SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

所属学会

イオン液体研究会, 高分子学会, 電気化学会, American Chemical Society

高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

機能性高分子ゲル電解質の開発と電気化学デバイスへの応用

キーワード

自己修復,高強度,イオン液体,ゲル電解質,リチウム二次電池

概要

電気自動車・ドローンなど新たな移動体の出現、IoT時代の到来により、フレキシブル/ウェアラブル機器や高容量・高安全な二次電池といった新たな電気化学デバイスが求められている。このような背景をもとに、不揮発性・電気化学/熱的安定性などの性質から次世代電解液として注目されるイオン液体と高分子からなるゲル電解質「イオンゲル」に関する研究を実施してきた。特にウェアラブルデバイス等に求められる機械的な耐久性の向上を目的とした自己修復性イオンゲルの創製を行った。更に有機溶媒と無機塩からなる有機電解液に対象を拡げて、ゲル電解質への自己修復性・高強度性など力学機能の付与、次世代リチウム二次電池への応用に関して研究を実施した。

新規性・独創性

自発的に損傷を修復できる新しいイオン伝導性ゲル材料の開発
超高分子量ポリマーの絡み合いという汎用的かつ全く新しいコンセプトによる自己修復ゲル
優れた力学特性と自己修復性の両立、リサイクル性の付与
非常に高強度なリチウム伝導性ゲル電解質の創出
リチウム金属負極の保護被膜への応用によるリチウム金属電池のサイクル性能の大幅な向上を実現

内容

イオン液体中でのラジカル重合において、開始剤量を極低濃度とすることで超高分子量ポリマーが高いモノマー転化率で生成し、超高分子量ポリマーの絡み合いにより化学架橋剤フリーで自立したゲル「超高分子量ゲル」が形成されることを見出した。超高分子量ゲルは、高い自己支持性・伸張性・リサイクル性に加え、室温での迅速な自己修復性という優れた性質を示す。超高分子量ゲルは汎用のモノマー・イオン液体から非常に簡便に作成できるため、ストレインセンサーやフレキシブルバッテリーなどウェアラブルデバイスの電解質として応用が期待される。

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高容量蓄電池に対する需要の高まりから、リチウム金属負極を用いた二次電池に注目が集まっており、リチウム金属負極の問題である安全性・サイクル安定性を向上させる試みが活発に進められている。有機電解液組成と高分子構造の最適化により、リチウム塩濃厚電解液と新規水素結合性高分子から形成されるゲル電解質が、これまでに報告されたリチウム伝導性ゲル電解質の中で破格に高い力学強度を持つことを見出した。このゲルをリチウム金属負極の保護被膜に用いることで、サイクル特性を大きく向上させることに成功した。次世代リチウム二次電池の実用化に貢献する技術となることが期待される。

まとめ

イオン液体中での超高分子量ポリマーの絡み合いを利用することで、汎用的で簡便に合成できる新しい自己修復ゲルを創製した。
高強度ゲル電解質をリチウム金属負極の人工保護被膜に適用し、リチウム金属電池のサイクル特性を大きく向上した。
これらの機能性ゲルは、今後ますます需要が高まるIoT機器や次世代蓄電池の電解質としての応用展開が期待される。

この機能は所内限定です。
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