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出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
- 磁気冷凍材料およびそれを用いた磁気冷凍システム (2023)
- 低熱膨張率合金からなる構造用材料およびその装置 (2016)
- 銅ガリウムテルル系p型熱電半導体、及びそれを用いた熱電発電素子 (2018)
所属学会
日本物理学会, 粉体粉末冶金協会, 日本熱電学会
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
磁性の効果を利用した熱エネルギー変換材料の開発
熱エネルギー変換,熱電材料,磁性,金属間化合物
概要
熱から電気を取り出すことのできる熱電変換はIoT機器の自立電源や省エネルギーに役立つ技術として期待されている。より大きな電力を得ることが求められているが、このためには大きなゼーベック係数、小さな電気抵抗と熱伝導率をもった熱電材料を開発する必要がある。我々は磁性半導体の磁性イオンとキャリアの相互作用や、磁性金属のスピン揺らぎによってゼーベック係数が増大することを発見し、この原理を利用した熱電材料開発を進めている。
新規性・独創性
● 化合物半導体、金属合金、薄膜など様々な材料作製技術
● 安全・安価・安定な熱電材料
● 新規なメカニズムに基づく熱電材料
● 室温近傍での高性能発現
内容
熱電変換は熱から電力を得ることができ、長期耐久性を有する、小型化による損失がないなどの利点から、カーボンニュートラルへの対応や電池フリーのIoTデバイスの電源として注目されている。実用化のためには、高い特性を示し、安全・安価・安定な熱電材料の開発が急務であり、世界中で研究開発が加速している。
我々はカルコパイライト磁性半導体やホイスラー型強磁性合金などで、室温付近で大きな熱電出力因子を持つ材料の開発に成功している。ここでは磁性イオンと伝導キャリアの相互作用により熱電材料の特性向上が実現していることを見出した。このメカニズムによりさらに高性能な熱電材料を得ることができる可能性がある。これらの材料は有毒元素を含まず、大気中でも安定であるため、IoT応用に適している。我々の対象とする材料系は粉末焼結バルク体や金属合金インゴットなど多岐にわたり、さらに高特性を示す挑戦的な材料として、大型単結晶や薄膜熱電材料の開発も進めている。
まとめ
熱電変換の社会実装により熱エネルギーの有効利用が実現できれば社会に大きなメリットがある。高特性で安全・安価・安定な熱電材料の開発は最も重要な課題である。今後、さらなる高性能化のための基礎研究と同時に、発電用素子やデバイスへの搭載を進めることで実用化を目指していく。