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- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
高分子合成化学、有機化学、ラジカル反応・重合 (Synthetic polymer chemistry, Organic chemistry, adical reactions and polymerization)
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- 中村 泰之. 精密重合をもとにしたラジカル重合停止反応の機構解明と合成反応への利用. 高分子論文集. 75 [5] (2018) 444-455 10.1295/koron.2018-0014 Open Access
- Yasuyuki Nakamura, Yi-Shen Huang, Chih-Feng Huang, Sadaki Samitsu. Passerini polymerization of α-lipoic acid for dynamically crosslinking 1,2-dithiolane-functionalized polymers. Chemical Communications. 60 [40] (2024) 5270-5273 10.1039/d4cc00751d Open Access
- Yasuyuki Nakamura, Taiki Tominaga, Takayuki Iwata, Koki Inoue, Yoshihisa Fujii, Nagayasu Oshima, Masanobu Naito. Spatial Dynamics of Water Molecules Confined in Deuterated Epoxies by Quasi-Elastic Neutron Scattering. Macromolecules. 57 [9] (2024) 4254-4262 10.1021/acs.macromol.3c02010 Open Access
書籍
- 中村 泰之. 第1章3節 ラジカル重合の停止反応機構:各モノマーの停止反応機構と合成的な応用 第4章第1節 ラジカル重合の停止反応機構:制御ラジカル重合・反応を用いた研究の概要第4章8節 有機テルル化合物を用いた水分散系リビングラジカル重合. 技術情報協会, 2020, 19.
- 中村 泰之. リビングラジカル重合を利用する反応の機構解析. リビングラジカル重合―機能性高分子の合成と応用展開―. , 2018, 55-66.
口頭発表
- 中村 泰之, 黄 易紳, 黄 智峯. 天然化合物αリポ酸の多成分重合による1,2-ジチオラン基を有する動的架橋ポリマー. 第73回高分子学会年次大会. 2024
- 中村 泰之, 日比 裕理, 内藤 公喜, 山本 典恵, 花村 美里. 実験にもとづく水中接着に優れるエポキシ材料の化学構造評価および性能予測. 第73回高分子学会年次大会. 2024
- 中村 泰之, グロ アリス ゆき子, 張 文昊, 袖山 慶太郎, 内藤 昌信. データベースでの例外的探索を利用した高分子材料開発の実践: 耐熱透明高分子の探索. 第72回高分子学会年次大会. 2023
その他の文献
- Mizuki Tenjimbayashi, Sadaki Samitsu, Yuko Watanabe, Yasuyuki Nakamura, Masanobu Naito. Liquid Marble Patchwork: Liquid Marble Patchwork on Super‐Repellent Surface (Adv. Funct. Mater. 21/2021). Advanced Functional Materials. 31 [21] (2021) 2170146 10.1002/adfm.202170146
- Mizuki Tenjimbayashi, Yuko Watanabe, Yasuyuki Nakamura, Masanobu Naito. Liquid Marbles: Exceptional Robustness and Self‐Reconfigurability of Liquid Marbles on Superhydrophobic Substrate (Adv. Mater. Interfaces 11/2020). Advanced Materials Interfaces. 7 [11] (2020) 2070058 10.1002/admi.202070058
- 中村 泰之. 精密反応を用いたラジカル重合停止反応の機構解明. CHEMISTRY AND CHEMICAL INDUSTRY(化学と工業). 70 [11] (2017) 1031-1032
公開特許出願
- 実験データ管理システム及び電子ラボノートシステム (2023)
- ポリマー及びその合成方法 (2024)
- ネットワークポリマー及びその製造方法、並びに、プレポリマー及びその製造方法 (2024)
所属学会
高分子学会, 日本化学会, 有機合成化学協会
受賞履歴
- 日本化学会 若い世代の特別講演証 (2017)
- 京都大学 京大化研奨励賞 (2016)
- 日本化学会 第95回春季年会 優秀講演賞(学術) (2015)
- 高分子学会 高分子研究発表会(神戸) ヤングサイエンティスト講演賞 (2015)
高分子・バイオ材料研究センター
分子化学プログラミングによる高分子の形状と機能の設計
精密高分子合成,ラジカル重合,エラストマー,応答性高分子
概要
高分子材料の物性はモノマーや分子量、架橋など化学的な構造要因で根本的に変化する。さらに制御重合法や高分子反応法の発展により高分子鎖の鎖形状や配列、化学反応の組み込みが、新たな物性設計の軸として加わった。化学合成法を基盤とした精密な高分子の分子構造設計ー分子化学プログラミングーを駆使することにより、所望の物性や機能を持つ高分子の設計と合成、高分子合成の効率化、物性やその変化のメカニズムの解明、リサイクル性や分解など社会的課題へ対応する高分子材料に取り組んでいる。
新規性・独創性
● 重合反応メカニズムにもとづいた精密な高分子合成と合成の効率化
● 高分子鎖の構造とダイナミクスにもとづく粘弾性コントロール
● 同一の化学組成でも鎖の構造制御により100倍以上の粘弾性応答速度差
● 高分子の合成研究を加速させるための自動化研究手法
内容
制御重合法と選択的な高分子間反応を利用することで、動的共有結合(可逆的な結合生成)性の架橋点を有し、かつポリマー鎖中の架橋点の配置が精密にコントロールされたネットワーク高分子を合成した。動的結合に由来する架橋の可逆性によって3次元ネットワーク構造を保ったまま、加熱と冷却により再成形プロセスや材料リサイクルが可能な流動化と優れた力学特性を有する固体化を自由に変化させることができた。この状態変化の応答速度は高分子の鎖構造や架橋点の配置によって操作することが可能であり、同一の化学組成を持つ高分子から100倍以上の応答速度差を持つ材料を作り分けることもできた。これまでの高分子材料設計の軸であるモノマー化学構造、分子量、架橋といった要素に、鎖の精密構造や化学反応の組み込み、反応点の配置などが高分子材料物性をプログラムするための新しい軸として加えられる。化学合成と鎖構造制御による機能性高分子材料や、ポリマーの化学組成を変えずにより優れた物性を持つ材料を創成することなど、これまでの枠にとらわれない高分子材料開発が可能になると期待される。
まとめ
重合反応など化学合成反応を駆使する高分子の鎖構造設計の精密化が材料物性を大きく変える新たな要素であることを示した。化学反応や反応メカニズムに基づく分子構造設計と、化学組成とは独立している高分子鎖構造設計の両軸は、高機能や持続性など社会を支える高分子材料の開発における基盤技術となる。