SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

マイクロ・ナノデバイス 応用光学・量子光工学

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

所属学会

日本物理学会, 応用物理学会, 日本顕微鏡学会, Materials Research Society, 日本鉄鋼協会

マテリアル基盤研究センター
タイトル

レーザー加熱方式超高温透過型電子顕微鏡ホルダーの開発

キーワード

透過型電子顕微鏡,その場観察,レーザー加熱,高融点耐火金属炭化物,超高温

概要

極超音速 高高度旅客機(スペースプレーン)のスクラムジェットエンジンの内部は最大2327℃に達するとされ、革新的な耐熱素材の開発が必要とされている。その際、その場(In-situ)透過型電子顕微鏡(TEM)観察法を用いた材料組織の原子レベルの観察・分析は非常に有用である。しかしながら、現在、一般に販売されている加熱実験用TEMホルダーは通電加熱方式が主流であるため、電極の耐久性の限界から1300℃が上限となっている。そこで本研究では、レーザー加熱方式を採用することで2000℃を超える超高温環境下における再現性の高い、その場TEM観察を実現し、超高温耐熱材料の開発に寄与することを目的とする。

新規性・独創性

鉄の融点1538℃を超える超高温環境下でのTEMその場観察
内部に光ファイバーを用いないレンズ光学系のみで構成されるレーザー加熱装置が持つ高い耐久性と再現性
2色式放射温度計を同軸光学系に組み込むことで実現した正確な試料温度測定(~3000 ℃)

内容

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材料の耐熱強度や機械的強度、耐腐食性等の物理特性を明らかにし、劣化を抑制するための開発を行う上で、材料を実際に使用する環境(実働環境)をTEMの内部に再現し、材料組織の原子レベルの観察・分析を行うことは非常に有用である。しかしながら、現在の最新型の加熱実験用TEMホルダーでも1300℃程度が上限となっている。さらに温度計測法についても制約があり1700℃が上限である。これらは、電極そのものが融けてしまう、という宿命に起因しており、その解決には、『光』を用いた測定に転換する必要がある。本研究では、精密な計算機シミュレーションを用いてTEMホルダーの細いパイプ内部にレンズ光学系のみで構成されるレーザー加熱装置の設計を行い、その実証試験を行った。本研究で開発する装置は、2色式放射温度計を用いることで3000℃における正確な温度測定が可能になっているが、そこで使用する誘電体多層膜光学フィルタの波長特性の影響を最小限にとどめるための詳細な設計と確認実験も行ってある。試料ホルダーの先端部は近年の精密加工技術を用いてタンタル(融点2985℃)で作られた内球面ミラーを用いて光を再集光し、高効率なレーザー加熱ができるようになっている。これを用いて、耐熱材料や切削工具材料に用いられる高融点耐火金属の炭化物(タンタルカーバイド、タングステンカーバイド等)のガスアトマイズ法(直径20μm程度の微粒子による粉末冶金)による生成過程、及び劣化過程をTEM中で再現し、観察できるようになると考えられる。

まとめ

革新的な耐熱素材の開発のために、一般に販売されている加熱実験用TEMホルダーでは未踏領域である2000℃を超える超高温環境下での再現性の高い、その場観察を行うための装置の設計と開発を行っている。タンタルカーバイドやタングステンカーバイド等の生成過程、及び劣化過程をTEM中で再現し、観察することで、その性能向上に貢献できると考えられる。

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