- Address
- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
スピントロニクス,ホイスラー合金,ハーフメタル,トンネル磁気抵抗
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Thomas Scheike, Qingyi Xiang, Zhenchao Wen, Hiroaki Sukegawa, Tadakatsu Ohkubo, Kazuhiro Hono, Seiji Mitani. Exceeding 400% tunnel magnetoresistance at room temperature in epitaxial Fe/MgO/Fe(001) spin-valve-type magnetic tunnel junctions. Applied Physics Letters. 118 [4] (2021) 042411 10.1063/5.0037972
- Shinto Ichikawa, P.-H. Cheng, Hiroaki Sukegawa, Tadakatsu Ohkubo, Kazuhiro Hono, Seiji Mitani, Katsuyuki Nakada. Controlling oxygen distribution of an MgAl2O4 barrier for magnetic tunnel junctions by two-step process. Applied Physics Letters. 117 [12] (2020) 122409 10.1063/5.0015474
- Ikhtiar, Hiroaki Sukegawa, Xiandong Xu, Mohamed Belmoubarik, Hwachol Lee, Shinya Kasai, Kazuhiro Hono. Giant tunnel magnetoresistance in polycrystalline magnetic tunnel junctions with highly textured MgAl2O4(001) based barriers. Applied Physics Letters. 112 [2] (2018) 022408 10.1063/1.5013076
書籍
- 介川 裕章, 山口 明啓. Chapter 2 Synthesis and processing. Elsevier, 2021, 11.
- INOMATA, Kouichiro, SUKEGAWA, Hiroaki. Co2Fe(Al1-xSix) Heusler Alloys and Their Applications to Spintronics. Spintronics From Materials to Devices, edited by Claudia Felser and Gerd H Fecher (Springer, April 12, 2013), Chapter. 14. , 2013, 303-330.
会議録
- 介川 裕章. スピネル系トンネルバリアのスピントロニクス素子応用. 応用物理学会応用電子物性分科会会誌. (2016) 118-124
- 介川 裕章, 猪俣 浩一郎, 三谷 誠司. 完全格子整合した磁気トンネル接合の巨大トンネル磁気抵抗効果 〜スピネルMgAl2O4系バリアの現状〜. 信学技報 (ISSN0913-5685). (2013) 35-40
- KODAMA Kouta, FURUBAYASHI, Takao, SUKEGAWA, Hiroaki, NAKATANI Tomoya, INOMATA, Kouichiro, HONO, Kazuhiro. Current-perpendicular-to-plane giant magnetoresistance of a spin valve using Co2MnSi Heusler alloy electrodes. JOURNAL OF APPLIED PHYSICS. (2009) 07E905-1-07E905-3
口頭発表
- 介川裕章. スピネル系トンネルバリアのスピントロニクス素子応用. 応用電子物性分科会・スピントロニクス研究会 共催研究会. 2016 招待講演
- 増田 啓介, シャイケ トーマス, 介川 裕章, 小塚 裕介, 三谷 誠司, 三浦 良雄. TMRのバリア膜厚振動に対する理論研究. 第48回日本磁気学会学術講演会. 2024
- MASUDA, Keisuke, SCHEIKE, Thomas, SUKEGAWA, Hiroaki, KOZUKA, Yusuke, MITANI, Seiji, MIURA, Yoshio. Theoretical approach for the TMR oscillation as a function of the barrier thickness. 第85回応用物理学会秋季学術講演会. 2024
その他の文献
- 介川 裕章. スピネル系トンネルバリアのスピントロニクス素子応用. 応用物理学会応用電子物性分科会会誌. (2016) 118-124
- 介川 裕章, 猪俣 浩一郎, 三谷 誠司. 完全格子整合した磁気トンネル接合の巨大トンネル磁気抵抗効果 〜スピネルMgAl2O4系バリアの現状〜. 信学技報 (ISSN0913-5685). (2013) 35-40
- 介川 裕章. スピントロニクス材料の設計と開発. 技術総合誌OHM(株式会社オーム社)ISSN0386-5576. 99 [1] (2012) 21-24
所属学会
日本磁気学会, 応用物理学会, 日本金属学会, Institute of Electrical and Electronics Engineers
磁性・スピントロニクス材料研究センター
室温630%を超える巨大トンネル磁気抵抗効果
トンネル磁気抵抗素子,TMR,MRAM,磁気センサー
概要
磁性薄膜を用いたトンネル磁気抵抗素子は、ハードディスクの読み取りヘッドや、不揮発性メモリとして活用の幅を広げているMRAMの記録ビットなどに用いられている。トンネル磁気抵抗素子は磁性層に挟まれた極薄の絶縁層の電気抵抗が変化する素子で、この抵抗変化(TMR比)が室温で大きければ大きいほどデバイスの高性能化が容易となる。しかし、2008年の604%の報告を最後にTMR比の更新は実験室デモでも途絶えており、短期間での大きな進化が期待できない状態にあった。このため、最新の磁性薄膜の作製技術を活用し、トンネル磁気抵抗素子の磁性層と絶縁層の界面の結晶品質の改善に改めて取り組むことで従来の値を超える高いTMR比の実現を目指した。
新規性・独創性
● 高品位な単結晶膜の作製法の確立(エピタキシャル成長)
● 室温トンネル磁気抵抗(TMR)比記録の更新
● 巨大なTMR比振動現象の発現
内容
トンネル磁気抵抗素子(TMR素子)の磁性層と絶縁層の界面を精密に制御することでTMR比の更新を達成した。具体的には、左図に示すように高品位化のためエピタキシャル成長技術を駆使して薄膜素子を作製した。絶縁層の下界面へのマグネシウム層の挿入や、上界面への酸化導入など、原子スケールで界面の結晶性の改善を進めた結果、上下ともに急峻な界面を持つ単結晶素子が実現された。この結果として、15年ぶりの世界記録更新となる室温631%という巨大なTMR比が実現された(右図)。さらに、絶縁層の厚さに依存して周期的にTMR比が変動する現象(TMR振動)が明確に表れ、その振動幅は141%と巨大なものとなることも見出した(従来は数%~数十%程度)。今後この振動現象のメカニズムを調べTMR比との関係を明らかにすることによってTMR比のますますの更新が期待できる。従来の値を更新する大きな室温TMR比の実証により、今後心磁場や脳磁場検出など高感度センサーへの展開に加え、従来のTMR比水準では困難な新規メモリ技術としての活用が期待される。
まとめ
● 世界最大の室温TMR比を更新する631%を達成
● 高感度磁気センサーや大容量磁気メモリ(MRAM)への展開の可能性
● 新規材料探索と薄膜プロセス改善によるさらなる特性向上に期待