料やデバイスの設計指針を提供することを目指しています。
新規性・独創性
● 電子顕微鏡内でナノスケールの熱輸送を直接評価する新しい計測概念
● 集束電子線を局所熱源として利用
● 独自開発のナノ熱電対とロックイン検出を組み合わせた高感度温度計測
● 微細構造情報と熱輸送情報を同一領域で対応付けて解析
● その場熱輸送解析への展開
内容
本研究では、走査透過電子顕微鏡(STEM)内で材料の熱輸送特性をナノスケールで評価する独自の計測技術「STEM-based Thermal Analytical Microscopy(STAM)」の開発を進めています。従来のSTAM法では、収束電子線を局所熱源として試料を加熱し、試料に接触させた独自のナノ熱電対によって温度変化を検出します。電子線の照射位置を走査しながら熱電対の温度応答を記録することで、定常熱伝導状態における熱の伝わり方をSTAM像として可視化できます。
例えば、高熱伝導性フィラーを低熱伝導性樹脂中に分散させた放熱用複合材料では、フィラー、樹脂および両者の界面を通る熱輸送経路を、電子顕微鏡像と対応付けて解析することが可能です。これにより、材料の微細構造、組成、結晶粒界、異相界面などが局所的な熱輸送に及ぼす影響を、同一試料・同一観察領域で評価できます。
一方、従来のSTAM法では、電子線照射によって試料に入力される熱量が、試料厚さ、組成、密度および加速電圧などに依存するため、定量的な熱物性評価には電子線による発熱量を考慮した解析が必要でした。そこで現在は、静電シャッターを備えたElectrostatic Dose Modulatorを透過電子顕微鏡に導入し、電子線を任意の周波数でパルス化することにより、TEM試料中に周期的な温度波を発生させる「パルスSTAM(p-STAM)」法の開発を進めています。
p-STAM法では、パルス電子線によって発生した微小な温度変化をナノ熱電対で検出し、ロックインアンプを用いて温度波の振幅および位相を高感度に測定します。特に、温度波の位相変化は入力熱量の絶対値に直接依存しにくいため、電子線加熱量の不確かさの影響を低減しながら、TEM薄膜試料の熱拡散率を定量的に評価できます。
これまでに、サファイアなどのモデル材料を用いて測定原理を検証するとともに、セラミックス、熱電材料、金属および複合材料を対象として、熱拡散率、熱伝導の結晶方位依存性、結晶粒界における熱輸送の変化、異相界面の熱抵抗などの評価を進めています。また、HAADF-STEM観察、電子回折および元素分析と組み合わせることで、局所的な構造・組成と熱輸送特性との相関を解析できる点も、本手法の大きな特徴です。
本研究では、電子顕微鏡による高空間分解能の構造・組成解析と、温度波を利用した定量的な熱物性計測を融合することにより、半導体、熱電変換材料、セラミックス、放熱用複合材料などにおけるナノスケール熱輸送機構を明らかにし、高効率な熱制御材料およびデバイスの設計指針を提供することを目指しています。
まとめ
走査透過電子顕微鏡内で、収束電子線を局所熱源、ナノ熱電対を温度センサーとして用いる独自の熱輸送計測法「STAM」を開発しています。さらに、電子線をパルス化して発生させた温度波の位相と振幅を計測する「p-STAM」により、TEM試料の熱拡散率や界面熱抵抗の定量評価を進めています。電子顕微鏡による構造・組成解析とナノスケール熱計測を融合し、半導体、熱電材料、セラミックス、複合材料などの熱輸送機構の解明を目指しています。



