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- 305-0003 茨城県つくば市桜3-13 [アクセス]
学生受け入れ中
研究内容
- Keywords
高速重イオン, イオンビーム, ナノ粒子, イオントラック
1.高速重イオン/クラスターイオン等と物質の相互作用
2.イオンビームによるナノ構造の形成 ー 形状・物性のコントロール
3.イオン照射による非晶質ナノ構造(イオントラック等)の形成とメカニズム解明
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
- 磁気冷凍材料、その製造方法、それを用いたAMRベッド、および、磁気冷凍装置 (2024)
- 透明性光学材料の光透過率低下の制御方法 (2002)
- 耐放射線性・不純物補償型光検知器 (1995)
所属学会
日本物理学会, 日本MRS
受賞履歴
- 貢献賞、日本MRSにおける30年間のイオンビーム材料研究、日本MRS (2019)
- Young Scientist Award, 12th International Conference on Ion Implantation Technology (1998)
電子・光機能材料研究センター
サッカーボール型フラーレンC<sub>60</sub>イオンをMeVに加速して材料に照射!!!
クラスターイオン,イオントラック,高速重イオン,MeV,ナノ粒子変形,加速器
概要
超高エネルギー100 MeV(1億電子ボルト)級の重イオンビームをナノ粒子やナノピラーなどのナノ構造に照射し、球形から楕円形、立方体から直方体などへの集団的な形状変化を引き起こす技術は、ここ十数年以上にわたる研究により応用への目途がつきつつある。しかし変形には最低でも数十MeV以上のエネルギーが必要であり、この高すぎるエネルギーが本技術の実用化への障壁となっている。本研究では、単原子重イオンの代わりにC60のようなクラスターイオンを用いることにより、加速エネルギー数MeV(つまり2桁小さいエネルギー)でもナノ構造に同様の変形を誘起できることを実証した。
本研究を開始してみて感じたことは、MeV級のC60イオンと固体の相互作用が予想以上に解明されていない点である。近年はMeV級のC60イオンと固体の相互作用、とりわけイオントラックの形成について解明を進めている。基礎過程の理解がさらなる応用へとつながると信じている。
新規性・独創性
● 本研究ではC60イオンを用いることにより、1 MeV級のエネルギーで、100 MeV級の単原子重イオンと同様なナノ構造の変形を実現した。
●超高エネルギー100 MeV級重イオンビーム照射によるナノ構造変形技術の優位性は知られていたが、このエネルギーを発生できる加速器施設は、国内でも数ヶ所の大型加速器施設に限られており、産業応用への展開は難しかった。しかし我々が示したように、 同様のナノ構造変形は1 MeV級の加速器でもある。1 MeV級の加速器は国内だけでも数十ヶ所存在し、産業応用への障壁がだいぶ低くなった。
● 超高エネルギーイオンによるナノ構造変形の基礎過程としてイオントラックの形成が注目されている。近年は基礎過程の解明のため、C60イオンにより形成されるイオントラックと100 MeV級の単原子重イオンの形成されるそれの違いに注目している。両者の間に顕著な違いを確認した。
内容

図左上は100 MeV級の重イオンビーム加速器の例を示す。この例では7階建ての建物が一つの加速器を構成する。100 MeV級ビームの発生にはこのような大型加速器が必要であり、国内でもこのような施設は数ヶ所に限られる。100 MeV級ビームをガラス中に分散させた金属ナノ粒子に照射した結果を左下図に示す。球形だったナノ粒子がビーム方向に伸び、ナノロッド(ナノ棒)に変形する。
図右上に1 MeV級のタンデム加速器の例を示す。このレベルの加速器は国内だけでも数十台以上が存在し、産業応用にも用いられている。本研究でC60イオンを用いれば1 MeV級加速器でもナノ粒子の楕円変形を引き起こすことが可能なこと(右下図)を示したため、産業応用への障壁が大幅に低くなった。
まとめ
極めて希少な100 MeV級のイオン加速器が必要だったナノ構造の変形を、C60イオンを用いることにより国内に多数存在する1 MeV級加速器で実現した。ただし、現時点では両者のイオン照射は同等ではなく、C60イオン照射はスパッタリング率が高く、条件によってはナノ構造を破壊する。これを避けるためにも数MeVのC60イオンと固体の相互作用の更なる解明を進めていく。

