SAMURAI - NIMS Researchers Database

NIMS Awardシンポジウム2026

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研究内容

Keywords

分子線、表面反応、磁性

表面科学、偏極ビーム

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      日本物理学会, 応用物理学会, 日本表面真空学会

      受賞履歴

      • 物質・材料研究機構 理事長賞研究奨励賞(2013), 日本金属学会奨励賞(2000) ()
      マテリアル基盤研究センター
      タイトル

      酸素分子のスピンと分子軸配向を制御した表面反応

      キーワード

      表面反応,O2, 分子配向,スピン

      概要

      触媒材料分野では、反応効率と耐腐食性が高く、貴金属使用量低減に寄与できる材料の開発と反応特性の理解が求められている。触媒表面と接するガス中には運動エネルギーや振動・回転・スピン状態、分子配向などが異なる分子が含まれ、これらの量が分子吸着特性に多大な影響を与える点を考慮する必要がある。運動エネルギーや配向等を制御できる分子ビームとモデル触媒を用いた表面反応解析は、反応機構理解に有益な情報を提供する。NIMSでは、独自開発の分子軸とスピンの向きを制御できるO2分子ビームを用いた触媒酸化反応解析を進めており、分子/表面相互作用の詳細理解と触媒材料設計へのフィードバックを目指している。

      新規性・独創性

      ● 独自開発の量子状態選別分子ビーム装置により、表面反応スピン配向依存性を世界で初めて観測 ● O2吸着・触媒酸化反応の支配要因の詳細解析が可能

      内容

      image

      近年、スピンが表面反応に与える影響に多大な関心が寄せられている。応用上重要な多くの化学反応に関与する酸素(O2)分子は電子スピンをもち、スピンは酸化反応に本質的な役割を果たすと考えられている。また直線分子という異方的形状を持つため、分子軸方位は化学反応確率に多大な影響を与える。我々は独自開発のスピンと分子軸の向きをよく定義できる単一量子状態選別O2分子ビームを用いて分子配向効果とスピン効果を明確に分離できる分析技術を考案し、強磁性体表面へのO2吸着確率が分子と表面相互のスピン配向に依存することを、2015年に世界で初めて示した[1]。強磁性Fe,Ni薄膜の多数スピン電子のスピン角運動量(SM)の向きと、O2分子の電子スピン角運動量の向きが互いに反平行(AP)の場合に表面へのO2吸着確率(S0)が高いこと、スピン依存性は入射分子の運動エネルギーが低いほど大きく、室温程度の運動エネルギーで40%程度に達することを示した(図)[1,2]。スピン依存反応計測とスピン偏極励起Heビームによる最表面スピン状態分析を同一分析点で実施可能な分析装置に、イオン散乱法による最表面組成分析部も導入した。現在、最表面原子層の磁化状態と組成をよく定義した多様な磁性薄膜表面に対するスピンおよび分子配向に依存した表面反応の研究を進めている。 [1] Mitsunori Kurahashi, Yasushi Yamauchi, Phys. Rev. Lett., 114, 016101 (2015); [2] Mitsunori Kurahashi, J. Chem. Phys., 157, 124703 (2022).

      まとめ

      量子状態選別酸素分子ビームは、O2吸着・触媒過程の分子配向・スピン依存性の解析を可能にする。構造、組成を規定した合金等のモデル触媒作製と表面キャラクラリゼーションを実施でき、表面反応スピン効果、分子配向効果を明確に分離して計測できるシステムを開発した。今後、多様なモデル触媒系に対する系統的実験により素過程の本質的理解と触媒設計に有益な指針が得られると期待される。
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