SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

ナノテクノロジー、表面科学、超伝導

物質の表面界面では、バルクとは異なる原子構造や電子状態をとるなど、様々な興味深い現象が現れます。また、表面界面では結晶内部と違って空間反転対称性が破れており、物質が内部にもつトポロジーが不連続に変化できるため、応用上重要なラシュバ効果やトポロジカル表面状態が発現する場所でもあります。私たちは、量子力学的性質が顕著に現れた「量子相物質」を表面界面において原子レベルから設計・創製して、その重要な物性と機能性を解明していくことを目標にしています。現在のところ、原子レベル厚さの領域の固体表面界面で現れる超伝導を中心に研究しています。また、超清浄・極低温環境における電気伝導測定技術などを独自に開発しています。

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(左)シリコン表面上に成長したインジウム原子層の走査トンネル顕微鏡像。(右)超伝導転移を直接的に示す、インジウム原子層の電気抵抗の温度依存性。

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

書籍
会議録
口頭発表

所属学会

日本物理学会, 応用物理学会, 日本表面真空学会

受賞履歴

  • 日本表面科学会会誌賞 (2016)
  • 物質・材料研究機構 理事長賞研究奨励賞 (2014)
  • Nature Nanotechnology Poster Prize, E-MRS 2014 Spring Meeting (2014)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル

表面界面における量子物質の開拓と物性解明

キーワード

表面界面,原子層,2次元系,ナノテクノロジー,量子物性,超伝導

概要

表面界面は物質の内部と外界が不連続につながる場所であり、その特異性に起因して新しい量子物質相が現れる。また外界からの制御が容易であり、デバイス機能が発現するため応用上も重要である。NIMSでこれまでに培った超高真空・ナノテクノロジー技術を駆使することで、表面界面における2次元量子系を原子・分子レベルで設計・創製し、未知の物性と機能性を明らかにしていく。

新規性・独創性

一般にこれまで存在しないと考えられていた原子層厚さの2次元超伝導体を表面界面で創製し、その明瞭な超伝導転移を実証した。さらにバルク超伝導体とは異なる特徴として、以下の性質を明らかにした。
表面原子ステップがジョセフソン接合として働くこと
表面敏感性を有し、有機分子吸着によりその超伝導状態を変調できること
空間反転対称性の破れによりラシュバ型のスピン軌道相互作用が生じ、このために巨大な臨界磁場をもつこと

内容

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シリコン表面上に成長したインジウム原子層結晶の超伝導特性を、走査トンネル顕微鏡(STM)、角度分解光電子分光(ARPES)、および電子輸送測定により解明した。一般に超伝導は磁場によって容易に破壊されるが、ラシュバ型スピン偏極と動的なスピン運動量ロッキング効果により、特定方向に臨界磁場が巨大化することを見出した。
(a)超伝導転移を示す電気伝導度の温度依存性。挿入図は試料の原子分解能STM像を示す。(b)試料の原子構造モデル。2次元超伝導体はインジウム原子層2層(1ユニットセル)から構成される。(c) 高分解能レーザーARPESによって得られた試料のフェルミ面。ラシュバ型スピン軌道相互作用によるフェルミ面のスピン分裂が観測された(黒矢印)。青色と赤色の矢印はフェルミ面におけるスピン偏極方向を示す。(d)温度の関数として表示した面内および面直方向の超伝導臨界磁場。温度はゼロ磁場での転移温度(Tc0 ~ 3K)で、磁場はパウリ臨界磁場(BPauli ~5T)で規格化している。面内方向の臨界磁場(Bc2||)が異常に増大されている。

まとめ

表面界面での2次元超伝導体の量子物性を解明することで、超伝導素子、量子演算、スピントロニクスなどへの応用が期待される。また、表面界面で形成される原子層ヘテロ構造のトポロジカル物性やスピン物性の研究も進めている。

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