学生受け入れ中
外部併任先
- 北海道大学 大学院生命科学院 ソフトマター専攻ソフトマター機能学研究室 客員教授
- 深圳大学材料学院高分子材料工学科(中国) 客員教授
研究内容
- Keywords
高分子化学 機能物質化学
機能性分子の自己組織化を精密に制御することで、様々な形状、モルフォロジーの有機材料の創製を行っています。 最近のトピックとしては、不揮発性、低粘性、発光性の常温液状材料の開発に成功しました。
有機分子のソフトな利点を活かした機能性有機材料の創製を目指しています。
特に光機能や半導体機能を司るパイ共役系分子を材料の基礎成分とし、その分子間相互作用そして自己組織化を、導入するアルキル鎖(直鎖や分岐鎖)によって巧みに制御する戦略を用いることで、ナノサイズからバルクスケールまでを網羅し、様々なモルフォロジー(形態、次元性)の有機材料を創出するに至った。
これまでに、常温液状の発光性液体材料、太陽電池に応用可能な光導電性材料、優れた環境耐性を示す超撥水性薄膜などの創製に成功している。
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Avijit Ghosh, Manabu Yoshida, Kouji Suemori, Hiroaki Isago, Nagao Kobayashi, Yasuhisa Mizutani, Yuki Kurashige, Izuru Kawamura, Masami Nirei, Osamu Yamamuro, Tomohisa Takaya, Koichi Iwata, Akinori Saeki, Kazuhiko Nagura, Shinsuke Ishihara, Takashi Nakanishi. Soft chromophore featured liquid porphyrins and their utilization toward liquid electret applications. Nature Communications. 10 [1] (2019) 10.1038/s41467-019-12249-8 Open Access
- Akira Shinohara, Chengjun Pan, Zhenfeng Guo, Liyang Zhou, Zhonghua Liu, Lei Du, Zhichao Yan, Florian J. Stadler, Lei Wang, Takashi Nakanishi. Viscoelastic Conjugated Polymer Fluids. Angewandte Chemie International Edition. (2019) 10.1002/anie.201903148
- Fengniu Lu, Edward A. Neal, Takashi Nakanishi. Self-Assembled and Nonassembled Alkylated-Fullerene Materials. Accounts of Chemical Research. 52 [7] (2019) 1834-1843 10.1021/acs.accounts.9b00217
書籍
- NARAYAN, Bhawani, NAKANISHI, Takashi. Room-Temperature Liquid Dyes. Wiley‐VCH, 2019
- GHOSH, Avijit, NAKANISHI, Takashi. Liquids Based on Nanocarbons and Inorganic Nanoparticles. Wiley‐VCH, 2019
- SUKUMARAN, Santhosh Babu, Hidehiko Asanuma, NAKANISHI, Takashi. Supramolecular Materialization of Fullerene Assemblies. Supramolecular Soft Matter: Applications in Materials and Organic Electronics. , 2011, 3-18.
会議録
- NAKANISHI, Takashi. Hierarchically organized soft-materials based on fullerenes. JOURNAL OF PHYSICS: CONFERENCE SERIES. (2009) 012005-1-012005-8
- NAKANISHI, Takashi, TAKAHASHI, Hirokazu, MICHINOBU, Tsuyoshi, HILL, Jonathan, Toshiharu Teranishi, ARIGA, Katsuhiko. Fine-tuning Supramolecular Assemblies of Fullerenes bearing Long Alkyl Chains. THIN SOLID FILMS. (2008) 2401-2406
- NAKANISHI, Takashi, ARIGA, Katsuhiko, Antoine Thuriere, John L. Bear, Karl M. Kadish. Regulation of Film Electrochemistry and CO Binding of a Diruthenium COmplex Embedded in Artificial Lipids on an Electrode. THIN SOLID FILMS. (2006) 349-353
口頭発表
- 中西 尚志, 竪山 瑛人, 山中正道. アルキル-πゲル:ウェアラブル振動センサの開発. 第75回コロイドおよび界面化学討論会. 2024
- TATEYAMA, Akito, NAKANISHI, Takashi. Chiral Effect in Supercooling Behavior and Gelation of Alkylated–Carbazole Liquids. 34th International Symposium on Chirality (Chirality 2024). 2024
- NAKANISHI, Takashi. Alkyl-π Functional Molecular Liquids and Gels. 電子科学研究所学術講演会. 2024 招待講演
その他の文献
- 竪山 瑛人, 中西 尚志. 多孔質液体の化学. 現代化学. 624 (2023) 36-39
- 中西 尚志. 新規液体物質ー機能性分子液体の開発とエレクトロニクス応用に向けて. 月刊Soft Matter. (2019) 10-12
- 中西 尚志. 機能分子液体の開拓 ーπ共役分子を液体材料化ー. CHEMISTRY & CHEMICAL INDUSTRY. [1] (2019) 10-12
公開特許出願
所属学会
高分子学会, 日本化学会, 日本MRS, American Chemical Society
受賞履歴
- 文部科学大臣表彰若手科学者賞(2012), 物質・材料研究機構理事長賞研究奨励賞(2010), 日本化学会進歩賞(2010), Award for Encouragement of Research of Materials Science, The IUMRS International Conference in Asia(2008), コロイドおよび界面化学部会第7回科学奨励賞(2008), The Best Poster Award, E-MRS 2008 Spring Meeting(2008), 高分子研究奨励賞(2008), 第60回コロイドおよび界面化学討論会ポスター賞(2007), 日本化学会第87春季年会若い世代の特別講演賞(2007), 第59回コロイドおよび界面化学討論会注目論文(2006), 第52回高分子研究発表会(神戸) ヤングサイエンティスト講演賞(2006), 物質・材料研究機構物質研究所研究奨励賞(2006), 第16回日本MRSシンポジウム奨励賞(2005), 第58回コロイドおよび界面化学討論会ポスター賞(2005), 日本学術振興会特別研究員PD(2001), 日本学術振興会特別研究員DC1(1998),第6回高分子・繊維若手研究者賞, 第35回化学関連支部合同九州大会高分子・繊維化学分野(1998) ()
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
新奇機能性分子液体・液体エレクトレットの創成
機能性分子液体,液体エレクトレット,自由変形性振動発電素子
概要
ヘルスケアやロボット分野において、柔軟且つ高性能な光・電子機能材料を利用するソフトエレクトロニクスの発展が求められている。本研究では、自由変形性に富むπ共役「液体」分子・高分子の創成に着目した。π共役部位を嵩高く・柔軟な分岐アルキル鎖で被覆することで、π共役分子の固有の光・電子機能をバルク液体状態でそのまま活用できる液体材料を創成した。また、機能性液体材料を直接塗る・挟む・染み込ませるなどの簡便な方法で、自由変形性の光電子素子の構築が可能となった。特に、静電荷を保持した液体エレクトレットを基材とする伸縮・自由変形性の振動発電・センサ素子の開発に世界で初めて成功した。
新規性・独創性
● π共役分子を常温液体化できるアルキル-πエンジニアリング技術
● π共役高分子の常温液体・エラストマー化
● π共役分子固有の光・電子機能をバルク液体においてもそのまま活用
● 液体エレクトレットの創成(世界初)
● 自由変形・伸縮自在な振動発電素子の開発
内容
まとめ
● 環境発電、音響技術等への応用を見据えた液体エレクトレットの性能向上;アルキル-π共役分子液体の一分子内に保持できる静電荷量の向上と安定化
● ウェアラブル振動発電素子・センサとしての発電量または感度の向上ならびに素子構造の工夫;ヘルスケア機器、ロボット技術等への応用
● アルキル-π共役分子液体の流動性を最大限に活かした流体(液体)素子の開発と応用探索