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研究内容

Keywords

トポロジカル系、超伝導

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表

    所属学会

    日本物理学会

    受賞履歴

    • 日本物理学会第27回論文賞 (2022)
    • 日本物理学会第16回若手奨励賞 (2022)
    ナノアーキテクトニクス材料研究センター
    タイトル

    ナノ構造による電子状態制御の理論的研究

    キーワード

    物質設計,電子物性,トポロジカル物質,トポロジカルメタ物質,2次元物質,第一原理計算

    概要

    現在の物質・材料研究の課題として量子技術の発展や低消費電力デバイスの開発などが挙げられる。量子情報処理の舞台としては既存の半導体だけでなく新物質も含めた複合的な素子となる可能性もあり、その意味で物質探索や物質設計の果たす役割は大きい。またその中では電子と光(フォトン)・格子振動(フォノン)との相互作用も重要となる可能性が高く状態制御のユニバーサルな理論構築が必要になる。またパラダイムシフトのためには非散逸的な伝導も期待されるトポロジカル物質といった新概念を取り込んだ理論開発が望まれる。本研究では確固たる基礎理論に基づいた電子状態制御方法の提案や新物質の探索を推進している。

    新規性・独創性

    デバイスの開発や性能向上の要素技術を基礎理論から開発
    新物質の理論提案
    新奇物性現象の理論開発とその応用の提案

    内容

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    電子デバイスの肝は物質中の電子が真空中と異なる性質を持つことであり、特にバンド構造の制御が重要である。例えば近年注目されているトポロジカル物質ではバンド構造が相対論的なディラック方程式で記述される。バンド構造制御のひとつの手段としてナノ構造の付与がある。その舞台としては代表的な2次元物質であるグラフェンがあり、可能なナノ構造としては周期的に穴を開けたナノメッシュがある。興味深いことに穴の配列パターンの工夫でトポロジカル状態を実現できる。その背後にはディラック方程式に基づくユニバーサルな理論があり、電子系に限らず異なるスケールの多様な系にも適用可能で、トポロジカル状態を用いた光(フォトン)や格子振動(フォノン)の制御にもつながる。

    バンド構造制御に関しては2次元物質の人工積層系(van der Waals積層系)も有用である。特に層間の非整合による長周期モアレパターンを持つ系(モアレ物質)が興味深い。モアレ物質では新奇量子相の実現等が期待され基礎学理・デバイス応用、両面の研究が進められている。モアレ物質の特徴は積層の組み合わせの豊富さであり、この豊富さ故、新物質・積層デザインの探索の指針となる理論・計算が求められる。その指針のひとつとして系の対称性と電子の典型的な結晶運動量の情報からモアレパターンが電子に与えるポテンシャルの概形を予測する一般理論が構築できる。実際その理論は電子の伝導に大きく影響する次元性制御が可能な角度非整合二層系の理論提案にもつながった。

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    まとめ

    量子技術開発や低消費電力デバイス実現の基礎となる電子状態制御の理論研究を行なってきた。これまでにグラフェンナノメッシュにおけるトポロジカル状態実現のためのデザインの理論提案や人工積層系の新物質探索の指針となる理論の整備を行った。今後は光(フォトン)や格子振動(フォノン)も含めた包括的な研究で量子情報処理の要素技術の開発につなげる。

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