SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

薄膜・表面界面物性

所属学会

応用物理学会, 日本表面真空学会, 日本物理学会

マテリアル基盤研究センター
タイトル

水素センサーの開発と吸着を経た吸蔵の理論モデル

キーワード

水素センサー,吸着と吸蔵,水素吸蔵膜,MSS

概要

クリーンなエネルギーキャリアとして水素利用が広がっており、安全な利用のため低コストな水素センサー開発も重要な研究課題となっている。我々は膜型表面応力センサー(MSS)と水素吸蔵膜を組み合わせた水素センサーを研究している。高感度かつ希少金属の省資源化も期待できる水素センサーを実現できた。

新規性・独創性

MSSを利用することで非常に高感度なセンサーの設計が可能
感応膜を非常に薄く設計でき、希少金属の利用を低減可能
吸着を経た吸蔵過程を使った速度論モデルで理論的で定量的な解釈が可能

内容

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水素が感応膜中へ吸蔵されると格子が広がることにより応力が発生する。その応力を膜型表面応力センサーにて感知する。水素の分圧により吸蔵膜の応力が異なることで、水素濃度に応じた信号を検知できる。感応膜をPdとした時の水素濃度0.2%(2000ppm)から4%(40000ppm)対する応答を図中のaに示す。Pdは水素吸蔵の際に飽和まで達する時間が非常に長いことが知られている物質であるが、この実験でも飽和まで90分程度は必要である。ところがこれを数値微分すると(図b)、100秒程度で最大値を示す。吸蔵速度に着目することで、吸蔵に時間がかかるPdでも判定時間の短縮が可能であることがわかる。また、感応膜をPdCuSiとした場合の結果が図cである。Pdが感応膜の場合と比較して、同一濃度の信号量は大きくなり、飽和までの時間は数秒となる。信号量が大きいために同じベースラインをとることができ、この場合は微分を使わずとも直接信号量参照値として利用できる。また、これらの水素の濃度と信号強度の関係については吸着を経た吸蔵過程を反応速度論モデルにより評価することで定量的に取り扱える。この理論は低濃度極限において水素吸蔵の際によく現れるジーベルツ則を含む理論となっている。

まとめ

膜型表面応力センサー(MSS)を応用することにより高感度な水素センサーとして利用可能であることを示した。環境温度など利用環境により感応膜を最適化する必要があり、今後の課題の一つである。一方でMSSは感応膜を自由に選ぶことができ、同時に多チャンネル測定も可能であることから、複数種のガスに対応するセンサー開発も可能である。信号値評価のための理論モデルも開発できた。

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