SAMURAI - NIMS Researchers Database

HOME > プロフィール > 和田 健太郎

研究内容

Keywords

水素脆化,ニッケル合金,ステンレス鋼,金属疲労,積層造形

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表

    所属学会

    日本材料学会, 日本鉄鋼協会, 日本金属学会

    受賞履歴

    • 日本材料学会 論文賞(金属疲労S-N曲線の基本構造と疲労寿命のばらつきの本質) (2023)
    • 優秀講演表彰(日本機械学会材料力学部門) (2020)
    • Young Researcher Award(日本材料学会九州・四国支部) (2017)

    外部資金獲得履歴

    • 耐水素金属の高強度化に向けた,純ニッケルの水素助長粒界破壊メカニズム解明 (2021)
    構造材料研究センター
    タイトル

    極低温・高圧水素ガス環境における金属材料の水素脆化

    キーワード

    水素脆化,高圧水素ガス,極低温,純ニッケル,オーステナイト系ステンレス鋼,金属疲労

    概要

    カーボンニュートラルの実現に向けて水素エネルギーが注目されている。水素を貯蔵・輸送・消費するための機器開発が進められている一方、強度設計のための材料強度データ不足が問題となっている。金属材料の多くは、水素環境において強度特性が劣化(水素脆化)することが知られており、機器の開発・設計においては材料の耐水素脆化特性を含めた材料強度データの取得が必須である。特に、液化水素の利活用が広がりつつあることから、より低温での材料特性が重視されている。こうした背景から、室温以下の低温環境における材料の耐水素脆化特性を調査し、低温環境で特異的に発現する材料の水素脆化メカニズム解明に向けた研究およびそのための機器開発を行っている。

    新規性・独創性

    極低温領域において特有の水素脆化メカニズム解明
    幅広い温度範囲(室温~4.2 K)における各種力学試験
    中空試験片方式による高圧水素ガス中試験の低コスト・高スループット化
    極低温・高圧水素ガス中試験を支える試験技術および関連機器の開発
    得られた知見・材料特性データを活用した、高強度・耐水素金属の新規開発

    内容

    右図に、77 Kでの低ひずみ速度引張(SSRT)試験のセットアップを示す。真空断熱容器内部に液化窒素を充填し、試験片と治具を浸漬することにより冷却を行っている。寒剤を液化ヘリウムとすることにより4.2 Kでの試験も可能であるほか、液化水素を用いることにより20 Kでの試験も実施可能とするための技術開発を行っている。これら以外の温度域での試験については、冷凍機とヒーターの併用により試験片の温度調節を行いながら試験を実施する。この方式であれば任意の温度で試験ができる一方、装置が複雑であり、温度調節にある程度の技術が求められる。
    下図に、あらかじめ水素を固溶させた純ニッケル(水素チャージ材)を用いたSSRT試験の結果を示す。

    image
    image

    水素チャージしていない場合(黒線)に比べて、水素チャージした場合(赤線)には、材料の延性が大きく低下している。また、同図に示す破面写真からは、水素により破壊経路が粒内から粒界へと変化したことが分かる。図中には示していないが、中空試験片方式を活用した高圧水素ガス中試験(室温~20 K)も実施可能である。このように幅広い温度・ひずみ速度範囲において網羅的にデータを取得し、緻密な観察を行うことにより、極低温環境において特有の水素脆化メカニズムおよびその支配因子の解明を目指している。さらに、これら研究により取得した豊富なデータを武器に、データ駆動型研究による高強度・耐水素合金の開発を計画している。

    まとめ

    純ニッケルを例に試験結果を示したが、オーステナイト系ステンレス鋼や銅合金などについても水素脆化に関する研究を進めている。また、SSRT試験以外にも、破壊靱性・疲労・疲労き裂進展試験を行っている。研究により得られる知見の提供に加え、極低温・高圧水素ガス環境における材料特性データそのものについても蓄積・公開し、水素利用機器の開発・設計に貢献していく。

    この機能は所内限定です。
    この機能は所内限定です。

    ▲ページトップへ移動