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研究内容

Keywords

First-principles calculation, Materials theory, Phonons, Energy transport, Permanent magnets, Software development

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
書籍
口頭発表
その他の文献

所属学会

日本物理学会

受賞履歴

  • 2024年度HPCIソフトウェア賞 開発部門賞 最優秀賞 (2024)
  • 令和6年度科学技術分野 文部科学大臣表彰 若手科学者賞 (2024)
  • 第16回 凝縮系科学賞 (2021)
  • 日本物理学会若手奨励賞 (2019)
  • 第38回 エレクトロセラミックス研究討論会 最優秀賞 (2018)
  • ECT2017 Poster Award (2017)
  • CSW2014 Young Investigator Award (2014)
磁性・スピントロニクス材料研究センター
タイトル

先進フォノン計算を用いた有限温度物性予測

キーワード

第一原理計算,構造相転移,フォノン,輸送特性,磁性

概要

現代の物質・材料研究において、計算機シミュレーションは実験・理論に次ぐ第3のアプローチとしての地位を確立している。特に、密度汎関数法(DFT)に基づく第一原理計算は実験結果の解釈や新物質設計、未知物性予測などに広く用いられている。しかし、DFTは基底状態の理論であるため、有限温度に潜む高機能材料や準安定相の予測が困難である。そこで、本研究では、フォノンやスピンのエントロピーを考慮し、有限温度における結晶構造や物性を予測できる効率的な第一原理計算手法の開発を行う。開発した手法を誘電材料、熱電材料や磁性材料へ適用し、その有効性を実演する。

新規性・独創性

有限温度における結晶構造最適化や構造相転移シミュレーションを実現
非調和効果を精密に考慮した第一原理フォノン計算
誘電性、輸送特性、磁性などの各種物性におけるフォノン効果の理解と予測

内容

image

構造相転移や熱膨張などを正確に予測するためには、格子振動の非調和性を正確に考慮する必要がある。そこで我々は、自己無撞着フォノン理論に基づく有限温度フォノン計算手法の開発を行っている。本手法では、まず単位胞を複数個含むスーパーセルで複数回DFT計算を実行し、そこから得られた変位と力のデータから原子間の非調和ばね定数を推定する。このときにLASSOなどのスパースモデリング手法を用いることで、物理的に重要な非調和ばね定数を決定するために必要な学習データ数(DFT計算の回数)を大幅に減らすことが可能であり、それによって計算効率が飛躍的に向上している。つづけて、求めた非調和ばね定数を用いて自己無撞着フォノン(SCP)計算を行い、温度変化するフォノン分散を計算する。SCP法を用いることで、従来では困難だった高温相や格子振動の非調和性が強い材料のフォノン分散を正確に予測することが可能になる。さらに、SCP法によってヘルムホルツ自由エネルギーを計算し、それを最小化するように結晶構造最適化を行うことで、有限温度における構造変化も予測できる。
開発した手法をチタン酸バリウムへ適用し、降温によって立方晶→正方晶→直方晶→菱面体晶と逐次相転移する様子を再現する事に成功した。また、構造に応じて敏感に変化する自発分極についても、実験結果を再現することに成功した。
開発した手法を用いることで、準調和近似に基づく従来のフォノン計算では不可能だった構造相転移のシミュレーションが可能になり、さらに高温相のフォノン分散が高い精度で予測できるため、誘電率、電気・熱伝導率、磁性などさまざまな物性におけるフォノン効果の解析に用いられている。今後は、本手法を用いた準安定機能材料の探索やスピン励起効果の導入による汎用性向上など、多方面への展開が期待できる。

まとめ

従来の第一原理計算では困難だった有限温度におけるフォノン計算や結晶構造最適化を実現
有限温度での誘電性や電気・熱伝導特性、磁性などさまざまな物性おけるフォノン効果を理解・予測するための汎用的な手法を開発
今後はシミュレーションによる準安定機能材料の探索やスピン励起・スピン-フォノン相関効果を取り入れる手法拡張など多方面に展開

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