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学生受け入れ中
研究内容
- Keywords
イオン液体、高分子ゲル、ブロック共重合体、細胞足場材料、衝撃吸収材料、メカノバイオロジー、生体適合性、刺激応答性
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Takeshi Ueki, Koichiro Uto, Shota Yamamoto, Ryota Tamate, Yuji Kamiyama, Xiaofang Jia, Hidenori Noguchi, Kosuke Minami, Katsuhiko Ariga, Hongxin Wang, Jun Nakanishi. Ionic Liquid Interface as a Cell Scaffold. Advanced Materials. 36 [26] (2024) 2310105 10.1002/adma.202310105 Open Access
- Yuji Kamiyama, Ryota Tamate, Takashi Hiroi, Sadaki Samitsu, Kenta Fujii, Takeshi Ueki. Highly stretchable and self-healable polymer gels from physical entanglements of ultrahigh–molecular weight polymers. Science Advances. 8 [42] (2022) 10.1126/sciadv.add0226 Open Access
- Ryota Tamate, Takeshi Ueki. Adaptive Ion‐Gel: Stimuli‐Responsive, and Self‐Healing Ion Gels. The Chemical Record. (2023) e202300043 10.1002/tcr.202300043
口頭発表
- 上木 岳士, 宇都 甲一郎, 山本 翔太, 中西 淳. イオン液体の界面を用いた細胞培養. 第13回イオン液体討論会. 2023
- 植田 まい, 上山 祐史, 上木 岳士, 渡辺啓介, 勝本之晶. イオン液体を溶媒に用いたpoly(2-isopropyl-2-oxazoline)の相転移. 第72回高分子学会年次大会. 2023
- 猿渡 彩, 上山 祐史, 玉手 亮多, 中西 淳, 上木 岳士. 細胞無毒性イオン液体を溶媒に用いた刺激応答性高分子ゲルの創製. 第72回高分子学会年次大会. 2023
その他の文献
- 玉手亮多, 上木 岳士, 秋元ー水谷 文, 吉田亮. 動的ハイドロゲルの創製と三次元細胞培養への応用. Material stage. [9] (2018) 501-506
- Mizuki Tenjimbayashi, Gen Hayase, Takashi Hiroi, Takeshi Ueki. Single‐Step Wet‐Process Formation of Dual‐Layer Superslippery Coating with Transparency and Robust Omniphobicity (Adv. Mater. Interfaces 22/2022). Advanced Materials Interfaces. 9 [22] (2022) 2270122 10.1002/admi.202270122
- 玉手亮太, 上木 岳士, 北沢侑造, 葛貫森信, 渡邉正義, 秋元(水谷)文, 吉田亮. 光二量化により粘弾性を変化できるABAトリブロックコポリマーを基盤とした動的ハイドロゲルの創製と三次元細胞培養への応用. ネットワークポリマー. 38 [2] (2017) 103-109
所属学会
高分子学会, イオン液体研究会, 日本化学会, American Chemical Society
受賞履歴
- 5th Congress on Ionic Liquids (COIL-5) The Best Poster Award (2013)
- 高分子研究奨励賞 (2012)
- GelSympo2012 Polymer International Prize Award (2012)
- 第22回高分子ゲル研究討論会 優秀演題賞 (2011)
- 第2回イオン液体討論会 優秀ポスター賞 (2011)
- 第17回高分子ゲル研究討論会 最優秀ポスター賞 (2006)
外部資金獲得履歴
- 科研費 基盤B 細胞に対して可逆的にメカニカルストレスを与える光応答性ブロック共重合体 (2023)
- 科研費 挑戦的研究(萌芽) イオン液体の界面を利用した幹細胞分化誘導 (2020)
- 科研費 基盤B 力学/化学的性質の独立制御によるメカノバイオロジカル高分子ゲルの創製 (2020)
- 科研費 若手A ブロック共重合体の時間構造化を基盤とした動的バイオミメティクスの開拓 (2015)
- 科研費 挑戦的萌芽研究 プロトン性イオンを用いた化学振動反応の開拓 (2014)
- 科研費 特別研究員奨励費SPD イオン液体を一成分とする刺激応答性ソフトマター科学の開拓と応用 (2011)
- 科研費 特別研究員奨励費DC イオン液体を溶媒に用いた高分子ゲルの創製とナノ構造導入による機能化 (2006)
高分子・バイオ材料研究センター
イオン液体と高分子からなるソフト材料
イオン液体,高分子ゲル,ブロック共重合体,細胞足場材料,衝撃吸収材料,メカノバイオロジー,生体適合性,刺激応答性
概要
イオン液体はリサイクルが容易な環境に優しい液体です。セルロース等の難溶性高分子の溶剤にも適用できる上、蒸気圧が極めて小さく大気中に拡散しません。熱的、(電気)化学的に安定かつ不燃性なので、様々な温度、圧力環境でも安定で、水中でも使うことができます。本研究ではイオン液体の環境適合性や、特殊溶解性を利用した、様々な時空間スケールで活躍する力学機能材料を提供します。具体的には、無毒性イオン液体/ゲルの界面を利用したメカノバイオロジカル細胞足場材料、汎用ビニルポリマーと複合化した伸縮性・自己修復性に優れるイオン導電材料、可撓性と高弾性を両立した衝撃吸収材料などです。
新規性・独創性
● 溶媒成分のエンジニアリングによる高分子ゲルの力学機能設計。
● 幅広い温度、圧力環境に適用可能なウェット材料。
● 力学的/化学的性質の独立制御が可能なゲル材料。
● 力学特性や膨潤性のスイッチングが可能なゲル材料。
● 細胞毒性を示さない非水系高分子ゲル材料。
内容
ある種の疎水性イオン液体が長期間に渡って細胞と共存させても毒性を示さず、その生存を脅かさないことを見出しました。現在、我々はこの細胞無毒性イオン液体の界面を利用した細胞培養を検討しています。液体界面の細胞培養はプラスティックディッシュによる従来の2D細胞培養に比べて、細胞の接着面積を圧倒的に引き上げられるため、再生医療に貢献する有用な幹細胞資源の高速/高効率プロセス化に期待が寄せられています。また、これらイオン液体は極性が高いものの水と混じり合わず、様々な汎用(高)分子化合物を溶解させる能力を持ちます。コンポジットの設計次第で材料自身に熱や光等の外部刺激に対する応答性を織り込むことも可能です。こうした材料のデザイナビリティを活かし、様々な時空間スケールで機能を発揮する力学機能材料の設計を進めています。例えばそれはイオン導電性の次元を制御した電解質膜、細胞に力学ストレスを印加できるメカノバイオロジカルゲル、伸縮自在な自己修復ゲルなどです。研究を進めていく中で、イオン液体からなる非ニュートン性流体も発見しました。こうした基盤技術や材料は人体に貼り付けて使うストレッチャブルな電気化学デバイスや、ストレインセンサー、衝撃吸収材料にも応用可能と考えられます。
まとめ
● 無毒性イオン液体/ゲルの合理設計により新しい細胞プラットフォームを提案した。
● 液体中における高分子の刺激応答性を利用した、細胞足場材料を実現した。
● 高強度、高伸縮性等の優れた力学特性を持つ、イオン液体と高分子からなるソフト材料を実現した。
● イオン液体と高分子自身の構造設計による高機能化を目指す。例えば、力学刺激のみで所望の細胞機能(分化など)を引き出す、液体/ゲル足場の実現、および物理化学特性の解明など。