研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Takayoshi Oshima, Rie Togashi, Yuichi Oshima. Plasma-free anisotropic selective-area etching of β-Ga 2 O 3 using forming gas under atmospheric pressure. Science and Technology of Advanced Materials. 25 [1] (2024) 2378683 10.1080/14686996.2024.2378683 Open Access
- Takayoshi Oshima, Masataka Imura, Yuichi Oshima. Formation of GaN mesas with reverse-tapered edge structures on a lattice-matched AlInN layer for a positive beveled edge termination. Applied Physics Express. 17 [8] (2024) 086501 10.35848/1882-0786/ad64ba Open Access
- Takayoshi Oshima, Yuichi Oshima. Using selective-area growth and selective-area etching on (−102) β-Ga2O3 substrates to fabricate plasma-damage-free vertical fins and trenches. Applied Physics Letters. 124 [4] (2024) 042110 10.1063/5.0186319
口頭発表
- 大島 孝仁. プラズマを用いない酸化ガリウムの微細加工方法. 新技術説明会. 2024
- TAKANE, Hitoshi, OSHIMA, Takayoshi, HARADA, Takayuki, KANEKO, Kentaro, TANAKA, Katsuhisa. Lattice-matching epitaxy of rutile-type GexSn1−xO2 alloy films on TiO2 substrates for device applications. Compound Semiconductor Week 2024. 2024
- OSHIMA, Takayoshi, OSHIMA, Yuichi, Shinji Nakagomi. Structural characterization of homoepitaxial and NiO heteroepitaxial films, and selective-area-grown/-etched structures on (-102) β-Ga2O3 substrates. International Workshop on Gallium Oxide and Related Materials 2024 (IWGO2024). 2024
所属学会
応用物理学会
電子・光機能材料研究センター
酸化物パワー半導体の新しい構造制御
パワー半導体,酸化ガリウム,ルチル型酸化物,選択成長,選択エッチング,デバイス応用
概要
カーボンニュートラル実現のために、半導体分野では次世代パワー半導体による超低損失なパワーデバイスの実用化が求められている。その次世代パワー半導体の中でも研究開発の歴史が浅い酸化ガリウムやルチル型酸化物(酸化錫や酸化ゲルマニウム)は、先行する炭化ケイ素や窒化ガリウムと比較して、パワーデバイス応用を想定した場合の基礎物性に優れており、近年注目を集めている。本研究では、それら比較的新しい酸化物パワー半導体に対して、選択成長や選択エッチングを用いて、結晶の自発的なファセット形成を促し、デバイス性能向上に必要とされる構造制御に取り組んでいる。
新規性・独創性
● プラズマ非使用の構造形成技術
● 従来技術では作製不可能な高アスペクト構造形成
● プラズマダメージレス+高アスペクト構造を利用したデバイス作製
内容
本研究例として、酸化ガリウム半導体のプラズマ非使用加工と応用について説明する。この半導体は、n型単極性でありホモpn接合を形成できない。そのため、その単極性デバイスの性能向上には、フィンやトレンチなどの高アスペクト構造を形成して、微小領域で電界を制御する必要である。その微細構造形成においては、プラズマを利用したドライエッチングが用いられているが、高アスペクト構造の形成が困難であり、さらに反応性イオンによるダメージが加工表面に導入されるという欠点があった。本研究では、その課題を解決可能な新しい加工方法として、選択成長と選択ガスエッチングを実演した。これらの手法では、化学的に最安定な結晶ファセットを側壁面として顕在化させることで、反応性をイオンを用いずに、図に示すようなフィンやトレンチ構造を作製可能である。現在は、そのような自発的に形成された構造を利用したデバイスの試作も開始している。
まとめ
このように結晶の異方性を利用した高アスペクト構造形成により、これまで従来技術で作製が困難であった高アスペクト構造体が実現できる。今後は、デバイス試作・評価により、本手法の有用性を検証する。また、酸化ガリウムだけでなく、最近になって提案されたルチル型酸化物パワー半導体についても同様の研究を行う予定である。