SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

高温超伝導体、超伝導量子干渉素子、磁気顕微鏡

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      応用物理学会

      ナノアーキテクトニクス材料研究センター
      タイトル

      超伝導・磁性材料・デバイス開発のための低温磁気特性研究

      キーワード

      超伝導材料、磁性材料、超伝導量子デバイス、スピントロニクス、磁気光学効果、磁気顕微鏡、PLD成膜法、磁束量子、渦糸、計算機シミュレーション

      概要

       粒子加速器などの量子ビーム応用、超伝導量子コンピュータ、核融合発電やAIデータセンターへの大容量電力供給、さらに磁気浮上列車や超伝導モーターなどへの応用に向けて、超伝導材料のさらなる高性能化が求められている。とりわけ、これらの機器に用いられる超伝導線材の低損失化・高性能化を実現するためには、低温環境下における超伝導体の磁気特性を精密に理解することが重要である。
       本研究では、超伝導体内部に存在する超伝導渦糸(磁束量子)の運動に着目する。特に、単一渦糸をリアルタイムかつ高い空間分解能で追跡できる磁気光学顕微鏡を開発し、磁束状態および渦糸運動の動的計測を行う。これにより明らかになる渦糸運動の法則は、微細超伝導線材や超伝導デバイスにおける動的ピンニング設計の学術的基盤となるだけでなく、高性能超伝導材料の開発指針としても重要な役割を果たす。
       さらに、実験による観察と並行して、計算機を用いた理論シミュレーションにより渦糸ダイナミクスを解析し、実験結果との比較を通じて渦糸運動の物理機構を解明する。また、単一渦糸観察のさらなる高感度化・高分解能化を目指し、パルスレーザー成膜法(PLD法)を活用した高性能磁気光学センサの開発も行う。

      新規性・独創性

      ● 独自のパルスレーザー成膜法による、高品質な磁気光学磁性薄膜や高温超伝導薄膜の合成。
      ● それらを使用した、高感度・高分解能なリアルタイム磁気光学顕微鏡の開発。
      ●渦糸分子・クラスターの動的形成や分数磁束量子の観察など超伝導体の特異な渦糸状態を含む磁気特性のこれまでにない、動的な観測。
      ● 実験結果を説明する、渦糸物理量子シミュレーションの開発研究。

      内容

      image

       独自に開発したエクリプスPLD法を用いて、液滴状粒子の付着を抑制しながらBi固溶量を高めることにより、大きなファラデー効果を持つ磁性絶縁体ガーネット薄膜を作製した。さらに、この薄膜を用いることで、低温において市販センサの4倍以上の磁場感度を有する高性能磁気光学(MO)センサの開発に成功した(図1)。
       このMOセンサを搭載した高性能リアルタイム磁気光学顕微鏡を用い、実用低温超伝導材料であるNb中の渦糸を、単一渦糸分解能でリアルタイム観察することにも成功している。Nbは、超伝導粒子加速器の加速空洞材料をはじめ、超伝導量子デバイスや超高速ジョセフソンデバイスなど、幅広い先端技術への応用が期待される重要な材料である。
       特に、超伝導転移温度直下において、渦糸がアブリコソフ三角格子を形成していく過程を動的に観察することに、世界で初めて成功した。通常の第二種超伝導体では、渦糸間の相互作用は主として磁気的な斥力で記述される。一方、超伝導加速空洞などに用いられる超高純度Nbは、Ginzburg–Landauパラメータ κ が第一種超伝導体と第二種超伝導体の境界値 1/√2 に近く、タイプII/1超伝導体に分類される。この領域では、条件によって渦糸間に引力成分が現れ、通常の第二種超伝導体とは異なる特異な相互作用を示す。その結果、渦糸分子や渦糸クラスターといった特徴的な渦糸配位が形成される。これらの渦糸分子およびクラスターが形成される過程を、単一渦糸分解能で動的に観察することにもこれまで成功している。これは世界初の成果である(図2)。
       一方、タイプII/1 Nb超伝導体において渦糸間に引力が生じる微視的な起源はGinzburg–Landau理論のような現象論的理論だけでは十分に記述できず、より微視的な理論に基づく理解が必要である。そのような理論的枠組みの一つとして、梅澤博臣博士らによって発展させられた超伝導のボゾン理論がある。本研究では、この理論から得られる渦糸間の相互作用ポテンシャルエネルギーを用いて渦糸の分子動力学シミュレーションを行い、実験で観察される渦糸分子やクラスターの形成機構を理論的に解析している(図3)。

      まとめ

      ● 薄膜合成プロセス、磁気物性計測、理論シミュレーションを連携することで、超伝導材料の磁束量子の動的挙動を研究した。
      ● 研究で得られた知見を超伝導材料・デバイスの開発にフィードバックするとともに、磁性材料・スピントロニクスへの適用も検討する。
      ● 磁気光学顕微鏡のさらなる高感度化、高分解能化を目指すとともに走査プローブ型磁気顕微鏡の開発も進める。

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