SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

低温物性、表面科学、走査トンネル顕微鏡

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

会議録

所属学会

日本物理学会, 日本表面真空学会

受賞履歴

  • 2019年度 日本表面真空学会 講演奨励賞(若手研究者部門) (2020)
  • MANA International Symposium 2017 Excellent Poster Presentation Award (2017)
  • 日本表面科学会 第13回 会誌賞 (2016)
  • MANA International Symposium 2016 Excellent Poster Presentation Award (2016)
  • 第34回表面科学学術講演会 講演奨励賞(新進研究者部門) (2015)
  • 2nd International Symposium on the Functionality of Organized Nanostructures 2014 (FON'14) Excellent Poster Award (2014)
  • The 7th International Symposium on Surface Science (ISSS-7) Best Poster Award (2014)

外部資金獲得履歴

  • 科研費 基盤研究(B): 空間反転対称性の破れた原子層超伝導体におけるパリティ混成クーパー対の検出 (2021)
  • 科研費 挑戦的研究(萌芽): 走査トンネル顕微鏡を使った分子操作によるフラットバンドエンジニアリング (2021)
  • 村田学術振興財団: 原子層量子デバイスに向けた人工格子作製 (2020)
  • 科研費 新学術 公募研究: 幾何学的位相解析によるフェイゾンイメージング (2020)
  • 住友電工グループ社会貢献基金: 表面原子層物質のキャッピング技術の開発 (2019)
  • 科研費 基盤研究(B):時空間反転対称性の破れた超伝導状態の実空間分光測定 (2018)
  • 科研費 挑戦的研究(萌芽):高速分光イメージングに向けたノイズキャンセリングSTMの開発 (2018)
  • ATI研究助成:有機分子自己組織化膜における二次元超伝導 (2017)
  • 科研費 若手研究(B):表面合金原子層におけるラシュバ超伝導体の探索 (2016)
マテリアル基盤研究センター
タイトル

極低温走査型トンネル顕微鏡による量子材料研究

キーワード

量子材料,走査型トンネル顕微鏡(STM),極低温,高磁場,計測技術,解析技術

概要

既存材料で実現不可能な新しい機能の探索と将来的な量子デバイスへの応用を見据え、量子材料の研究が世界的に推進されている。超伝導現象をはじめとして多くの量子現象は極低温で顕著になるので、量子材料研究には極低温における電子状態の解明が不可欠である。とくに物質表面の電子状態を原子空間分解能で可視化できる走査型トンネル顕微鏡(STM)への期待は大きい。われわれはNIMSの有する高性能極低温STMを駆使し、独自の測定・解析技術を開発しながら、様々な量子材料の電子状態計測と新奇現象探索に取り組んでいる。

新規性・独創性

温度 0.4 K、磁場 16 T の極限環境での測定が可能な STM システム
STM を使って精度の良いデータを得るための測定技術開発
STM データから埋もれた情報を抽出するための解析手法の開発

内容

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遷移金属ダイカルコゲナイド NbSe2 は層状構造を持つ2次元性の強い物質で、超伝導(転移温度約 7 K)と電荷密度波(結晶格子の3倍周期の電荷密度変調、転移温度約 30 K)という異なる秩序状態が共存する物質として知られる。最近この物質の電荷密度波状態がドメインを構成していることが報告されたが、その構造が未解明だった。われわれはSTMデータを元にそのドメイン構造を原子レベルで可視化する手法を提案し、2種類のドメインが作る特徴的なパターンを明らかにした。この研究は長周期構造を示す様々な量子材料の物性評価に活用できる可能性がある。

STM は原理的に振動に弱く、日本では地震が深刻な問題となる。一般に装置全体を防振台に乗せるといった振動対策は取られるが、地震の震度によっては減衰が十分でない場合も多い。そこで、気象庁が発表する緊急地震速報(「予報」と呼ばれる比較的規模の小さな地震に対しても発表されるもの)を受信して地震対策に利用した。「予報」に含まれる震源やマグニチュードなどの情報をもとに実験室における震度を推定し、その値に応じて自動で測定を中断し、安全な状態で地震動をやり過ごす仕組みを構築した。

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まとめ

遷移金属ダイカルコゲナイドの他にも鉄系超伝導体、トポロジカル絶縁体、熱電材料などで共同研究を進めており、極低温・高磁場を生かした測定で成果が出つつある。
ナノスケールで行う電子状態計測を物質開発にフィードバックすることで実用量子材料開発に貢献したい。
現状、超高真空中で成膜・清浄化できる物質か劈開により平坦な表面が得られる物質に測定対象が限定されているが、今後はより幅広い物質の測定にも取り組みたい。

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