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マテリアル基盤研究センター
タイトル

ナノスケール電位計測技術を用いた機能性材料・デバイスの評価

キーワード

電位計測,ケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM),オペランド計測,太陽電池,全固体リチウムイオン電池

概要

材料やデバイス中の電位分布は電子やイオンなどのキャリア挙動を制御する重要な物理量である。そのため、デバイス動作下における内部電位の計測から、デバイス動作原理解明に資する重要な知見を得ることができる。我々は走査型プローブ顕微鏡技術(主にケルビンプローブフォース顕微鏡 (KPFM))を用いて高い空間分解能・時間分解能を有した電位計測技術を開発し、太陽電池などの半導体デバイスや全固体リチウムイオン電池をはじめとするイオン伝導体の評価へ応用している。これにより、微視的な視点からデバイス動作原理を理解し、新しいデバイス設計指針を得ることを研究の目的としている。

新規性・独創性

10nm程度の空間分解能を有した電位計測
オペランド計測を行うため、様々な環境場で動作する測定系を構築
オペランド計測によって得られるミクロな物性変化を、マクロなデバイス特性と直接比較し解析
周波数応答計測による局所インピーダンスの計測

内容

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不活性雰囲気や電圧印可状態、光照射下などで動作可能なKPFM測定系を構築し、蓄電池や太陽電池などの評価へ応用した。全固体リチウムイオン電池の評価では、イオンミリングにより電池性能を保った状態で断面加工を行い、電池内部をその断面に露出させる手法を開発した。これにより、充放電に伴う複合電極中の内部電位の変化を明瞭に可視化することに成功した。その結果、上図に示す通り、充電反応は集電体側から負極側へ不均一に進行していくのに対し、放電反応は複合正極全体で均一に進むことが分かった。このような反応機構の違いは従来の電気化学計測から解明することは難しい。このように電極内の充放電反応機構の微視的理解が進むことで、デバイス性能向上に資する新たなデバイス設計指針の獲得につながると期待される。また、開発した手法は、電池性能の劣化解析や充放電に寄与しない活物質の可視化など、様々な電池評価技術へと応用が可能である。
これまでに、同様の手法をペロブスカイト太陽電池、量子井戸太陽電池、GaN p-n接合など様々なデバイス評価へと応用している。また、通常の電位計測に加えて、電位の周波数応答を計測することで局所インピーダンスを計測する手法を開発し、電池材料(イオン伝導帯材料)の評価へと応用している。

まとめ

デバイス動作下における電位計測から、デバイス内部のキャリアの挙動を解析するための重要な知見が得られることを実証した。得られた情報を、マクロなデバイス特性と比較することで、デバイス動作原理の理解が進み、新たなデバイス設計指針の獲得につながる。これは試行錯誤の材料・デバイス開発を脱却し、物理・化学的知見に根ざした機能設計・制御を行うための重要な手段となり得る。

この機能は所内限定です。
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