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- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
構造材料、金属疲労、放射光CT
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Fumiyosi Yoshinaka, Takahiro Sawaguchi, Nikulin Ilya, Susumu Takamori, Nobuo Nagashima. Improved fatigue life of the newly developed Fe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si seismic damping alloy. Procedia Structural Integrity. (2019) 214-223 10.1016/j.prostr.2019.12.023 Open Access
- Tomoya Nagira, Houichi Kitano, Takashi Kimura, Fumiyoshi Yoshinaka, Susumu Takamori, Takahiro Sawaguchi, Takayuki Yamashita, Yasuhiro Aoki, Hidetoshi Fujii, Akihisa Takeuchi, Masayuki Uesugi. In-situ observation of solidification behaviors of Fe-Mn-Cr-Ni-Si alloy during TIG melt-run welding using synchrotron radiation X-ray. Materials Characterization. 214 (2024) 114093 10.1016/j.matchar.2024.114093
- Fumiyoshi Yoshinaka, Nobuo Nagashima, Takahiro Sawaguchi. Effect of Strain Rate on the Extremely Low-Cycle Fatigue of Fe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si Bidirectional-TRIP Steel. MATERIALS TRANSACTIONS. 65 [7] (2024) MT-Z2024002 10.2320/matertrans.mt-z2024002 Open Access
会議録
- Takashi Nakamura, Fumiyoshi Yoshinaka. Effects of vacuum-like environment on small internal crack growth processes in very high cycle fatigue. Procedia Structural Integrity. (2019) 978-985 10.1016/j.prostr.2019.07.079
口頭発表
- 吉中 奎貴, 澤口 孝宏, 高森 晋, 江村 聡. Fe-Mn-Cr-Ni-Si合金の塑性疲労特性に及ぼす化学成分の影響. 第36回疲労シンポジウム. 2024
- 柳樂 知也, 北野 萌一, 小林 正樹, 吉中 奎貴, 澤口 孝宏, 山下享介, 青木祥宏, 藤井英俊. Fe-Mn-Si系合金のアーク溶接における凝固現象の解明. 溶接学会2024年度秋季全国大会. 2024
- 薛 高格, 中村孝, YOSHINAKA, Fumiyoshi, 藤村奈央, OGUMA, Hiroyuki, 竹内晃久, 上椙真之, 上杉健太朗. Comparison of crack propagation rate between internal cracks and surface cracks under vacuum in (alpha+beta) and beta titanium alloys. 9th International Conference on Very High Cycle Fatigue. 2024
その他の文献
- 吉中 奎貴, 中村孝, 中村孝. 放射光X線CTによるTi-6Al-4Vにおける超高サイクル疲労過程の観察. チタン. (2019) 184-188
- 澤口 孝宏, ニクリン イリヤ, 吉中 奎貴. γオーステナイト/εマルテンサイト二相変形組織の結晶幾何学. 金属. [1] (2019) 5-13
所属学会
日本材料学会, 日本機械学会, 日本鉄鋼協会
構造材料研究センター
階層的疲労損傷メカニズムの解明と耐疲労合金創製
金属疲労,疲労き裂,破面観察,金属材料,鉄鋼,チタン合金,放射光,合金開発
概要
疲労は機械構造物の破損原因の大半を占めその対策は安全を確保するうえで重要な問題である。疲労破壊は巨視的には疲労き裂が発生・進展することにより生じるが、微視的にはき裂発生個所あるいはき裂先端領域における塑性変形がき裂を駆動する。すなわち、金属疲労は転位ー塑性変形ーき裂にまたがる現象であり、各階層にわたる理解が必要である。そこで、主に塑性変形メカニズムに特徴を持つ合金を対象に各種顕微鏡や放射光技術を活用し疲労特性の決定因子をマルチスケールに調査することで疲労メカニズムを解明すること目的として研究を行っている。さらに、疲労メカニズムに基づいた新規耐疲労合金を開発にも取組んでいる。
新規性・独創性
● 転位ー塑性変形ーき裂の関係に着目した疲労メカニズム解明
● 光学顕微鏡、電子顕微鏡、放射光技術を用いた疲労変形組織と疲労き裂の計測
● TRIP/TWIPを活用した疲労特性改善手法の模索
● 従来常識を超越した疲労耐久性を有する合金の開発
● 3D破面観察や放射光CTによる疲労き裂の三次元的調査
内容
金属疲労の本質は塑性変形であると捉え、特にオーステナイト鋼とβチタンについて疲労特性の調査を行っている。これらの材料は特異な塑性変形メカニズムを示すことが知られている。化学成分や試験温度を変えることで系統的に塑性変形メカニズムを変化させ疲労試験を行い、金属疲労を抑制するうえで最も効果的な変形メカニズムは何かを調査した。その結果、「変形の可逆性の向上」が疲労耐久性の改善において重要であることを確認し、それを達成する変形メカニズムである「双方向変態」を発現する鋼材=B-TRIP鋼の開発・調査を行っている。これまでに開発したB-TRIP鋼のうち、最も疲労耐久性に優れたものは一般鋼材の20倍もの疲労寿命を発揮する。また、き裂は損傷評価など実用上においても依然として重要な位置づけにある。そこで、光学顕微鏡やSPring-8を用いた放射光顕微鏡法によるき裂および微視組織のその場観察を活用した研究も推進している。き裂観察および破面観察のノウハウとSEM-EBSDなどによる組織解析を融合させることにより、転位から塑性変形、そしてき裂までを包括的に調査することで複雑な疲労現象についての理解を深めることを目指している。
まとめ
● 塑性変形メカニズムの最適化により疲労耐久性が改善できる。
● 変形可逆性の向上に主眼を置いた耐疲労合金を開発した。
● 転位から塑性変形、き裂までを包括的に解析することで、疲労メカニズムの理解に即した材料創製や損傷評価の高度化が期待される。