SAMURAI - NIMS Researchers Database

NIMS Awardシンポジウム2026

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外部併任先

  • ●九州大学 大学院工学府 材料工学専攻 教授●

研究内容

Keywords

単結晶・集合組織、相変態、構造–特性相関、先端製造プロセス(3D造形)、耐熱金属材料

●研究紹介●
レーザ方式の粉末3Dプリンタでニッケル単結晶の造形に成功!(クリックして別タブでオープン)
照射面内の強度分布が一様でビーム径の大きいフラットトップレーザをニッケル粉末に適用することにより、欠陥の発生を抑制しつつ、結晶方位が高度に制御された単結晶の造形に成功しました。本成果は、単結晶部材の製造自由度を大きく高めるものであり、航空機エンジンやガスタービン用耐熱材料のみならず、幅広い単結晶材料への応用可能性を切り拓くものと期待されます。
日本経済新聞、日刊工業新聞、日経産業新聞、科学新聞、日刊産業新聞、鉄鋼新聞で報道されました。海外でもEurekAlert!等の複数のメディアで報道されました。

●博士課程大学院生募集中●
 博士課程の重要な目的の一つは、自ら研究課題を構想し、その意義や分野内での位置づけを自分の言葉で説明できる研究者としての基盤を形成することです。本研究室では、博士課程学生一人ひとりが研究テーマの中核を担い、主著論文を軸とした研究成果を計画的に積み上げられるよう、入学時点から研究計画を教員と共に具体化します。
 博士課程で取り組む研究テーマは、修士課程までの研究内容と必ずしも同じである必要はありません。これまでに培った研究経験や問題設定能力を踏まえつつ、新たな視点や課題意識に基づいて研究テーマを再設計することも可能です。
 研究では、材料の形成過程、内部構造、特性発現の関係について、既存研究との比較や分野内での位置づけを常に意識しながら検討を進めます。近年は、粉末積層造形(3Dプリンティング)を対象とした研究に力を入れており、実験、解析、シミュレーションを組み合わせたアプローチで研究を進めます。
 研究は、NIMSが有する最先端の研究施設および学際的な研究基盤と密接に連携して進められます。また、NIMSには多様な国・分野の研究者が集まる国際的な研究環境があり、日常的な議論を通じて研究の深化や論文化を進められる点も特徴です。
 博士課程在学中は、国際誌への主著論文投稿を明確な目標とします。本研究室の博士課程を修了した学生は、大学、国立研究開発法人、企業の様々な分野で研究・開発に携わっています。修士課程で研究経験を積み、博士課程で自身の研究の立ち位置をより明確にしたい方、あるいは新たな研究課題に挑戦したいと考えている方からの、研究内容・進学に関する相談を随時受け付けています。

[最新ニュース]
NEW Alloys for Additive Manufacturing Symposium (AAMS) 2026 (16-18 September, Cambridge, UK)
LPBFで造形したTi-42Nb単結晶の成長メカニズムと圧縮応答の異方性について講演しました。

NEW The 12th Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing (PRICM 12) 2026 (10-13 August, Gold Coast, Australia)
LPBFで造形したステンレス鋼単結晶の成長と機械的特性について講演しました。

The 4th Asia-Pacific International Conference on Additive Manufacturing (APICAM) 2025 (1-3 July, Melbourne, Australia)
LPBFで造形した単結晶のミクロ組織に対して熱処理が及ぼす影響について、招待講演で発表しました。

The 11th International Workshop on Advanced Materials Science and Nanotechnology (IWAMSN) 2024 (22-25 September, Da Nang, Vietnam)
LPBFによる単結晶造形について、招待講演で発表しました。

Alloys for Additive Manufacturing Symposium (AAMS) 2024 (4-6 September, Palaiseau, France)
LPBFによるTi-6246の単結晶造形と特異的なαバリアント選択について、口頭発表しました。

TMS 2024 (3–7 March 2024, Florida, USA)
単結晶のレーザ積層造形について、2件の口頭発表を行いました。
THERMEC' 2023 (2–7 July 2023, Vienna, Austria)
2件の発表を行いました。 1件はニッケル単結晶の積層造形に関して招待講演を行いました。
Ti-2023 (12–16 June 2023, Edinburgh, UK)
2件の口頭発表を行いました。 1件はTi-6246合金の積層造形に関する発表です。
TMS 2023 (19–23 March 2023, San Diego, USA)
3件の発表を行いました(2件は積層造形に関する研究)。

[下記の論文を発表しました!]
NEW Single-crystal β-Ti–42Nb fabricated via flat-top laser powder bed fusion: melt-pool stability–controlled cellular-dendritic growth
Xinzhe Zhu, Kohei Araake, Toshihiro Tsuchiyama, Makoto Watanabe, Tomonori Kitashima, Materials & Design, Vol. 270, (2026) 116896.(Click and open)

Fabricating a single-crystal-like beta grain structure of a near-beta Ti alloy with unique variant selection by laser powder bed fusion
T. Kitashima, T. Hiroto, D.E. Jodi, M. Watanabe, Materials & Design, Vol. 243, (2024) 113039.(Click and open)

Effect of scan strategy on the formation of a pure nickel single-crystal structure using a flat-top laser beam via laser powder bed fusion
D. E. Jodi, T. Kitashima, M. Watanabe, Science and Technology of Advanced Materials, Vol. 24, (1), (2023) 2201380.(Click and open)

High-temperature microstructural stability of pure Ni fabricated by laser powder bed fusion using Gaussian and flat-top beam profiles
D. E. Jodi, T. Kitashima, A. Singh, M. Watanabe, Materials Characterization, Vol. 200 (2023) 112897.(Click and open)

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所属学会

日本金属学会、日本鉄鋼協会、米国TMS、軽金属学会、日本AM学会、日本チタン学会

構造材料研究センター
タイトル

金属積層造形における単結晶形成と結晶成長・組織制御

キーワード

単結晶・集合組織、相変態、構造–特性相関、先端製造プロセス(3D造形)、耐熱金属材料

概要

金属材料の強度や延性などの特性は、結晶粒構造やミクロ組織に大きく左右される。特に単結晶材料は結晶粒界を持たないため、高温強度や材料特性の異方性を活用した高機能化が期待される。しかし、レーザ粉末床溶融結合法(LPBF)では、複雑な溶融・凝固過程により結晶成長方向の制御が難しく、単結晶造形は困難とされてきた。本研究では、フラットトップレーザによる溶融池形状と結晶成長の制御により、種結晶を用いない金属単結晶の造形を実現した。さらに、単結晶形成を支配する結晶成長・結晶粒選択メカニズムを解明し、ニッケルやチタン合金を中心に、さまざまな金属材料の結晶組織制御へ研究を展開している。また、凝固割れ感受性の低減と析出強化の両立を目指したLPBF用Ni基超合金K1の開発にも取り組んでいる。

新規性・独創性

種結晶を用いない金属単結晶造形の実現: フラットトップレーザによる溶融池形状と結晶成長の制御により、LPBFで種結晶を用いずに金属単結晶を造形する技術を開発した。 単結晶形成メカニズムの解明: 溶融池の安定性、セルラーデンドライト成長、結晶粒選択に着目し、単結晶形成を支配する結晶成長メカニズムを明らかにした。 結晶組織と析出組織の制御: 造形条件による結晶集合組織の制御と、熱処理による析出相のバリアント選択を実現し、結晶組織・析出組織の制御技術を発展させた。 LPBF用耐熱合金の開発: 凝固割れ感受性の低減とγ′析出強化の両立を目指し、LPBF用Ni基超合金K1を開発した。

内容

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LPBFでは、レーザ照射による急速な溶融・凝固が繰り返され、溶融池形状や温度勾配が結晶成長方向と結晶組織の形成に大きく影響する。本研究では、レーザの強度分布を制御するビームシェーピングに着目し、フラットトップレーザと造形条件の最適化によって平坦な溶融池底部を形成した。これにより、造形方向へのエピタキシャル成長を促進し、レーザ走査方法の工夫と組み合わせることで、種結晶を用いない金属単結晶の造形を実現した。また、ビーム形状が造形時の転位蓄積や熱処理後の組織安定性に及ぼす影響についても明らかにした。 さらに、単結晶形成を支配するメカニズムの理解を深めるため、溶融池の安定性と結晶方位に依存したセルラーデンドライト成長が、単結晶形成過程で果たす役割を調べた。特に、安定した溶融池における造形方向へのエピタキシャル成長に加え、繰り返し再溶融と横方向の結晶成長を通じて面内の結晶方位が徐々に揃う、二段階の結晶粒選択機構を明らかにした。また、溶融池の重なり方が結晶成長方向や集合組織形成に及ぼす影響を明らかにし、造形条件による結晶組織制御へと研究を発展させている。 こうした凝固・結晶成長の制御を、造形後の相変態・析出組織や材料特性の制御へと展開している。単結晶状のβ結晶粒構造を形成することで、熱処理後に特定のαバリアントが広範囲に優先的に形成される現象を明らかにした。また、造形条件によって形成される結晶集合組織と、ヤング率や強度などの力学特性との関係を調べ、結晶方位に依存した材料特性の制御に取り組んでいる。このように、凝固・結晶成長から相変態・析出、力学特性までを一体的に捉えた組織制御を目指している。 一方、LPBFによる金属材料の高機能化には、造形プロセスや結晶組織の制御だけでなく、急速凝固プロセスに適した合金組成の設計も重要である。特に、γ′析出強化型Ni基超合金では、高温強度の向上と造形時の割れ抑制の両立が課題となる。この課題に対し、凝固割れ感受性の低減とγ′析出強化の両立を目指したLPBF用Ni基超合金K1を開発した。プロセス・結晶組織制御と合金設計の両面から、多様な金属材料の組織・特性制御と高機能化に取り組んでいる。

まとめ

フラットトップレーザを用いたLPBFによって金属単結晶の造形を実現し、溶融池の安定性とセルラーデンドライト成長が単結晶形成過程で果たす役割を明らかにした。さらに、凝固・結晶成長の理解を基盤として、結晶集合組織の制御、熱処理に伴う析出バリアント選択の解明、結晶方位と力学的特性の関係の評価へと研究を広げている。また、LPBFに適した合金設計にも取り組み、凝固割れ感受性の低減とγ′析出強化の両立を目指したNi基超合金K1を開発した。今後は、結晶成長・組織制御と合金設計の両面から、LPBFを形状造形にとどまらない金属材料の組織・特性設計技術へと発展させる。
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