- CHEN.Jun@nims.go.jp
- Address
- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
電子・光機能材料研究センター
カソードルミネッセンスによるMg注入GaNの評価
カソードルミネッセンス,GaN,結晶欠陥,イオン注入,活性化
概要
窒化ガリウム(GaN)半導体は、省エネ化の切り札となるパワーデバイス用半導体として注目され、半導体産業の将来を左右するとも言える重要な研究課題です。その製造技術でキーとなるのがMgイオン注入によるp型GaN層の製造技術です。これまで、様々な分析手法でウェハー表面近傍における欠陥の評価が行われてきたものの、活性化したMg原子の空間分布を可視化する手法が無かったことから、GaN素子量産時の生産性向上の大きな壁となっておりました。走査電子顕微鏡(SEM)に分光器を組み合わせたカソードルミネッセンス(CL)法によって、この問題に取り組みました。
新規性・独創性
● イオン注入層の厚さは1㎛以下であり、空間分解能が100 nm程度で従来のCL法では、深さ方向に何が起きているかを明確に捉えるのは困難でした
● 斜め研磨による深さ分解法を提案し、深さ分解能は約10 nmまで上げる
● 試料作製技術の進歩で多層膜の深さ分析やナノ構造の断面解析で面白い結果が出ている
内容
図1に示すように、数度の傾斜で研磨することにより、厚さ方向の空間分解能を20倍程度(傾斜3°の場合)に拡大することができる。こうして得た試料に、CLスペクトルのラインプロファイルを測定することにより、Mg イオン注入層近傍での特性変化、特にその深さ方向分布を調べました。CL 観察を低温(80 K)、低加速 電圧
素子製造プロセスの改良のうち、斜め研磨試料を用い、低加速電圧の電子線をつかったCL観察手法を開発した。この手法を用いて、Mgイオン注入GaN層中Mg電気的な活性化及び深さ方向への分布、Mgの拡散と貫通転位の関連を明らかにすることが出来ました。種々のデバイスに対してこの手法を適用し、他の半導体のウェハーや基板について評価を展開する希望を持っています。
まとめ
素子製造プロセスの改良のうち、斜め研磨試料を用い、低加速電圧の電子線をつかったCL観察手法を開発した。この手法を用いて、Mgイオン注入GaN層中Mg電気的な活性化及び深さ方向への分布、Mgの拡散と貫通転位の関連を明らかにすることが出来ました。種々のデバイスに対してこの手法を適用し、他の半導体のウェハーや基板について評価を展開する希望を持っています。