- TEL
- 029-860-4965
- Address
- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
外部併任先
- 東京科学大学 科学技術創成研究院 自律システム材料学研究センター 特定教授
研究内容
- Keywords
電子顕微鏡,分子集合体,単分子観察,高速動画撮影
It still remains as a challenge to design functions of self-assembled materials in a predictable manner because of the lack of understanding on self-assembly processes at a molecular level. Here we demonstrate new electron microscopic techniques for high-resolution imaging of organic materials based on the chemical design of supporting substrates for specimen molecules. The new analytical approach allowed us to study the time evolution of the structures of individual molecules in the self-assembled structures without significant decomposition under irradiation of an electron beam. Based on the knowledge obtained by the microscopic imaging, we achieved structure control of a variety of functional self-assembled structures ranging from organic particles to bilayer membranes, which were utilized for device and medicinal applications.
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Koji Harano, Takayuki Nakamuro, Eiichi Nakamura. Cinematographic study of stochastic chemical events at atomic resolution. Microscopy. 73 [2] (2024) 101-116 10.1093/jmicro/dfad052
- Toru Ishikawa, Fumihiko Tanaka, Kosuke Kurushima, Akira Yasuhara, Ryusuke Sagawa, Tatsuya Fujita, Ryohei Yonesaki, Katsuhiko Iseki, Takayuki Nakamuro, Koji Harano, Eiichi Nakamura. Wavy Graphene-Like Network Forming during Pyrolysis of Polyacrylonitrile into Carbon Fiber. Journal of the American Chemical Society. 145 [22] (2023) 12244-12254 10.1021/jacs.3c02504 Open Access
- Helen Hoelzel, Sol Lee, Konstantin Yu. Amsharov, Norbert Jux, Koji Harano, Eiichi Nakamura, Dominik Lungerich. Time-resolved imaging and analysis of the electron beam-induced formation of an open-cage metallo-azafullerene. Nature Chemistry. 15 [10] (2023) 1444-1451 10.1038/s41557-023-01261-7 Open Access
口頭発表
- HARANO, Koji. Cinematic Molecular Science Explored by High-speed Transmission Electron Microscopy. ICMAT 2023. 2023 招待講演
- HARANO, Koji. Cinematic Molecular Science Explored by High-Speed Electron Microscopic Video Imaging. The 2022 MRS Fall Meeting & Exhibit. 2022 招待講演
- HARANO, Koji. Submillisecond Electron Microscopic Video Imaging for Cinematic Molecular Science. Microscopy & Microanalysis 2022 (M&M 2022) https://www.microscopy.org/MandM/2022/. 2022 招待講演
所属学会
日本化学会, 日本顕微鏡学会, 高分子学会, 有機合成化学協会, 錯体化学会, フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会
受賞履歴
- 基礎有機化学会 野副記念奨励賞 (2020)
- Thieme Chemistry Journals Award (2019)
- 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 (2019)
- 日本顕微鏡学会奨励賞 (2019)
- Chemist Award BCA, MSD Life Science Foundation (2018)
- 第65回 日本化学会進歩賞 (2016)
- 第9回 風戸研究奨励賞 (2016)
- 第25回 井上研究奨励賞 (2009)
外部資金獲得履歴
- 科研費 基盤研究(B) (2024)
- 科研費 学術変革領域研究(A) 計画研究 (2023)
- NEDO 先導研究プログラム (2023)
- 科研費 基盤研究(B) (2021)
- 科研費 新学術領域研究 (2020)
- 近藤記念財団 研究助成 (2019)
- 科研費 新学術領域研究 (2019)
- 科研費 基盤研究(B) (2017)
- 科研費 新学術領域研究 (2017)
- 科研費 挑戦的萌芽研究 (2016)
- JST 先端計測分析技術・機器開発プログラム (2016)
- 科研費 若手研究(A) (2014)
- 科研費 挑戦的萌芽研究 (2013)
- 科研費 新学術領域研究 (2012)
- 科研費 挑戦的萌芽研究 (2011)
- 科研費 若手研究(B) (2009)
マテリアル基盤研究センター
電子顕微鏡による映像分子科学および分子集合体科学の展開
電子顕微鏡,映像分子科学,分子集合体,単分子観察,その場観察,ナノ薄膜
概要
分子集合体、有機・錯体結晶、高分子などの分子性材料の電子顕微鏡観察においては、電子線照射による試料損傷が高分解能イメージングの妨げとなっている。本研究では、独自開発した電子顕微鏡試料作製手法および高速電子顕微鏡動画撮影・解析技術に基づき、単―分子や分子集合体の構造を原子分解能で明らかにし、さらに化学反応や構造変換など分子が関わる動的過程をリアルタイム映像として記録する「映像分子科学」研究を展開している。また、これらの研究で培った電顕技術を活かし、分子とマクロを繋ぐナノ、メゾ領域の階層的分子集合機構の理解に基づく、ナノ薄膜などの機能性分子集合体材料の開発を行っている。
新規性・独創性
● 単一分子の構造およびその時間変化を原子分解能映像として記録
● 電子線損傷に弱い有機・高分子試料の高分解能イメージング
● 複雑な化学反応を単分子レベルで可視化、反応機構の解明
● 炭素材料、金属有機構造体などの形成過程における中間体の逐次構造解析
● 極薄かつ柔軟な構造を有する分子集合性自立型ナノ薄膜の合成と応用
内容
単分子原子分解能時間分解電子顕微鏡法(SMART-EM)は、カーボンナノチューブやグラフェン等の低次元材料に孤立化して担持した観察対象分子を透過電子顕微鏡(TEM)と高速撮像素子を用いて動画撮影するイメージング手法である。原子分解能の映像として分子の時間変化を追跡できる本手法は、複雑な有機分子や分子集合体の三次元構造変換や、熱や電子線によって誘起される化学反応を映像として与え、バルク分析では得られない個々の分子の振る舞いの統計データとして様々な化学現象を解析することができる。また、分析電子顕微鏡を用いた単分子レベルの元素組成や電子状態の分析にも取り組んでいる。
電子顕微鏡による構造観察・動画撮影と材料合成を融合した機能性材料開発研究も推進している。一例として、気液界面を分子集合の場として用いることで、水素結合性部位を導入した[60]フラーレン分子からなる二分子膜の合成に成功している。この膜は数十平方センチメートルにわたって3ナノメートルの均一な膜構造を保ち、自立膜として単離可能という特長がある。また、膜内部に形成された親水性空間を介した高速プロトン伝導を示す。電子顕微鏡観察によって、柔軟な非晶質構造であること、また電子線照射に応答した可逆なアクチュエータ様挙動を示すことも見いだしており、イオン伝導体やセンシング材料、電子顕微鏡試料担体としての応用が期待される。
まとめ
● 分子科学と電子顕微鏡科学の融合によりこれまで困難とされてきた有機分子・高分子材料の高分解能イメージングを実現
● 材料の分子レベルの構造情報およびダイナミクスを材料設計へとフィードバックすることでより高機能な材料の開発へと展開
● 今後、観察対象を触媒反応やイオン輸送などへと拡張し分析手法としての応用用途を拡大