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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Hirokazu Fukidome, Kazutoshi Funakubo, Naoka Nagamura, Koji Horiba, Yasunori Tateno, Masaharu Oshima, Maki Suemitsu. Modulation of Electronic States near Electrodes in Graphene Transistors Observed by Operando Photoelectron Nanospectroscopy. Sensors and Materials. 31 [7] (2019) 2303 10.18494/sam.2019.2327 Open Access
- 永村 直佳, 堀場 弘司, 尾嶋 正治. 電子デバイスのオペランド光電子分光実験. 表面科学. 37 [1] (2016) 25-30 10.1380/jsssj.37.25 Open Access
- 永村 直佳. 放射光でナノの世界を照らすオペランド分光イメージング. フロンティア. 5 [3] (2023) 196-201
書籍
- 永村 直佳, 堀場弘司, 尾嶋正治. 電池・半導体デバイスにおける動作プロセスを3次元で探る. アグネ技術センター, 2019
- 永村 直佳, 松村 太郎次郎, 安藤 康伸, 堀場 弘司, 尾嶋 正治. 電池・半導体デバイスにおけるオペランドイメージング分析. データ駆動型材料開発~オントロジーとマイニング、計測と実験装置の自動制御~. エヌ・ティ-・エス, 2021, 11.
- 本間 格, 北田祐太, 谷木良輔, 永村 直佳, 増田有沙. 有機系正極材料を用いたリチウムイオン電池の開発. 技術情報協会, 2018, 10.
口頭発表
- NAGAMURA, Naoka, Shun Konno, Morihiro Matsumoto, Wenxiong Zhang, Masato Kotsugi, Masaharu Oshima, Koji Horiba, Ryo Nouchi. Synchrotron Soft X-ray Scanning Photoelectron Microscopy Analysis of Gate-controlled Photo-oxidation in Graphene Field-effect Transistors. MRM2023/IUMRS-ICA2023 Grand Meeting. 2023
- 大石 健太, 後藤 陸, 小嗣 真人, 菅原 徹, NAGAMURA, Naoka. Development of a Raman microscope with multi-tips for operando analysis. MRM2023 / IUMRS-ICA2023. 2023
- NAGAMURA, Naoka. Machine learning assisted multi-dimensional spectral imaging analysis using synchrotron soft X-rays. Taiwan-Japan Workshop on Crystals Growth, Analysis & Calculation (TJ-CGAC). 2023 招待講演
所属学会
応用物理学会, 電気化学会, 日本表面真空学会, 日本物理学会, 日本分析化学会, 日本放射光学会, 日本物理学会
マテリアル基盤研究センター
顕微分光とインフォマティクスによる多次元オペランド計測
放射光,光電子分光,ラマン分光,イメージング,オペランド分析,原子層材料,ナノ材料,電池,半導体素子
概要
材料開発において物性評価のために多彩な分析技術が活用されるが、中でもX線分光分析は、元素選択的な結合状態や電子状態の情報が得られる一方、従来の実験室系分析装置では時空間分解能に乏しかった。そこで優れた高輝度光源である放射光を活用することで、高空間分解能のX線光電子分光(XPS)イメージング計測を実現し、ナノ構造材料や微細デバイス構造の界面状態ダイナミクスを明らかにしてきた。さらに、空間・時間・外場(電場など)にわたる多次元パラメータでスペクトルを取得すると、実験結果のデータ量が膨大になる。機械学習を活用した高速自動ピークフィッティングや超解像画像処理など、データ駆動型解析技術開発にも取り組んでいる。
新規性・独創性
● 従来のXPSよりも高空間分解能(面内方向で~100 nm)でのイメージング計測
● バイアス電圧を印加しながらの半導体デバイス分析、充放電しながらの電池内部分析などのオペランド計測
● 低次元マテリアルにおける非破壊での埋もれた界面状態分析(表面から数 nmの範囲)
● 機械学習を活用したハイスループット自動スペクトル解析で解析時間を短縮、1億本のスペクトルデータセットも取り扱い可能
内容
顕微分光を軸として、分析装置の開発およびその装置を用いたナノ構造材料や微細デバイスの分析に取り組んでいる。放射光X線を集光して試料に当てつつ試料を走査してXPSの空間分布を観測する顕微XPS装置では、オペランド分析ができるように改良を実施し、原子層(グラフェンなど)電界効果トランジスタ(FET)における電極/チャネル界面の電荷移動領域や基板/チャネル界面の電気二重層などを世界に先駆けて実測に成功した。また、窒化ガリウム系高移動度トランジスタ(GaN-HEMT)における電荷トラップの可視化、有機FETのチャネル内ポテンシャル分布計測、Liイオン二次電池電極活物質結晶内の充放電中Li分布ダイナミクス観測などを行ってきた。現在、多探針オペランド顕微ラマン分光装置も開発中である。また、顕微XPSに限らず、放射光を用いたNEXAFS(XANES)評価、EXAFS構造解析も解析手法として扱っている。
顕微分光で得られるスペクトルビッグデータの効率的データ処理・解析のために、計測インフォマティクスの観点からの分析技術開発にも取り組んでいる。機械学習を活用した高速自動スペクトルピークフィッティングのPythonパッケージ”EM Peaks”(OSSとして公開中)の開発に携わり、顕微XPSをはじめ、ラマン分光やRHEED画像などのデータ解析に展開している。また、スパースモデリングを活用した超解像技術による顕微分光画像の高解像度化も目指しており、空間分解能の向上や、ダメージレスな計測に貢献できると見込まれる。
このように、先端計測とインフォマティクスを組み合わせたデータ駆動型オペランド顕微分光を推進している。
まとめ
データ駆動型先端計測は、計測技術の進歩に伴い、今後扱うデータ量が膨大になっていくことが必至である中、求められるアプローチである。顕微分光を通して、これまで様々なナノ材料やデバイスの解析を行ってきたが、インフォマティクスの知見を導入していくことで、これまで不可能だった物理現象の可視化や、最適なデバイス構造や材料合成プロセスの探索を実現したいと考えている。