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研究内容

Keywords

応用物性・結晶工学

所属学会

日本物理学会

ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル

直接観察や微細化による超伝導磁束量子集団の物性研究

キーワード

単一磁束量子,Bi系高温超伝導体,高純度ニオブ,磁気光学イメージング,磁束格子融解

概要

超伝導体中の量子化された磁場(渦糸量子)の振る舞いを理解し制御することは、超伝導体の線材応用(ピン止めの最適化)や磁気センサー等のデバイス応用上重要である。また、高温超伝導体のもつ特異な超伝導状態(渦糸液体、d波超伝導、固有ジョセフソン接合構造など)におけるひも状物質の物理として興味深い。本研究では、単一磁束量子の分解能での観察・制御によりその物性に迫る。

新規性・独創性

磁束量子の集団としての振舞いは、磁束間相互作用・熱揺らぎ・超伝導体の異方性・ピン止め中心など様々な要因により影響を受ける。本研究では、単一磁束量子での観測・制御技術を向上させることや、人工的に制御したナノ構造の導入によるピン止め中心形成により、本質的な磁束量子物性を明らかにし、機能化を図る。

内容

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1. 低温磁気光学イメージング顕微鏡を用いた磁束量子観測
超伝導加速空洞の性能向上に向けて超高純度ニオブ結晶中での磁束量子の振る舞いが注目されている。加速器で用いられるニオブの純度は残留抵抗比(RRR)で数百と非常に純良であるため、磁束量子間に引力相互作用が働くtype-II/1超伝導体であることが期待されるが、磁束量子が引きあう様子を直接観察した例はなかった。我々は、磁気光学イメージング顕微鏡を用いて(左図a)、 type-II/1超伝導体で期待される中間混合状態の動的観察に成功した。降温とともに磁束量子が凝集し、磁束格子相とマイスナー相に相分離する様子が観察される(左図b,c)。

2. メゾスコピック正多角形高温超伝導体中の磁束量子
磁場侵入長程度まで微小化された超伝導体では、磁束量子に対して顕著な閉じ込め効果が働くため、磁束量子制御に向けてその影響は無視できない。一方、高温超伝導体では、磁束量子集団が固体から液体へ融解相転移することが知られ、磁束量子マターの熱力学的性質は興味を惹いてきた。我々は、様々な微小Bi2212を準備し(右図 a)、少数磁束量子系(磁束クラスター)の融解転移を観察した。幾何学的な整合性を反映し、融解転移温度は磁束量子数に応じて振動する(右図b)。磁束格子中に強制的に形成される刃状転位が、融解温度の抑制と関係していることを突き止めた。

まとめ

● 超伝導体中の磁束量子物性の理解と応用を目指して、単一磁束量子分解能をもつ磁気光学イメージング顕微鏡などの磁束量子観察・制御手法の向上を図る。
● 超伝導空洞材料中の磁束量子の振舞いを理解することで、加速空洞の性能向上に貢献する。
● 高温超伝導体において、微細加工(数nm~数10nm)を追求することで、単一の超伝導渦糸量子の制御を中心として、高温超伝導体に内在する新奇な物性の発現を目指す。

この機能は所内限定です。
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