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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- 門脇 万里子, 片山 英樹. 数値シミュレーションと実験を併用したアルミニウム合金/鉄鋼材料共存部の腐食挙動の解析. 金属. 93 [9] (2023) 779-787
- 門脇 万里子, 武藤 泉, 菅原 優, 原 信義. 炭素鋼のミクロ組織の局部電気化学特性と耐孔食性. 鉄と鋼. 107 [12] (2021) 1085-1094 10.2355/tetsutohagane.tetsu-2021-032 Open Access
- Chihiro Hayama, Mariko Kadowaki, Yoshiharu Murase, Hideki Katayama, Toru Hara, Yuka Hara, Hikari Watanabe, Isao Shitanda, Masayuki Itagaki. Effect of P Addition on the Corrosion Resistance of Steels before and after Rust Formation. ISIJ International. 64 [12] (2024) ISIJINT-2024-191 10.2355/isijinternational.isijint-2024-191 Open Access
口頭発表
- HIRAOKA, Yuuki, MURASE, Yoshiharu, KATAYAMA, Hideki, TSUTSUMI, Yusuke, KADOWAKI, Mariko, 渡辺日香里, 四反田功, 板垣昌幸. Multimodal Analysis of Corrosion for AA6016 Alloy at The Boundaries Between Aluminum Matrix/Intermetallic Particles. PRiME2024. 2024
- KATAYAMA, Hideki, HAYAMA, Chihiro, KADOWAKI, Mariko, MURASE, Yoshiharu, HARA, Toru, 原 由佳, TSUTSUMI, Yusuke, 渡辺日香里, 四反田 功, 板垣昌幸. Influence of Phosphorus on Initial and Long-Term Atmospheric Corrosion Behavior of Steel Materials. PRiME 2024. 2024
- S. Takahashi, TSUTSUMI, Yusuke, KADOWAKI, Mariko, H. Watanabe, I. Shitanda, KATAYAMA, Hideki, M. Itagaki. Development of Evaluation Method of Corrosion Resistance and Long-Term Durability of Stainless Steel for PEMFC. Pacific Rim Meeting on Electrochemical and Solid State Science 2024 (PRiME 2024). 2024
所属学会
日本金属学会, 腐食防食学会, 日本鉄鋼協会, Electrochemical Society
構造材料研究センター
実験と計算を併用したマルチマテリアル部材の腐食挙動解析
鉄鋼材料,軽金属,腐食,電気化学計測,有限要素法
概要
近年、自動車の燃費向上に向けた車体の軽量化が重要視されており、鉄鋼材料の一部を軽量なアルミニウム合金などに置き換える「マルチマテリアル化」が進められている。しかし、そのような異種材料の共存部での耐食性の低さが問題となっている。腐食挙動を解析するため、従来は実験による手法が主に用いられてきたが、時間・コストがかかる点や詳細な現象解析が困難な点が課題とされてきた。ここでは、実験による手法と計算科学の手法を併用することで、効率的かつ包括的にマルチマテリアル部材の腐食機構を理解し、高耐食化の指針を得ることを目的としている。
新規性・独創性
● 有限要素法などの数値シミュレーションを活用した腐食挙動の解析
● 腐食試験にかかる費用・時間の低減、高効率化
● 正確かつ定量的な腐食量の予測
内容
腐食は電子を放出するアノード反応と、電子を消費するカソード反応による複合電極反応である。鉄鋼材料とアルミニウム合金の共存部では、アルミニウム合金上でのアノード反応と鉄鋼材料上でのカソード反応により進行する「ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)」と、アノード反応とカソード反応の両方が鉄鋼材料上で進行する「鉄鋼材料の自己腐食」が同時に進行する。しかし、実験ではこれら二つの現象を同時に解析できないため、正確な腐食量の把握は困難とされてきた。そのような点を解決するため、本研究では実験による解析に加えて、有限要素法に基づく数値シミュレーションの活用に取り組んでいる。数値シミュレーションでは腐食に関わる物理化学現象を連立方程式として表し、それを近似的に解くことで系全体の腐食挙動を推定することができる。腐食反応により生じた電流値・電位・化学種の空間的分布などに関するデータが得られるため、それを基にするとマルチマテリアル部材の定量的な腐食量(「ガルバニック腐食」と「自己腐食」それぞれの定量的な腐食速度)を算出することができる。また、計算条件を変化させることで、様々な実用環境での腐食挙動をシミュレーション上で再現することも可能であり、今後はマルチマテリアル部材に限らず多種多様な材料の腐食現象解析に適用できると期待される。
まとめ
マルチマテリアル部材の腐食挙動解析に際して、有限要素法に基づく数値シミュレーションの活用が有効である。今後はマルチマテリアル部材に限らず、多種多様な材料の腐食挙動解析について、数値シミュレーションを活用した研究を展開したい。