研究内容
- Keywords
無機物質および無機材料化学関連、ナノ構造化学・ 機能物質化学
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Norifusa Satoh. Multistep inorganic synthesis of thin films. Interdisciplinary Journal of Chemistry. 1 [2] (2017) 10.15761/ijc.1000109 Open Access
- Norifusa Satoh. Insight from Molecular-scale Electron Transfer to Small-scale Electronics. Chemistry Letters. 43 [5] (2014) 629-630 10.1246/cl.131185
会議録
- Norifusa Satoh. A Potential in Thermoelectric Oxide Photonic Crystal. SOLID STATE PHENOMENA. (2016) 156-159 10.4028/www.scientific.net/ssp.257.156
口頭発表
- 佐藤 宗英. ALD反応炉内での原子制御型ドット堆積を目指したスプレー法の開発. 第25回シンポジウム「原子層堆積/原子層エッチングの基礎と応用」. 2017 招待講演
- 佐藤 宗英. 精密有機無機ハイブリッド剤によるナノ粒子の原子制御. 第35回無機高分子研究討論会. 2016 招待講演
- 佐藤 宗英. ナノスケール現象に取り組むための極微小酸化物ドットの原子レベル精度製造. 日本化学会第94春季年会 アジアシンポジウム. 2014 招待講演
その他の文献
- Norifusa Satoh. Soft Matter Assembly for Atomically Precise Fabrication of Solid Oxide. SOFT MATTER NANOTECHNOLOGY. 1 [8] (2015) 217-232 10.1002/9783527682157.ch08
- 佐藤 宗英, 山元公寿. 金属集積分子カプセルを用いた精密クラスター. 次世代共役ポリマーの超階層制御と革新機能. (2009) 204-210
所属学会
日本化学会, 無機高分子研究会, CVD反応分科会
高分子・バイオ材料研究センター
高次階層構造の構築:多段階無機合成と粘性熱電材料を例に
有機/無機ハイブリッド,無機/無機ハイブリッド,原子制御,電子制御,熱制御
概要
既に先達によって多種多様な概念やナノ構造を有する物質・材料が切り拓かれている現状で、種類に限りがある周期表上の元素からさらに未踏の物質・材料を創出するには、非従来型の化学構造を創り出せる新たな合成論や各構成要素の単体からは想像できない機能を創発できる高次階層構造の開拓が必要。そこで、様々な有機分子を原子精度で精密合成できる多段階有機合成(ノーベル化学賞2017年)の原理を無機合成に展開することで原子制御型ドット集積構造を合成可能とする多段階無機合成、フレキシブルな大面積冷却シートの実現に必要な複雑に絡みあう要件に原子スケールからマクロスケールまでの各階層を制御することで応えることを特徴とした粘性熱電材料を探求中。
新規性・独創性
● 多段階無機合成:自己組織化膜や超分子といった比較的新しい概念構造を化学変換することを特徴とした独自の合成論で、分子線エピタキシー(ノーベル物理学賞2000年)等でも不可能だった量子ドット超格子のドットとそれを取り囲むマトリックスを原子制御
● 粘性熱電材料:単一物質では実現できない高次機能を複数の物質を組み合わせて成立させる有機デバイスを参考に、原子スケールでの無機粒子の元素配合制御による高い熱起電力、ナノスケールで無機粒子間の界面電気抵抗を低減、マイクロスケールでハイブッド化する有機溶媒や封止材によって低い熱伝導と柔軟性、マクロスケールでのデバイス構造設計と各階層で所望の物性・機能を実現
内容
多段階無機合成:具体には溶液プロセスを用いる独自の原子制御酸化物ドット堆積法(Satoh et al. Nat. Nanotech. 2008, Sci. Rep. 2013)とエレクトロニクス分野で実用される真空プロセスを用いる原子層堆積法を組み合わせで実現でき、人工原子核のサイズや結合長をデザインして室温で興味ある物性・機能を示す人工原子凝縮系を実現しうる。
粘性熱電材料:Roll-to-Roll等で大量生産する観点から逆設計。地球温暖化が加速する昨今、世界人口の25 〜 50%が熱帯地域で未だ室内冷房器具へアクセスできていない。全面冷却シートによる空気を介さない人体の直接冷却や自動運転に要するセンサ等の精密温度制御は安心・安全・快適でありながらエコな社会の実現に貢献しうる。
まとめ
先達の確立した学術基盤に立脚しながらも、無機化学と有機化学、真空プロセスおよび溶液プロセスといった確立された学問・規定された技術の垣根を超えて物質・材料科学を統合的に精査することは、未踏の物質・材料を合理的に生み出す新規な合成論や高次階層構造、ひいては新たな学術的・産業的な価値の創出に資する。