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研究内容

Keywords

物性理論物理(強相関電子系、量子スピン系)

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
書籍
口頭発表
その他の文献

所属学会

日本物理学会

受賞履歴

  • 日本物理学会若手奨励賞 (2010)

外部資金獲得履歴

  • 高温超伝導体の微視的モデルによる電子状態の研究 (2014)
  • モット転移近傍における電子状態の研究 (2011)
  • 異方的2次元フラストレート磁性体の有限温度の性質 (2010)
  • 異方的2次元量子系における分数粒子 (2008)
  • フラストレーションの強い異方的2次元量子スピン系におけるスピノン (2008)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル

強相関半導体における電子状態の出現に関する理論

キーワード

モット絶縁体,近藤絶縁体,重い電子系,電子状態,バンド構造,理論,数値計算

概要

現在のエレクトロニクスデバイスは、半導体の電子状態(バンド構造)に基づいて設計されている。バンド構造は、通常の半導体ではフェルミレベルや温度によって変化しないが、モット絶縁体や近藤絶縁体などの電子間相互作用の強い絶縁体(半導体)では、フェルミレベルや温度を変化させることによって電子状態を出現させ、バンド構造を変化させることができる。このようなバンド構造の変化は、モット絶縁体や近藤絶縁体の低エネルギーの磁気励起を反映したものであり、そのメカニズムと特徴を理論・数値計算によって明らかにした。この特徴を利用すれば、従来のエレクトロニクスの固定バンド構造の枠組みを超えた新しいエレクトロニクスを開拓できる可能性がある。

新規性・独創性

従来の半導体のエレクトロニクス材料ではバンド構造はフェルミレベルや温度によって変化しないが、強相関半導体ではバンド構造をフェルミレベルや温度によって変化させることができ、この特徴をエレクトロニクスの新しい機能として活用することができる。
バンド構造の変化は、低エネルギーの磁気励起に由来することを理論・数値計算によって明らかにした。これにより、バンド構造の変化のエネルギースケールやバンド分散の予測や設計を行うことができる。
固定したバンド構造に基づく従来のエレクトロニクスから、バンド構造をフェルミレベルや温度によって変化させられる強相関エレクトロニクスへと、根本的変革をもたらす可能性がある。

内容

image

通常の半導体では電荷励起と磁気励起が同じエネルギー域に存在するが、強相関半導体では両者が異なるエネルギー域に存在している。この強相関系特有の性質は、電子励起(バンド構造)にも影響を与えることを理論・数値計算によって明らかにした。具体的には、図に示すように、フェルミレベルがバンド内に入ると、磁気励起を反映した電子状態が出現する(バンド構造が変化する)ことを示した。また、温度を上昇させることによっても同様に電子状態を出現させられることも示した。このような特徴は、従来の半導体のエレクトロニクスでは想定されておらず、強相関材料を活用することにより、従来のエレクトロニクスを根底から変革し、新しい強相関エレクトロニクスが切り拓かれる可能性がある。

まとめ

強相関半導体では、フェルミレベルや温度によって電子状態を生成させ、バンド構造を変えられることを理論・数値計算によって示した。
従来の固定バンド構造に基づくエレクトロニクスから可変バンド構造の強相関エレクトロニクスへと根本的変革をもたらす可能性がある。
これまで知られていなかった強相関系特有の性質を、理論・数値計算結果に基づき、強相関デバイスに活用したいと考えている。

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