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研究内容

Keywords

高分子化学, 精密重合, 相分離, 高分子材料

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

所属学会

日本化学会, 高分子学会

高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

超巨大高分子ボトルブラシポリマーの研究

キーワード

高分子化学,高分子材料,相分離,精密重合

概要

ボトルブラシポリマーは、1本の主鎖と複数の側鎖から構成される超巨大高分子である。この高分子は、側鎖の排除体積効果に基づく主鎖伸長の結果として、シリンダー型構造をとる。直鎖状高分子が『長さ』という1つの構造情報のみを制御可能であるのに対し、ボトルブラシポリマーは『長さ』と『直径』という2つの構造情報を制御できる。我々は、他の物質では達成し難い、ボトルブラシポリマーの1次元ナノマテリアルとしての高い構造制御性に着眼し研究を遂行している。

新規性・独創性

史上最長のボトルブラシポリマー
『化学的性質』を制御可能な1次元ナノマテリアル
『長さ』と『直径』を制御可能な1次元ナノマテリアル

内容

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ボトルブラシポリマーは、従来の鎖状高分子には困難な構造制御を可能にする。2つの原子移動ラジカル重合開始点を有するノルボルネンモノマーを出発原料とし、開環オレフィンメタセシス重合(ROMP)と原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、ボトルブラシポリマーの主鎖と側鎖を合成する。これらのオルソゴナルなリビング重合によって、それぞれの重合度を制御することにより、ボトルブラシポリマーの『長さ』と『直径』を独立に調整可能である。開環オレフィンメタセシス重合において、このモノマーは高い反応性と優れたリビング重合性を有し、[モノマー]/[開始剤] = 10,000の場合でも、15分以内に反応が定量的に進行する。この主鎖から、側鎖をグラフトすることにより、史上最長のボトルブラシポリマーを合成できる。長さは7μmに到達し、生物学的尺度で示すと、大腸菌よりも長いサイズである。この合成の要素技術を基軸とし、固体および液体中での相分離構造に焦点を当て、研究を進めている。原子間力顕微鏡や小角X線散乱、そして粘弾性測定などの観察・測定・解析を通じて、ボトルブラシポリマーの構造、それらが形成する秩序構造、そして物性の関係を明らかにすることを目指している。

まとめ

ボトルブラシポリマーは、『長さ』と『直径』と『性質』を自在制御可能な1次元ナノマテリアルである。側鎖の種類を変えることにより、ガラス転移温度、屈折率、溶解性などを制御することが可能である。このため、ボトルブラシポリマーは、それ単独の性質のみならず、鎖状高分子との複合材料や多孔性材料合成の鋳型など様々な研究への展開が期待できる。

この機能は所内限定です。
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