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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- 新津 甲大. 超弾性とその弾性熱量効果. 熱測定. 50 [2] (2023) 70-75
- K. Niitsu, Y. Yano, R. Kainuma, H. Inui. Viscosity of superelasticity: A comprehensive interpretation of nonreciprocal isothermal dynamics, kinetic arrest, and nonergodic anelastic strain based on thermal activation of martensitic transformations. Physical Review B. 108 [13] (2023) 134103 10.1103/physrevb.108.134103 Open Access
- Fumihiko Ichihara, Kodai Niitsu, Yoshinori Tanaka, Yasuhiro Niwa, Kazutaka Mitsuishi, Shogo Miyoshi, Takahisa Ohno, Takuya Masuda. Structural Analysis of the LiCoPO4 Electrode/NASICON-Type Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3 Solid Electrolyte Interface. The Journal of Physical Chemistry C. 127 [31] (2023) 15043-15050 10.1021/acs.jpcc.3c02132
口頭発表
- 中山博行, 藤田麻哉, 新津 甲大, 土谷 浩一. Ti-Ni-Nb合金のアクティブ動作蓄熱材料への適用. 日本金属学会2024年(第175回)秋期講演大会. 2024
- 新津 甲大. 熱弾性型マルテンサイト変態の低温ダイナミクス(ケーススタディ). 日本金属学会2024年(第175回)秋期講演大会. 2024
- 中澤 克昭, 新津 甲大, 三石 和貴, 小原 真司, 土谷 浩一. 高圧ひずみ加工による金属ガラス中の局所構造変化の解析. 公益社団法人 日本顕微鏡学会 第80回学術講演会. 2024
所属学会
日本顕微鏡学会, 日本金属学会, 日本物理学会
マテリアル基盤研究センター
格子欠陥と相変態を活かした機能創発とそのイメージング
格子欠陥,相変態,機能性材料,透過型電子顕微鏡,電子線ホログラフィー
概要
結晶内に導入される格子欠陥の近傍では弾性場の変調をもたらすことはもとより、電子状態を変化させることにより電磁気物性をはじめとする多様な物性に変化をもたらしうる。即ち、欠陥の多くは弾性場が揃った強弾性(Ferroelastic)状態であると同時に、電磁気物性や導電性、スピン分布、光・熱応答などがマトリクスのそれとは異なる状態が達成しうる領域であると言える。さらに結晶にはない欠陥特有の『狭所性(低次元性)』『可動性』といった特徴は、欠陥同士の相互作用や欠陥-マトリクス間の相互作用において幾何の自由度をもたらすため、結晶体の物性相関では考えられないユニークでダイナミカルな幾何に基づく交差相関の概念が生まれると考えた。局在物性に着目し、結晶と欠陥間の物性相互作用および欠陥の幾何特性を活かすことでこれまでにない物性応答の創発とその起源探索のための実空間イメージングに取り組む。
新規性・独創性
● 格子欠陥の局在物性を起源とするバルク巨大応答
● 低次元・狭所領域に拘束された磁気構造の実空間イメージング
● 格子欠陥を活かす材料設計
内容
結晶の変形下では格子欠陥が動的に生成・活動するため、欠陥に局在する物性秩序も付随して移動すると考えられる。欠陥に内在する諸物性にまで視野を広げると強化理論の枠組みはより一般化・体系化された形で説明されると考えられ、欠陥内在の弾性場-諸物性秩序間の物性相関をプラットフォームとし、欠陥という幾何学的制約が生む自由度(幾何相関)が欠陥独自の相互作用の多様性が加わると考えられる。物性と幾何という2つの相関から構成され、弾性場以外の秩序因子を組み込むことで機能性探索空間の拡大とその体系的理解を目指す。さらに電子線ホログラフィー法をはじめとする透過型電子顕微法を駆使することで、局在領域での物性相互作用およびその幾何条件についての解明に取り組む。弾性場以外の物性相互作用による巨大応答を示すバルク力学機能の創発とより一般化された材料強化学理の構築が期待される。
まとめ
格子欠陥のローカルな物性研究からバルクの新たな機能性の開拓へとより奥行きの深い研究領域への展開を図る。忌避されがちな格子欠陥を『活かす』材料設計が可能となり、従来の材料では実現困難な特長(強指向性・空間局在性など)を持つ機能性や逆相関に相当する『応力誘起の物性応答』の創発を含む『欠陥物性を基軸とする多様な機能性』への展開を目指す。