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- 305-0003 茨城県つくば市桜3-13 [アクセス]
研究内容
- Keywords
フェルミ面、ドハースファンアルフェン効果、強相関
所属学会
日本物理学会
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
強磁場超低温を用いた電子状態研究
強磁場,超低温,量子振動,フェルミ面
概要
物質の示す有用な機能の多くは物質中の電子が担っている。例えば、電気抵抗なしに電流が流れる超伝導は、電子が二つずつペアになることによって発現する。あるいは、未来の量子情報処理に役立つのではと大きな関心を集めているトポロジカル物質は、電子の状態が特異なためそのように呼ばれる。私たちは、絶対温度0.03度、磁場20テスラという超低温強磁場を用いた測定により、超伝導体やトポロジカル物質などの量子マテリアル中の電子の状態を明らかにすることを目指している。
新規性・独創性
● 絶対温度0.03度、磁場20テスラの超低温強磁場極限環境における精密測定
● ドハース・ファンアルフェン振動やシュブニコフ・ドハース振動などの量子振動の計測によるフェルミオロジー
● 鉄系超伝導体やトポロジカル半金属などの電子状態
内容
鉄系超伝導体母物質CaFeAsF(図1)の単結晶について、超低温0.03Kで磁気抵抗を測定した(図2)。磁場方位は結晶c軸方向である。磁気抵抗(図2赤線)は磁場に対して振動しながら増大している。磁場微分(図2茶色線)を見ると5T程度から振動が始まっているのがわかる。この振動現象はシュブニコフ・ドハース効果によるものである。様々な磁場方位で同様な測定を行い、結果を解析し、バンド計算の結果と照らし合わせることで、フェルミ面が決定できる(図3)。ブリルアンゾーンの中心にホール面が、その両脇に電子面が存在する。更に、振動位相の解析により、電子面が線形分散を持つディラック電子によるものであることが明らかになった。
まとめ
量子状態を精密制御することで機能を発現する量子マテリアルの開発において、その基礎となる電子状態を明らかにすることは非常に重要である。超低温強磁場中での量子振動測定などの電子状態研究は、そのために極めて有効であり、不可欠である。