- Address
- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
所属学会
日本化学会, 日本物理学会
高分子・バイオ材料研究センター
高機能性有機電子材料とインクジェット微細配線技術の開発
機能性有機材料,高移動度有機材料,有機熱電材料,インクジェット微細配線、水系導電インク
概要
有機エレクトロニクスは次世代IT社会における幅広い貢献が期待されている。現在、分子設計および結晶工学を駆使して分子間相互作用を精密に制御することにより、電子物性を操ることが可能となりつつある。これまでに、自身の開発した電荷制御のためのプロトン欠陥を導入した新しい原理(ドーパント添加不要)に基づき、高い化学的安定性を有する様々な高機能性有機電子材料の創製を実現すると共に、有機・生体材料に適合する水系導電インクを用いた高沸点溶媒フリーな微細配線の技術開発を行い、次世代有機エレクトロニクスを多角的に展開している。
新規性・独創性
● 高伝導性有機材料の合目的設計
● ニーズに合わせた電子機能設計
● 分子設計によるモルフォロジー制御
● π軌道エンジニアリングによる高移動度有機材料設計
● 高沸点溶媒フリーかつ室温乾燥が可能な水系導電インクによるインクジェット微細配線技術の開発
内容
閉殻構造を有する安定な有機物は元来絶縁体である。そのため、荷電キャリアを発生するために、これまで複数の分子を「混合(ドープ)」して電荷移動させる必要があった。これに対し、プロトン欠陥とπ軌道の非局在化を導入した分子設計を用いることにより、奇電子を有する開殻分子(双性イオンラジカル)はドーピングなしに化学的に安定なキャリアを獲得できる。この独自の分子設計指針により、化学的に安定な有機半導体から有機金属材料に至るまで、自在な創製が可能となった。
開発した拡張テトラチアフルバレンジカルボン酸(TED)は、常圧条件で初めて金属伝導性を示す単一成分有機分子である。その層状単結晶の面内方向は室温で>2300 S/cmに達し、有機物としてトップクラスの値を示す。さらに、空気中で数ヶ月経過しても高い伝導性を保持するため、透明電極を始めとする様々な応用が期待される。
これらの機能性有機電子材料を産業的に応用するにあたり、リソグラフィー法を始めとする従来の配線プロセスは必ずしも最適と言えない。そこで、プロセス中に高沸点溶媒や加熱処理を必要とせず、生体・有機デバイスに完全に適合する次世代微細配線技術を開発した。
まとめ
有機電子材料の実用化において、化学的安定性は重要な要素である。本研究が実証した「プロトン欠陥を導入した分子設計によるドープフリー有機電子材料」は、大気下で長期間に渡り高い電子機能を維持可能であり、極めて有効な設計指針となる。また、無機物に最適化された既存の配線技術への依存から脱却し、新たな微細配線技術を確立したことにより、これまで困難であった生体・有機材料の高機能性を最大限に活かす新規デバイス開発の展開が可能になった。

