SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

セラミックス、焼結/微構造制御、高温変形・破壊、X線CT

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放射光マルチスケールCT技術を用いて、アルミナ・セラミックスの複雑な3次元欠陥形成過程を大型放射光施設SPring-8のBL20XUにて観察した。マイクロCTでは、直径10 µm程度の丸い欠陥(I型)、分岐した亀裂状欠陥(II型)、加圧方向に垂直に配向した円形亀裂状欠陥(III型)の3タイプに分類できた。
II型とIII型の欠陥をナノCTでさらに詳細に観察した。これらI型、II型、III型の欠陥は、初期焼結段階(相対密度68%)ですでに形成されていた。粗大な丸い気孔(I型)はランダムに分散していることから、これは顆粒内部に存在する丸い気孔から生じたものと考えられる。分岐した亀裂状欠陥(II型)は顆粒間の境界から形成される。円形の亀裂状欠陥(III型)は中空顆粒内部の空隙、あるいは、「窪み」から形成される。さらに、焼結段階で大きな亀裂状欠陥が収縮・消失せず、むしろ、わずかに成長する傾向のあることを見出し、その原因が、成形体組織の不均一性による焼結中の速度差であることを示した。以上により、成形過程で欠陥ができないような粉体プロセスを開発することが、複雑形状部材の信頼性向上には最も重要であることがわかった。
さらに、製品の強度信頼性を予測する上で不可欠な情報、つまり、欠陥の寸法と形状、 配向、分布が取得できた。I型、II型、III型の欠陥の種類に応じて、破壊強度を推定できた。

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
書籍
口頭発表
その他の文献

所属学会

日本セラミックス協会, 日本金属学会, 日本機械学会, American Ceramic Society

受賞履歴

  • 東京工業大学 2024年度フロンティア材料研究所学術賞(研究奨励部門) (2024)
  • 日本金属学会 奨励賞 (2023)
  • 化学情報協会 JAICI賞 (2023)
  • 米国セラミックス学会 JACerS 2nd Century Trailblazer (2023)
  • 東京工業大学 2022年度フロンティア材料研究所若手研究者発表会 優秀講演賞 (2022)
  • 日本セラミックス協会 進歩賞 (2022)
  • 日本機械学会 第98期部門一般表彰「奨励講演論文部門」 (2020)
  • 東京工業大学 2019年度フロンティア材料研究所若手研究者発表会 優秀講演賞 (2019)
  • 国際会議 The 6th International Conference on the Characterization and Control of Interfaces for High Quality Advanced Materials (ICCCI2018) 学生ポスター賞 (2018)
  • 国際会議 The 10th International Conference on the Science and Technology for Advanced Ceramics (STAC-10) ポスター賞 銀賞 (2017)
  • 国際会議 The International Symposium on the Science of Engineering Ceramics (EnCera 2016) 最優秀ポスター賞 (2016)

外部資金獲得履歴

  • 科研費 若手研究 放射光X線マルチスケールCT観察に基づくセラミックス基複合材料の力学機能発現 (2022)
  • ホソカワ粉体工学振興財団 研究助成 加圧焼結による欠陥収縮過程の放射光X線CT観察 (2022)
  • NEDO 次世代ファインセラミックス製造プロセスの基盤構築・応用開発 (2022)
  • 科研費 若手研究 結像型X線ナノCT観察によるセラミックスのマルチスケール焼結プロセスの解明 (2019)
  • 科研費 特別研究員奨励費 3次元可視化による焼結の熱力学的駆動力の解明と制御 (2018)
  • ホソカワ粉体工学振興財団 研究者育成のための援助 粉体成形プロセスにおける微視的な粒子充填構造と焼結における巨視的な収縮との関連の3次元トモグラフィーによる解明 (2016)
構造材料研究センター
タイトル

放射光X線CT技術を駆使した高信頼性材料設計の革新

キーワード

焼結,微構造,欠陥,X線CT

概要

放射光CTを用いて、現実の複雑なセラミックス製造プロセスの解明に取り組み、アルミナ内部欠陥の3次元構造と分布を観察することに世界ではじめて成功した。成果は、「放射光でセラミックス内部の欠陥観察に成功」としてプレス発表も行い、産業界からも注目された。この放射光CT技術を実用的な材料である積層セラミックコンデンサの焼結プロセス開発や、不均質な構造をもつ脆性材料、セラミックス基複合材料へ展開した。今後は、金属、セラミックス、複合材料の分野と放射光X線CTとの結びつきから新たな高信頼性材料設計のアイデアにつなげていきたいと考えている。

新規性・独創性

放射光X線CT技術のセラミックス分野への適用
焼結現象の背後にある熱力学的駆動力の起源の追求
製造プロセスにおける欠陥形成機構の解明
欠陥分布計測により局所領域の強度予測

内容

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X線CTを駆使した焼結中の複雑な3次元構造の時間的発展の直接観察をもとに焼結現象の背後にある熱力学的駆動力の起源を追求し、焼結科学の本質に迫るとともに、技術の発展においてブレークスルーをもたらす新しい知見を次々と生み出した。
粒子スケールの微構造変化と材料特性の関係を実験的、理論的に解明した。また、焼結鍛造試験による材料物性測定の実験を行い、CTから推定した物性値が力学試験結果と比較して妥当であることを実証した。SPring8の放射光CTを用いることで、現実の複雑なセラミックス製造プロセスの解明に取り組み、アルミナ内部欠陥の3次元構造と分布を観察することに世界ではじめて成功した。成果は、「放射光でセラミックス内部の欠陥観察に成功」としてプレス発表も行い、産業界からも注目された。企業と協力体制を作り、この放射光CT技術を実用的な材料である積層セラミックコンデンサの焼結プロセス開発や、不均質な構造をもつ脆性材料(ガラスセラミックス)、セラミックス基複合材料へ展開した。さらに、FIBSEMトモグラフィーにより、金属膜の基板上への拘束・自由焼結における組織の粗大化と異方性を結合ネットワーク解析、切片長さ、表面エネルギーテンソルなど多様な手法で詳細に調べた。

まとめ

放射光CT技術を実用的な材料である積層セラミックコンデンサの焼結プロセス開発や、不均質な構造をもつ脆性材料、セラミックス基複合材料へ展開した。金属、セラミックス、複合材の分野と放射光CTとの結びつきが思いがけない新たな材料設計のアイデアにつながる可能性は高く、今後の更なる展開が期待される。

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