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- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
溶接・接合、その場観察
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Tomoya Nagira, Terumi Nakamura, Fumiyoshi Yoshinaka, Takahiro Sawaguchi, Yasuhiro Aoki, Masayoshi Kamai, Hidetoshi Fujii, Akihisa Takeuchi, Masayuki Uesugi. Direct observation of solidification behaviors of Fe-Mn-Si alloys during TIG spot welding using synchrotron X-ray. Scripta Materialia. 216 (2022) 114743 10.1016/j.scriptamat.2022.114743
- Tomoya Nagira, Daisuke Yamashita, Masayoshi Kamai, Huihong Liu, Yasuhiro Aoki, Kentaro Uesugi, Akihisa Takeuchi, Hidetoshi Fujii. In situ observation of solidification crack propagation for type 310S and 316L stainless steels during TIG welding using synchrotron X-ray imaging. Journal of Materials Science. 56 [17] (2021) 10653-10663 10.1007/s10853-021-05969-0
- T. Nagira, X.C. Liu, K. Ushioda, H. Fujii. Mechanism of grain structure development for pure Cu and Cu-30Zn with low stacking fault energy during FSW. Science and Technology of Welding and Joining. 25 [8] (2020) 669-678 10.1080/13621718.2020.1818032
口頭発表
- 柳樂 知也. 金属合金の凝固・変形のその場観察を利用した 溶接・鋳造欠陥、組織形成機構の解明. 日本金属学会2021年春季期第168回講演大会 https://confit.atlas.jp/guide/event/jim2021spring/top. 2021 招待講演
- 柳樂 知也, Xiaochao Liu, 潮田浩作, 藤井英俊. Micro-texture evolution of Ag with low stacking fault energy during friction stir welding. The 19th International Conference on Textures of Materials. 2021
- 柳樂 知也, 劉 小超, 潮田 浩作, 藤井 英俊. 低い積層欠陥エネルギーを有するfcc金属におけるFSW中の微細組織形成機構の解明. 2020年度溶接学会秋季全国大会. 2020
所属学会
溶接学会, 日本金属学会, 日本鉄鋼協会
受賞履歴
- 日本鉄鋼協会 学術記念賞(西山記念賞) (2024)
- 日本金属学会 第79回功績賞 (2021)
- 日本鋳造工学会 日下賞 (2017)
- 日本鋳造工学会 論文賞 (2016)
- 日本金属学会 まてりあ論文賞 (2013)
構造材料研究センター
溶接・接合機構の解明と構造体化への展開
溶接,接合,その場観察,組織形成,構造体化
概要
物と物を繋げる溶接技術は、輸送機器や構造物などの製作や補修を行う不可欠な技術であり、我々の社会インフラを根底から支えている。近年、省資源、省エネルギーへの取組みが強まる中、割れ感受性が低く、高強度・高靭性を有した長寿命な溶接構造物を実現する溶接技術の開発が望まれている。しかしながら、欠陥や組織を制御する溶接技術の開発に不可欠な組織形成過程の理解が不足しているのが現状である。本研究では、その場観察などの手法を用いてアーク溶接および摩擦攪拌接合中の微細組織形成や欠陥形成に関する溶接・接合機構を明らかにする。また、機構解明を基に難溶接材料を中心に欠陥が発生することなく構造体化を行うための溶接・接合技術の開発を行う。
新規性・独創性
● 大型放射光施設(SPring-8)において、放射光X線を利用してアーク溶接過程の溶接凝固現象をその場観察できるシステムの構築
● 一般的なラボのX線とは異なり、高空間・高時間分解能で金属合金の凝固現象のその場観察が可能
● 摩擦攪拌接合中における再結晶や双晶などの微細組織形成過程を観察できる技術の確立
内容
アーク溶接では放射光X線を利用して、Fe系、Al系合金を対象に結晶粒子スケールで結晶の成長・競合、相変態、凝固割れなどの溶接凝固現象のその場観察技術を確立した。溶接中のX線透過像、X線回折像、温度分布をすべて連成して取得することが可能である。この技術により、結晶成長や凝固割れの形成機構の解明、割れ発生が起こる限界ひずみの取得、凝固割れに影響を及ぼす凝固モードの解明を行うことができた。凝固モードの特定や割れ発生条件の取得により、割れが起こらない材料設計や溶接技術の開発を行い、難溶接材料を中心に構造体化に取り組んでいる。
固相状態で接合を行う摩擦攪拌接合では、積層欠陥エネルギーが異なるFe、Al、Cu系合金などを対象に急速凍結法により、塑性変形や結晶粒の微細化に繋がる再結晶や双晶形成の発生挙動、発生位置、発生頻度を時間発展で明らかにすることができた。この知見を基にミクロ組織制御手法の提案や実用化に向けて、従来Fe系合金では困難であった厚鋼板への摩擦攪拌接合の適用を試みている。
まとめ
高輝度、高平行度の放射光X線を利用することによって、これまで観察が不可能であったアーク溶接中での結晶成長や相変態などの組織変化や凝固割れの発生・進展挙動を結晶粒子スケールで明らかにすることが出来た。組織形成が複雑な摩擦攪拌接合では、接合温度や積層欠陥エネルギーの観点から系統的に微細化機構を明らかにすることが出来た。その場観察などから得られた組織形成に関する知見を基に、ミクロンスケールでの組織制御手法の提案や割れの予測・低減に向けた信頼性のあるモデリング、シミュレーションが期待される。