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- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
水素化物、高密度化、高圧合成、高圧その場観察
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Satoshi Nakano, Hiroshi Fujihisa, Hiroshi Yamawaki, Takumi Kikegawa. Influence of pressure-induced formation of dihydrogen bonds on lattice parameters, volume, and vibrational modes of ammonia borane. The Journal of Chemical Physics. 157 [23] (2022) 234702 10.1063/5.0128003
- Satoshi Nakano, Asami Sano-Furukawa, Takanori Hattori, Shinichi Machida, Kazuki Komatsu, Hiroshi Fujihisa, Hiroshi Yamawaki, Yoshito Gotoh, Takumi Kikegawa. Observation of Dihydrogen Bonds in High-Pressure Phases of Ammonia Borane by X-ray and Neutron Diffraction Measurements. Inorganic Chemistry. 60 [5] (2021) 3065-3073 10.1021/acs.inorgchem.0c03345
- Satoshi Nakano, Hiroshi Fujihisa, Hiroshi Yamawaki, Takumi Kikegawa. Structural Analysis of Some High-Pressure Stable and Metastable Phases in Lithium Borohydride LiBH4. The Journal of Physical Chemistry C. 119 [8] (2015) 3911-3917 10.1021/jp511065h
会議録
- NAKANO, Satoshi, NAKAYAMA Atsuko , KIKEGAWA Takumi. High-pressure x-ray diffraction study on lithium borohydride using a synchrotron radiation. JOURNAL OF PHYSICS:CONFERENCE SERIES. (2008) 022021-1-022021-4
- NAKANO, Satoshi, NAKAYAMA, Atsuko, TAKEMURA, Kenichi. Pressure-induced transformations of sodium alanate. Joint 20th AIRAPT-43th EHPRG,June27-July1,Karlsruhe/Germany 2005. (2005) 279
- M Einaga, A Ohmura, F Ishikawa, A Nakayama, Yuh Yamada, S Nakano, A Matsushita, K Shimizu. Pressure-induced superconductivity in non-stoichiometric bismuth telluride Bi35Te65. JOURNAL OF PHYSICS : CONFERENCE SERIES. (2014) 192003-1-192003-5 10.1088/1742-6596/500/19/192003
口頭発表
- NAKANO, Satoshi, 藤久 裕司, 山脇 浩, 亀卦川 卓美. High-pressure transformation of barium hydride and formation of polyhydride. The 2nd International Conference on Hydrogenomics. 2022
- 中野 智志, 藤久 裕司, 山脇 浩, 柴崎 裕樹, 亀卦川 卓美. Ca(BH4)2の圧力誘起相転移. 第63回高圧討論会. 2022
- 中野 智志, 藤久 裕司, 山脇 浩, 亀卦川 卓美. BaH2と高圧水素の反応による多水素化物の合成. 第35回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム. 2022
その他の文献
- Naoya Eguchi, M. Kodama, Hirofumi ISHIKAWA, Atsuko NAKAYAMA, Ayako OHMURA, Yuh Yamada, NAKANO, Satoshi. Powder x-ray diffraction of BaFe2As2 under hydrostatic pressure. JOURNAL OF PHYSICS:CONFERENCE SERIES. (2012) 022017-1-022017-4
- Ayako OHMURA, Ayako YAMAMURA, Mari EINAGA, Hirofumi ISHIKAWA, Atsuko NAKAYAMA, Yuh Yamada, NAKANO, Satoshi. Pressure-induced superconductivity in Bi0.85Sb0.15 alloy. JOURNAL OF PHYSICS:CONFERENCE SERIES. (2012) 022088-1-02208804
- TAKADA, Kazunori, NAKANO, Satoshi, INADA, TARO, 梶山亮尚, 高口勝, 佐々木秀樹, KONDO, SHIGEO, 渡辺遵, 村山昌宏, 菅野了次. Solid-state lithium batteries with sulfide-based solid electrolytes. ACSSI proceedings. (2004) 425-436
所属学会
日本高圧力学会, 日本放射光学会, 日本MRS
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
水素化物等の高圧その場観察と高圧構造物性
水素化物,高密度水素,水素貯蔵,イオン伝導,超伝導,静水圧
概要
水素社会の実現には、水素利用技術とともに水素や水素化物の基礎的研究が不可欠である。高密度に水素を担持する物質を探索し、その構造と物性を明らかにすることは、水素が秘めた未知の可能性を見出すことに繋がる。本研究は、高圧装置であるダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)と、DACに水素やその他のガスを導入できる高圧ガス充填装置を用いて、数100GPaまでの高圧下で物質と高密度水素との反応や水素化物の構造相転移に関する高圧その場観察を行い、高密度水素化物の構造物性を明らかにする。その場観察の手段は、X線回折、中性子回折、Raman散乱分光などが可能で、これらを相補的に用いる。
新規性・独創性
● 本研究で用いる装置により、不純物の寄与がない純粋な高圧水素と物質との反応を直接その場観察できる。
● より水素密度の高い水素化物を見出し、その構造物性を明らかにすることによって、水素が関与する新規機能性材料の探索や水素の新たな機能を探索できる。
● DACにヘリウムを導入すれば、高静水圧下での高圧実験ができ、物質の高圧物性を適切に評価できる。
内容
DACは、数100GPaまでの静的な高圧下で物質の反応や変化をその場観察できる唯一の高圧装置である。さらに、NIMSが所有する高圧ガス充填装置は、DACに高圧ガスを導入する目的に特化した、国内に2つしかない設備である。このような特殊設備を持つアドバンテージを生かし、DACに高圧水素を導入して各種試料の水素化反応や、水素化物の高圧構造変化の観察を行っている。観察手法は、X線回折、中性子回折、Raman散乱分光、赤外吸収分光などで、これらの高圧下その場観察が可能である。これにより、より高い水素密度を持つ新規物質や新規構造を探索するとともに、その構造物性を解明する研究を行っている。
錯体水素化物であるLiBH4は、従来は主に還元剤としての用途に用いられていたが、その高温相が超イオン導電性を示すことや、重量水素密度・体積水素密度が高く水素貯蔵材料に適することから、新たな応用研究が進められている。本研究では、LiBH4の高密度構造を明らかにするとともに、高圧相が高温相に次ぐ高イオン伝導性を示すことを見出した。
本設備を用いた研究の対象は、水素関連物質に限らない。窒素ガスを導入すれば窒化物合成の研究も可能となる。また、本設備を用いて静水圧性の高いヘリウムを圧力媒体としてDACに導入することで、試料が受ける剪断応力を最小限に抑え、高圧下でもクオリティの高い回折パターンやスペクトルを得ることができる。
これらの特長をもつ設備を用い、他の研究機関との共同研究を10件以上行っている。
まとめ
● 数100GPaまでの広い圧力範囲で、水素などの高圧ガスと物質との反応や物質の構造変化を、様々な手法でその場観察できるので、水素化物その他の構造物性の解明に寄与する。
● 一方、DACは試料空間が0.4mmΦ×0.2mmt以下と小さいため、工業生産のための物質合成には適さない。
● 今後はさらに高圧下で様々な物性測定(イオン伝導、電気抵抗など)を行うための設備を整備していく。