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研究内容

Keywords

原子スイッチ, 脳型デバイス, イオニクスデバイス, 次世代情報通信用ナノデバイス

所属学会

日本固体イオニクス学会, 応用物理学会

受賞履歴

  • SSDM(国際固体素子・材料コンファレンス) Award (2020)
  • 応用物理学会フェロー表彰 (2020)
  • つくば賞 (2017)
  • 応用物理学会・論文賞 (2012)
  • 物質材料研究機構・理事長賞(研究功績賞) (2010)
  • 日本表面科学会・会誌賞 (2007)
  • 文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門) (2007)
  • 未踏科学技術協会インテリジェント材料&システムフォーラム・高木賞 (2005)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル

イオニクスとエレクトロニクスによるIT,AI素子の創製

キーワード

IT・AI用機能材料,イオニックナノアーキテクトニクス,原子スイッチ,ニューロモルフィック素子回路

概要

今日の情報通信機器は、半導体素子に代表される電子素子の技術開発により、目覚ましい発展を遂げてきた。しかし、近年では半導体素子の進歩を支えてきた微細加工技術の限界が懸念されている。そのため、従来の半導体素子の開発限界を克服するために、全く新しい概念の素子創製にも注目が集まっている。このような新奇素子の開発技術として、固体中の電子輸送を制御するエレクトロニクスだけでなく、固体中のイオン輸送を制御するイオニクスも期待されている。これまで、我々はイオニクスを基盤として、これにエレクトロニクスとナノテクノロジーを融合させたイオニック・ナノアーキテクトニクス法を開発し、様々な機能や性能を有する素子を創出してきた。

新規性・独創性

固体内の局所的なイオン輸送を制御して動作する新しい概念の素子
小型・低消費電力でOn/Offスイッチ、アナログ抵抗、量子化伝導、磁気、電気容量などの制御が可能
放射線や電磁ノイズなどの過酷環境下でも動作可能
人間の脳や五官などを模倣するニューロモルフィック機能の発現とそれらの性質を人工知能素子として利用可能
従来の半導体素子では得られない電気的、磁気的、光学的、機械的な機能や性能を有する様々な素子の創製が可能

内容

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従来の半導体素子とは異なる原理で動作する、イオニック・ナノアーキテクトニクス法で創製した素子の特徴は、使用する素子材料の骨格を構成している原子(イオン)の移動をナノスケールから原子スケールで制御して動作させることにある。電子と比べて質量やサイズが著しく大きなイオンの輸送制御は、素子材料の結晶構造やヘテロ界面などを再構築することであり、材料の可逆的なナノ建築 (=ナノアーキテクトニクス) を可能にする。このイオニック・ナノアーキテクトニクスに基づく新規デバイスは、外部からの電圧印加などにより可逆的あるいは不可逆的な構造変化を素子材料内で生じさせ、そこから発現する興味深い物性を利用することによって動作する。素子材料として用いる機能性材料を目的に応じて選択することによって、従来の半導体素子では得られない電気的、光学的、磁気的、機械的な機能や性能を有する様々な素子を開発することが可能である。
これまでに、我々は原子スイッチ、人工シナプス、意思決定素子、物理リザバー素子、人工五官素子、多値メモリ、可変抵抗素子、可変磁気抵素子、可変超伝導素子などを構築している。更には、神経細胞の可塑性などを模倣する多様な素子の開発も可能になったことから、人間の脳の機能を模倣して動作する小型・低消費電力のニューロコンピューティングのための各種素子やシステムの開発を企業連携研究により推進し、次世代高度情報通信社会などへの発展に貢献したいと考えている。

まとめ

我々が開発した原子スイッチを搭載したFPGA(書き換え可能集積回路)は企業により実用化され、宇宙空間の過酷環境下で優れた動作性能が確認されている。また、脳機能を模倣する人工シナプス素子、人工視覚素子、物理リザバー素子などが創製されており、今後、これらの素子を用いて、次世代人工知能技術を担うニューラルネットワーク回路や人工知能システムなどの開発に展開できると期待される。

この機能は所内限定です。
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