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研究内容

Keywords

スピントロニクス,ホイスラー合金,ハーフメタル,トンネル磁気抵抗

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

書籍
その他の文献

所属学会

日本磁気学会, 応用物理学会, 日本金属学会, Institute of Electrical and Electronics Engineers

磁性・スピントロニクス材料研究センター
タイトル

室温630%を超える巨大トンネル磁気抵抗効果

キーワード

トンネル磁気抵抗素子,TMR,MRAM,磁気センサー

概要

磁性薄膜を用いたトンネル磁気抵抗素子は、ハードディスクの読み取りヘッドや、不揮発性メモリとして活用の幅を広げているMRAMの記録ビットなどに用いられている。トンネル磁気抵抗素子は磁性層に挟まれた極薄の絶縁層の電気抵抗が変化する素子で、この抵抗変化(TMR比)が室温で大きければ大きいほどデバイスの高性能化が容易となる。しかし、2008年の604%の報告を最後にTMR比の更新は実験室デモでも途絶えており、短期間での大きな進化が期待できない状態にあった。このため、最新の磁性薄膜の作製技術を活用し、トンネル磁気抵抗素子の磁性層と絶縁層の界面の結晶品質の改善に改めて取り組むことで従来の値を超える高いTMR比の実現を目指した。

新規性・独創性

高品位な単結晶膜の作製法の確立(エピタキシャル成長)
室温トンネル磁気抵抗(TMR)比記録の更新
巨大なTMR比振動現象の発現

内容

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トンネル磁気抵抗素子(TMR素子)の磁性層と絶縁層の界面を精密に制御することでTMR比の更新を達成した。具体的には、左図に示すように高品位化のためエピタキシャル成長技術を駆使して薄膜素子を作製した。絶縁層の下界面へのマグネシウム層の挿入や、上界面への酸化導入など、原子スケールで界面の結晶性の改善を進めた結果、上下ともに急峻な界面を持つ単結晶素子が実現された。この結果として、15年ぶりの世界記録更新となる室温631%という巨大なTMR比が実現された(右図)。さらに、絶縁層の厚さに依存して周期的にTMR比が変動する現象(TMR振動)が明確に表れ、その振動幅は141%と巨大なものとなることも見出した(従来は数%~数十%程度)。今後この振動現象のメカニズムを調べTMR比との関係を明らかにすることによってTMR比のますますの更新が期待できる。従来の値を更新する大きな室温TMR比の実証により、今後心磁場や脳磁場検出など高感度センサーへの展開に加え、従来のTMR比水準では困難な新規メモリ技術としての活用が期待される。

まとめ

世界最大の室温TMR比を更新する631%を達成
高感度磁気センサーや大容量磁気メモリ(MRAM)への展開の可能性
新規材料探索と薄膜プロセス改善によるさらなる特性向上に期待

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