研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
会議録
- KAMIYA, Koji, NATSUME, Kyohei, NUMAZAWA, Takenori, 松本 宏一, SAITO, Akiko, 白井 毅, UCHIDA, Akira. Magnetic refrigerators for hydrogen liquefaction. Proceedings of 26th International Congress of Refrigeration 2023. 1 (2023) 46-60 10.18462/iir.icr.2023.1148
口頭発表
- 松永 信之介, 武田 泰明, 夏目 恭平, 神谷 宏治. InBiSn系およびPb, Cd含有InBiSn系低融点金属の低温域における電気輸送特性. 2024年度春季低温工学・超電導学会. 2024
- KAMIYA, Koji, NATSUME, Kyohei, 大内 康平, UCHIDA, Akira, MATSUNAGA, Shinnosuke. Development of small superconducting magnets used for adiabatic demagnetization refrigerators for cooling of superconducting quantum computers. The 36th International Symposium on Superconductivity (ISS2023). 2023 招待講演
- 夏目 恭平. 磁気冷凍機における低温・超電導技術. 低温工学・超電導学会 第3回若手技術セミナー. 2023 招待講演
その他の文献
- 夏目 恭平, 神谷 宏治. 磁気冷凍による水素液化. 金属. 93 [7] (2023) 23-27
- 神谷 宏治, 夏目 恭平, 沼澤 健則, 飯田光人, 篠崎慶亮, 島田潤. 推薬液化エネルギーを低減する磁気冷凍技術の研究開発. 第66回宇宙科学技術連合講演会 予稿集. 該当なし [該当なし] (2022) JSASS-2022-4054
- 松永 信之介, 神谷 宏治, 夏目 恭平, 荻野 靖之, 島田 潤. 月面における推薬液化用磁気冷凍機の成立性の検討. 宇宙科学技術連合講演会講演集. 66 [0] (2023) 2L12
所属学会
低温工学・超電導学会
エネルギー・環境材料研究センター
高効率な水素再凝縮機/冷凍機の開発
磁気冷凍,水素,磁気熱量効果
概要
液化水素はカーボンニュートラルを目指す社会において、新しいエネルギーキャリアの候補の1つとして注目され、再生可能エネルギーを利用した分散発電システムや、モビリティー (バス、トラック、鉄道、船、航空機など) において新たな役割と可能性が期待されている。液化水素はエネルギー密度の観点から有望なキャリアであるが、液化には1気圧で20 K(-253℃)という極低温に冷却する必要がある。また、輸送や貯蔵の際には外部からの自然入熱により常時ガスが蒸発する。輸送や貯槽におけるコスト低減は重要であり、本研究では蒸発したガス(ボイルオフガス)を再度液化し貯槽に返送するための再凝縮機/冷凍機システムの高効率化の研究開発を実施している。
新規性・独創性
● 従来の気体の圧縮・膨張を利用した気体式冷凍機と比べると、理論的な再凝縮効率は磁気冷凍機の方が高い。
● 気体式冷凍機に必要な圧縮機が必要ないため小型化・省電力化・静音化が可能。
● 再凝縮の温度(~20 K)に最適な磁性材料を用いることで、磁気熱量効果を最大限発揮することができる。
● 能動的蓄冷式磁気冷凍(Active Magnetic Refrigeration: AMR)という新方式では、これまで磁気冷凍の弱点とされていた運転温度範囲を拡大できる。
内容
AMRは粒状の磁気作業物質を容器に詰めて、粒の隙間に熱交換ガスを磁場の印加に連動して流すことによって、磁気作業物質で生じた熱/冷熱を輸送する。対向配置型AMRでは磁気作業物質は2箇所あり、磁場を発生する磁石1つが移動する。NIMSで開発した4対向配置型回転AMRでは、磁気作業物質を8等配に配置し、4つの磁石が回転することで、磁場を変化させる。
本研究では、従来に比べて効率の良い磁気冷凍システムの開発を目指している。上図は、水素再凝縮用に製作した磁気冷凍機の例で、本装置によって磁気冷凍による水素再凝縮の高効率化の研究を実施している。磁気作業物質や磁石の材質を変えることで様々な温度域に対応でき、応用先は幅広い。
まとめ
【これまでの成果】永久磁石と4対向配置型回転AMRを組み合わせた水素再凝縮用冷凍機の開発と原理実証に成功した。
【今後の課題】更なる高効率化が望ましい。熱交換器を含めた熱設計を最適化、磁石の高磁場化、磁気作業物質の大容量化が課題である。
【実用化への道筋】各構成部品の要素試験を実施し、それらを統合することで実用化のための概念実証を目指す。