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研究内容

Keywords

有機半導体、π共役高分子、分子配向

所属学会

応用物理学会, 高分子学会

高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

新規有機半導体の開発と薄膜デバイス応用

キーワード

有機半導体,共役高分子,有機薄膜デバイス

概要

有機薄膜デバイスの有機ELは、真空蒸着法で製膜可能な低分子半導体で実用化しているが、溶液塗布法で製膜可能な高分子半導体は更なる開発が望まれている。また、有機ELに続くターゲットである有機薄膜トランジスタ(有機TFT)、有機薄膜太陽電池の実用化に向けた有機半導体の開発が必要である。このような材料開発は、新規有機半導体の物性、有機薄膜デバイスの特性を迅速かつ簡便に導出し、材料合成にフィードバックを行うことが重要である。本研究では、有機半導体の物性に合わせた有機薄膜デバイスの選定、有機薄膜デバイスの構造最適化を行うことで、新規有機半導体の特徴を最大限まで引き出す研究開発を行っている。

新規性・独創性

新規有機半導体の特徴を活かす有機薄膜デバイスの作製
有機薄膜デバイスの構造最適化による高性能化
ダイオード特性解析等による有機半導体薄膜の移動度評価
発光スペクトル解析等による有機半導体薄膜の構造評価

内容

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代表的な新規有機半導体の開発例として、アントラセン誘導体を用いた有機薄膜デバイス作製・評価の解説を行う。強いアクセプター性を有するペンタフルオロフェニル基をアントラセンに付与した2,6-DPA-Fは、低いLUMOエネルギー準位を有し、その真空蒸着膜の結晶性は分子が基板に対して垂直に配向していることから、基板に対し平行方向にπ電子の重なりが生じた。上記の特徴により2,6-DPA-Fをn型半導体として用いた有機TFTの作製・評価を行った。デバイス構造の最適化として、ソース・ドレイン電極をAgから電子注入が容易な低仕事関数のMgに変更することで、高い電子移動度0.12 cm2V-1s-1を得ることに成功した。

一方、2,6-DPA-Fのアントラセンにm-キシリル基を導入したTAAnt1の真空蒸着膜は2,6-DPA-Fとは対照的にアモルファス性であった。また薄膜の蛍光量子収率は29%であった。上記の特徴によりTAAnt1を発光材料として用いた有機ELの作製・評価を行った。デバイス構造の最適化として、発光材料を正孔輸送層と電子輸送層で挟むことにより発光材料内に正孔と電子を閉じ込め、効率的な再結合を促すことで、有機EL発光効率の指標である外部発光効率1.3%が得られた。材料の蛍光量子収率を考慮した外部発光効率の理論限界は1.45%であるため、デバイス構造の最適化で、材料の特徴を最大限活かしたデバイス作製に成功した。

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まとめ

有機半導体のエネルギー準位・蛍光量子収率等の物性、結晶性を総合的に判断し、最適な有機薄膜デバイスの作製
有機薄膜デバイスの構造最適化等による高性能化
未だ実用化していない有機EL用塗布材料、有機TFT用材料、有機薄膜太陽電池用材料の更なる開発

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