SAMURAI - NIMS Researchers Database

NIMS Awardシンポジウム2026

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外部併任先

  • 九州大学 工学府 応用化学専攻 准教授 (NIMS連携大学院)

研究内容

Keywords

超分子光化学、分子集合体光化学(Aggregation Photochemistry)、光誘起電荷分離、Aggregation-Induced Charge Separation (AICS) 、光線力学療法(Photodynamic Therapy)、光レドックス反応、ラジカル光化学、キラル光物性、光機能性分子材料、超分子自己集合、光エネルギー変換

【光化学、超分子化学、機能性分子材料、光医療、光エネルギー変換】 有機色素分子の自己集合によって生じる新しい光機能の創出とその原理解明と応用を目的として研究を行っています。特に、イオン性π共役分子が水中で形成する超分子集合体において、分子間電子相互作用によって誘起される光誘起電荷分離や特異な励起状態ダイナミクスに着目して研究を進めています。 分子が集合することで、単分子では現れない光反応経路が開き、長寿命の電荷分離状態やラジカル反応などの新しい光化学が発現します。本研究では、このような「集合によって誘起される電荷分離現象(Aggregation Induced Charge Separation, AICS)」の概念を提案し、その普遍的な発現原理を分光計測、理論計算、分子設計を組み合わせて解明に取り組んでいます。 さらに、このような超分子光化学を基盤として、低酸素環境でも機能する光線力学療法(Photodynamic Therapy, PDT)や光エネルギー変換材料などの応用研究にも取り組んでいます。特に、超分子電荷分離を利用した持続的ラジカル生成型光増感剤の開発を進めており、従来の光医療の限界を超える新しい治療原理の構築を目指して研究を進めています。また、超分子光化学、医療、エネルギー分野を横断する研究を展開するとともに、AI・ロボット技術を活用した材料探索を組み合わせることで、光機能性分子材料の創出を加速することを目指しています。

researchPicture

有機色素の分子集合や空間配置を精密に制御することで、非発光性の暗状態(Dark States)と発光状態(Bright States)の双方を活用し、新しい光機能の創出を目指しています。
左図では、水中でのイオン性色素の自己集合によって分子間電荷分離を促進し、従来は発光消光の原因と考えられてきた暗状態をラジカル光化学反応に利用する研究を示しています。これらの研究を基盤として、光触媒反応や光線力学療法(PDT)への応用を進めています。
右図では、シクロデキストリンなどのキラルな分子足場上に複数の発光団を集積し、励起状態相互作用やエキシマー形成を制御することで、高輝度の円偏光発光(CPL)を実現する研究を示しています。さらに、分子認識機能との融合によるセンシングやバイオイメージングへの展開を目指しています。

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表

    所属学会

    日本化学会, 光化学協会, シクロデキストリン学会

    外部資金獲得履歴

    • 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ (2026)
    • 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度(タイプA) (2026)
    • 日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業 基盤研究(B) (2026)
    • 文部科学省 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)「π分子複雑性の追究が紡ぐ機能科学」(公募研究) (2026)
    高分子・バイオ材料研究センター
    タイトル

    分子集合が拓く新しい光化学:励起状態の制御から光機能の創発

    キーワード

    超分子光化学, 分子集合体, 励起状態制御, 光誘起電荷分離, 集合誘起電荷分離, 光線力学療法, 円偏光発光, 光触媒

    概要

    分子は単独で存在するときと、集合して互いに相互作用するときとで、大きく異なる光物性や光化学反応性を示します。私たちは、有機色素の分子集合や空間配置を精密に制御することで、単一分子では実現が難しい新しい励起状態や光機能の創出に取り組んでいます。特に、水中での分子集合によって光誘起電荷分離を促進する「集合誘起電荷分離(Aggregation-Induced Charge Separation: AICS)」に着目し、従来は光機能の低下につながると考えられてきた分子凝集を、ラジカル光化学反応を駆動する新たな設計戦略へと転換しています。さらに、分子のキラルな空間配置を利用した円偏光発光(CPL)の制御にも取り組んでいます。これらの基礎研究を通じて、光線力学療法(PDT)、光触媒反応、エネルギー変換などへの展開を目指しています。

    新規性・独創性

    従来の有機光機能材料の設計では、分子凝集によって引き起こされる発光消光(Aggregation-Caused Quenching: ACQ)を抑制することが重視されてきました。これに対し、私たちは分子凝集に伴う励起状態の変化を積極的に利用し、発光に至らない非発光性の励起状態を有用な光化学反応へと結びつける研究を進めています。特に、イオン性有機色素の集合により分子間電荷分離を促進し、ラジカル生成を介したType I光増感反応を実現する新たな超分子設計戦略を提示してきました。また、シクロデキストリンなどの分子骨格上に複数の発色団を空間配置することで、励起子相互作用やエキシマー形成を制御し、高輝度の円偏光発光を実現しています。 これらの研究に共通する独創性は、分子の化学構造だけでなく、分子間相互作用と三次元的な空間配置を光機能設計の基本要素とする点にあります。

    内容

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    集合誘起電荷分離(AICS)による暗状態の活用と新しい光化学反応の開拓 有機色素の分子集合は、一般に発光の消光や励起エネルギーの損失を引き起こします。しかし、こうした非発光性の励起状態(暗状態:Dark States)は、必ずしもエネルギーの無駄な損失を意味するわけではありません。分子間の電子的相互作用を適切に制御することで、集合体に特有の電荷分離状態を形成し、新たな光化学反応へとつなげることができます。 私たちは、ローダミン、シアニン、フルオレセインなどのイオン性有機色素を基盤として、水中での自己集合による励起状態の変化とラジカル生成反応を研究してきました。特に、集合誘起電荷分離(Aggregation-Induced Charge Separation: AICS)に着目し、従来は発光消光の原因として捉えられてきた暗状態を、有用な光化学反応を駆動する状態として積極的に活用しています。 フルオレセイン誘導体では、分子集合によって従来のType II光増感反応からType I光増感反応への転換を実現し、がん細胞に対する光線力学的な治療効果を実証しました。 現在は、分子間相互作用、集合構造、励起状態ダイナミクスの関係を解明し、暗状態の生成と反応性を分子集合によって制御する「Dark-State Engineering(暗状態エンジニアリング)」の学理構築を目指しています。
    キラル足場への発光団集積による光機能の創発と制御 分子の三次元的な空間配置は、光吸収や発光の性質を大きく左右します。特に、複数の発光団をキラルな分子足場上に精密に集積することで、発光団間の電子的相互作用や励起状態の性質を制御し、単一分子では得られない新しい光機能を創出することができます。 私たちは、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンなどをキラルな分子足場として利用し、複数の芳香族発光団を集積・配置することで、励起子相互作用やエキシマー形成を制御する研究を進めています。特に、複数のピレンを導入したシクロデキストリン誘導体では、発光団間の相互作用とキラルな空間配置を利用し、高輝度の円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence: CPL)を実現しました。現在は、発光団の数、分子間距離、配向、分子運動などが励起状態や円偏光発光特性に与える影響を解明し、光機能を自在に制御するための分子設計指針の確立を目指しています。さらに、キラルな分子認識やホスト–ゲスト相互作用と発光特性を結びつけることで、特定の分子や化学環境の変化を光学的に検出する新しい分子センシング技術への展開を目指しています。

    まとめ

    私たちは、有機色素の分子集合と空間配置を精密に制御することで、励起状態における分子間相互作用を活用し、新しい光物性と光化学反応の創出を目指しています。特に、従来は発光消光の原因として捉えられてきた非発光性の暗状態(Dark States)を積極的に活用する「Dark-State Engineering」と、キラルな分子足場への発光団集積による発光機能の制御を研究の柱としています。 これらの研究を通じて、分子集合が生み出す励起状態の基本原理を解明するとともに、光線力学療法(PDT)、光触媒反応、分子センシングなどへの応用を目指しています。 分子を集め、空間に配置することで、これまでにない光機能を創出し、超分子光化学の新たな可能性を切り拓きます。
    この機能は所内限定です。
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