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マテリアル基盤研究センター
タイトル

LaB6 ナノワイヤ冷電界放出による新世代電子顕微鏡

キーワード

六硼化ランタン,ナノテクノロジー,電子源,冷電界放出,電子顕微鏡,走査型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡,半導体検測

概要

冷陰極電界放出(CFE)は、最も輝度が高く、かつ単色性に優れた電子ビームを生成します。こうした電子ビームは、材料研究、創薬、半導体製造といった分野の電子顕微鏡用途において強く求められています。しかし、従来の超高真空(UHV)環境下では放出の不安定さや低い電流角密度といった課題があり、CFEの広範な利用は長らく妨げられてきました。そこで我々は、従来の電子放出源の100億分の1というサイズのLaB6(六ホウ化ランタン)ナノワイヤを開発しました。低い仕事関数とナノメートルサイズの組み合わせにより、従来の電子源と比較して100倍の輝度と10倍の安定性を実現しました。現在、LaB6ナノワイヤを用いたCFEは、卓上型SEMから原子分解能を持つ収差補正TEM、さらには半導体検査装置に至るまで、幅広い用途で活用されています。

新規性・独創性

  1. 六ホウ化ランタンナノワイヤは、欠陥や不純物を含まない単結晶として合成されます。
  2. 単一ナノワイヤ・エミッタを高速かつ高品質に組み立てるためのナノマニピュレーション技術を開発しました。
  3. このLaB6ナノワイヤ・エミッタは、エネルギー幅0.2 eVの電子ビームを生成しました。
  4. その輝度は、最先端のタングステン単結晶冷陰極電界放出(CFE)エミッタの100倍に達します。
  5. 1×10⁻⁷ Paという真空度(タングステンCFEで必要とされる真空度より1000倍高い圧力)において、放出電流の減衰は見られず、プローブ電流のノイズも1%未満に抑えられています。
  6. 高密度な電子放出を得るために必要な引き出し電圧は200 V未満です(タングステンの場合は約3000 V)。

内容

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まず、触媒を担持した基板上で化学気相成長法を用い、大量のLaB6ナノワイヤを合成しました。(A) ナノマニピュレーション技術を用いて単一のナノワイヤを採取し、ナノワイヤ電子放出源へと組み立てました。(B) 特殊な電界蒸発法を用いてナノワイヤ先端に清浄かつLa原子で終端された表面を形成し、安定した高輝度電子放出を可能にしました。(C) こうして作製した放出源を市販の電子顕微鏡に組み込み、エネルギー分解能と空間分解能の双方を向上させました。(D) このナノワイヤ電子放出源を用いることで、EELS(電子エネルギー損失分光)のゼロロス・ピークにおいて0.2 eVのエネルギー幅を、またSTEM(走査透過型電子顕微鏡)において単一原子分解能を実証しました。(E)

まとめ

近年、材料研究や半導体製造の分野では、いずれも1nmレベルの精度が求められるようになっています。こうした中、「産業の目」である高分解能電子顕微鏡への需要がますます高まっています。LaB6(六ホウ化ランタン)ナノワイヤエミッターが持つ高輝度、単色性、そして優れた耐久性は、既存の電子顕微鏡の分解能を向上させるだけでなく、より小型で低コスト、かつ高速な分析が可能な次世代電子顕微鏡の実現にもつながるものです。

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