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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Yutaro Takeuchi, Hossein Sepehri-Amin, Satoshi Sugimoto, Takanobu Hiroto, Shinya Kasai. Magnetic and magneto-transport properties of non-collinear antiferromagnetic Mn3Ge epitaxial films. APL Materials. 12 [7] (2024) 071110 10.1063/5.0217710 Open Access
- Saikat Das, Satoshi Sugimoto, Varun Kumar Kushwaha, Yusuke Kozuka, Shinya Kasai. Observation of charge-to-spin conversion with giant efficiency at Ni0.8Fe0.2/Bi2WO6 interface. APL Materials. 11 [4] (2023) 041113 10.1063/5.0142695 Open Access
- Satoshi Sugimoto, Yukiko K. Takahashi, Shinya Kasai. Near-room temperature topological Hall effect at spin reorientations in sputtered NdCo5−xCux thin film. Applied Physics Letters. 121 [18] (2022) 182404 10.1063/5.0128572
口頭発表
- SASAKI, Yuta, SUGIMOTO, Satoshi, KASAI, Shinya, WEN, ZhenChao, MITANI, Seiji, TAKAHASHI, Yukiko. Magnetization precession of perpendicularly magnetized CoFeB/MgO structures detected by all-optical method at relatively low magnetic fields. MORIS2024 (Magnetics and Optics Research International Symposium 2024). 2024
- 杉本 聡志, 荒木 康史, 高橋 有紀子, 家田 淳一, 葛西 伸哉. Bi カルコゲナイド薄膜における異方性スピン軌道トルクの生成. 日本物理学会 2024年春季大会. 2024
- SUGIMOTO, Satoshi, KASAI, Shinya, TAKAHASHI, Yukiko. Transition of Topological Hall signal for Mn-based inverse Heusler thin films. 24th International Colloquium on Magnetic Films and Surfaces (ICMFS-2022). 2022
所属学会
応用物理学会, 日本物理学会
磁性・スピントロニクス材料研究センター
非平衡薄膜材料におけるトポロジーの発現とその活用
薄膜,非平衡状態, スピントロニクス,新規材料開発
概要
分子線エピタキシーと、複数のマグネトロンスパッタ装置を直結された超高真空クラスター成膜装置を用いることで、多種多様な薄膜新材料の開発と、インサイチュでのデバイス構造の作製が実現できる。加えて、コンビナトリアル手法に準じた組成傾斜成膜や機械学習も併用することで、高効率な材料開発が可能となる。これらの手法を活用し、物性物理学の観点から注目されているトポロジカル材料系の非平衡状態も含め、高品質の薄膜化とデバイスへの応用、ひいては産業化の指針を見出すことを目標とする。
新規性・独創性
従来、電子状態や長距離秩序性に起因するトポロジーに関する物性を観察するには、より高純度な材料作成が可能となるバルク結晶系がその発展をけん引してきた。一方で薄膜系においては、応用化への適合性に加え、一般的な熱平衡状態では存在し得ない非平衡的な規則系あるいは不規則系の材料探索が可能となる。特に界面効果が輸送特性の主因となる極薄膜材料においては、スキルミオン等の磁気的秩序や輸送特性に非平衡状態が現れることが確認され、非従来的な非線形演算デバイス等を提示することが可能となる。
内容
左図は超高真空クラスター成膜装置を活用した材料探索フローの概要図を示している。面内に連続的な組成・膜厚傾斜膜を作製し、RHEEDや特に磁性材料においては走査型磁気光学Kerr効果顕微鏡を利用することで、疑似的なその場観察により、一度の成膜に対し膨大なフィードバックを高効率に行うことができる。
左図は、これらを活用したD2d対称性を示すMn基ホイスラー合金であるMn1.4PtSnの薄膜化と、トポロジカル磁気構造に起因するトポロジカルホール信号の検出結果を示す。本アプローチとして注目すべき点として、産業化への転用が可能なスパッタ法による成膜により、高品質なエピタキシャル成長に成功した点、トポロジカル信号を増強するドーパントとしてPdが組成傾斜により効率よく最適化された点が挙げられる。加えて、50nm以下の膜厚領域では、試料表面での静磁エネルギーの寄与が顕在化し、トポロジカル信号の元となるアンチスキルミオンの安定化相が、高温領域側に転移している。特に後者については、薄膜独自の効果により、デバイス化への指標となる室温・零磁場安定化への漸近が確認できた例として、今後の更なる特性向上が期待ができる。
まとめ
近年、急速に進展しているトポロジカル機能性材料の更なる発展と共に、薄膜材料の非平衡成長、エンジニアリング技術による新材料開発を通じて、新たなデバイスの実現に向けて今後も精力的な開発を実施する。