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- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
学生受け入れ中
研究内容
- Keywords
腐食防食,高酸素腐食, 表面処理, 不働態皮膜, 亜鉛めっき, コンクリート腐食, 水素侵入, 水素脆化
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Kotaro Doi, Sachiko Hiromoto. Synergistic Effects of Plastic Deformation and Chloride Ions on Corrosion Initiation of Steel Rebars in Simulated Concrete Pore Solution. Journal of The Electrochemical Society. 169 [8] (2022) 081505 10.1149/1945-7111/ac87d3
- Kotaro Doi, Sachiko Hiromoto, Tadashi Shinohara, Koichi Tsuchiya, Hideki Katayama, Eiji Akiyama. Role of mill scale on corrosion behavior of steel rebars in mortar. Corrosion Science. (2020) 108995 10.1016/j.corsci.2020.108995
- Kotaro Doi, Sachiko Hiromoto, Hideki Katayama, Eiji Akiyama. Effects of Oxygen Pressure and Chloride Ion Concentration on Corrosion of Iron in Mortar Exposed to Pressurized Humid Oxygen Gas. Journal of The Electrochemical Society. 165 [9] (2018) C582-C589 10.1149/2.1421809jes Open Access
書籍
- 土井 康太郎, 西田 孝弘, 佐伯 竜彦, 高橋 駿人, 上田 隆雄, 染谷 望, 齊藤 亮介, 高谷 哲. 6. コンクリート中の鋼材腐食を律速する酸素と水分状態. コンクリート技術シリーズ 131 コンクリート中への水分浸透評価とその活用に関する研究小委員会(362 委員会)成果報告書. 土木学会, 2022, 6.
- 染谷 望, 土井 康太郎, 西田 孝弘, 上田 隆雄, 斎藤 豪. 8. コンクリート中の鋼材の分極抵抗を用いた腐食速度評価. コンクリート技術シリーズ 131 コンクリート中への水分浸透評価とその活用に関する研究小委員会(362 委員会)成果報告書. 土木学会, 2022, 4.
会議録
- 左藤眞市, 土井 康太郎, 高谷哲. コンクリート中の酸素還元反応の特徴. コンクリート工学年次論文集. 46 [1] (2024) 781-786
- 土谷 浩一, 姜 保真, 土井 康太郎, 廣本 祥子, チャン ジェン. 異形鉄筋ミル・スケールの微細組織と腐食への影響. コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集. (2019) 187-192
- 土井 康太郎, 廣本 祥子, 秋山英二. 電気化学的不働態皮膜破壊と加圧酸素ガス供給によるモルタル埋設鉄の加速腐食. コンクリート構造物の補修, 補強, アップグレード論文報告集. (2018) 1016-1-1016-6
口頭発表
- 土井 康太郎. Mg合金の水素脆化研究に対する電気化学的アプローチ. 軽金属学会 アルミニウム中の水素と材料物性研究部会 第14回部会. 2023 招待講演
- DOI, Kotaro, HIROMOTO, Sachiko. Formation and Growth of Calcium Hydroxy Zincate on Zinc in Saturated Ca(OH)2 Solution. EuroCorr2023. 2023
- DOI, Kotaro, HIROMOTO, Sachiko. Electrochemical Hydrogen Permeation Test for Mg-based Materials. 74th Annual ISE Meeting. 2023
その他の文献
- 土井 康太郎. はばたく 腐食研究の道に進んで. まてりあ. 56 [4] (2017) 302 10.2320/materia.56.302
- 土井 康太郎, 廣本 祥子, 秋山英二. 加圧酸素ガス供給によるモルタル埋設鉄筋の腐食加速. 第65回材料と環境討論会講演集. (2018) A-101-1-A-101-2
- 土井 康太郎, 寺西 亮, 轟 直人, 小畠 淳平, 齊藤 信雄, 宮部 さやか, 小嶋 隆幸. 企画にあたって. まてりあ. 61 [7] (2022) 391-392 10.2320/materia.61.391
公開特許出願
- 非鉄金属材料内部への侵入水素の電気化学的測定方法及び装置 (2024)
- 鉄筋腐食促進試験法およびこれに用いる試験装置 (2018)
- コンクリート中性化促進試験法およびこれに用いる試験装置 (2019)
所属学会
日本金属学会, 腐食防食学会, 土木学会, 日本鉄鋼協会, 日本ばね学会
受賞履歴
- 令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 (2024)
- 腐食防食学会 進歩賞 (2023)
- スガウェザリング技術振興財団 科学技術奨励賞 (2023)
- NIMS理事長賞 進歩賞 (2020)
- 日本金属学会 奨励賞 (2019)
- 日本ばね学会 論文賞 (2017)
外部資金獲得履歴
- 令和5年度アルミニウム研究助成事業 7000系Al合金の不働態皮膜の力学的損傷に伴う腐食と水素侵入 (2023)
- 軽金属奨学会 研究補助金 卑な軽⾦属のための電気化学的⽔素透過試験法の開発 (2022)
- 科研費 基盤研究(C) 高酸素腐食促進試験法を用いた亜鉛めっき鉄筋の長期腐食進行メカニズムの解明 (2021)
- スガウェザリング技術振興財団 研究助成 高酸素腐食促進試験法の不働態化金属への適用 (2021)
- 科研費 若手研究 メカノケミカル環境におけるコンクリート中鋼材腐食の電気化学的評価解析手法の確立 (2019)
- 卓越研究員事業 力学的化学的複合環境における構造材料の劣化予測を目指したメカノケミカル腐食センサの開発 (2018)
- 科研費 若手研究(B) 急速ひずみ電極試験法を用いた鉄筋腐食メカニズムの解明と新加速試験への応用 (2017)
構造材料研究センター
高酸素反応促進技術による金属材料の腐食・防食研究
腐食,金属材料,酸素還元,コンクリート,表面処理
概要
腐食反応は、金属の溶解(アノード反応)と酸素還元(カソード反応)のカップリングである。従来の腐食加速試験法はアノード反応のみを促進しており、カソード反応に関しては着目されていなかった。本研究では、加圧酸素の供給(溶存酸素濃度の増加)により、金属表面のカソード反応を促進させ、腐食および腐食と同機構で進行する電気化学反応を加速させる新たな技術(高酸素反応促進技術)を開発した。本技術により、腐食加速による金属材料の腐食メカニズムの迅速な解明、耐食被膜の加速成長による高耐食化などが可能となった。
新規性・独創性
● アノード、カソード両反応の促進による自然な反応加速
● 実環境では数十年かかるコンクリート中鉄筋の迅速な腐食評価
● 裸の亜鉛よりも10倍以上の耐食性を発揮する耐食表面の加速創製
● 従来の腐食加速試験との融合によりさらなる腐食加速が可能(電食、乾湿繰返しなど)
内容
高酸素反応促進技術では、耐圧ガスチャンバー内に供試体(金属サンプルや金属を埋め込んだモルタルなど)を設置し、外部から高圧の酸素ガスを供給する。これにより金属表面と接する水溶液中の溶存酸素濃度が増加し、酸素還元反応(カソード反応)が促進される。金属の溶解(アノード反応)はもともとカソード反応により律速されているため、カソード反応の促進により反応全体が促進される。本技術を利用して、通常の酸素圧下では数年の期間が必要であったコンクリート埋設鋼材の腐食加速を可能とした。特に、普通鉄筋の表面に形成する熱い酸化皮膜(黒皮)に注目し、高酸素反応促進技術を用いて黒皮が鉄筋の耐食性を低下させることや黒皮の欠陥が鉄筋腐食の起点となることを明らかにした。最近では本技術を表面処理に応用し、裸の亜鉛と比較して10倍以上の耐食性を発揮する亜鉛の耐食被膜の加速創製にも成功している。これは亜鉛の耐食被膜の生成メカニズムが腐食と同じくカソード反応により律速されていることを利用したものである。
まとめ
カソード反応の促進により反応全体を加速させる高酸素反応技術を開発した。本技術により、低速で進行するコンクリート中鋼材などの迅速な腐食メカニズムの検討が可能となった。また、同技術を用いて亜鉛の耐食被膜の加速創製にも成功した。加圧酸素を用いる本技術は、設備導入やコスト面に課題があるため、今後は常圧酸素や酸化剤の使用による簡便・低コスト・高効率な技術への展開を目指す。