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構造材料研究センター
タイトル

KFM-EBSD-EDS解析による構造材料の耐食性評価

キーワード

構造材料,耐食性評価,結晶構造解析,顕微鏡解析,電気化学試験

概要

高強度鉄鋼材料の社会実装は、省エネルギーや環境負荷低減を推進するための重要な取組課題の1つである。鉄鋼材料の高強度化は緻密に配置された異相界面組織により実現されるが、その一方で組織の不均一化によって腐食感受性は上昇するため、異相界面組織の腐食特性をナノ・ミクロレベルで評価する技術が必要である。ここでは、耐食性に優れた高強度鉄鋼材料設計指針を得ることを目的としたKFM、EBSDおよびEDSのマルチモーダル腐食解析を紹介する。

新規性・独創性

KFMによる、異相界面のナノ・ミクロスケール表面電位マッピング
EBSDによる、異相界面の結晶方位マッピング
EDSによる、異相界面の元素偏析マッピング
上記3つの異なるマッピング手法を統合したマルチモーダル腐食解析

内容

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KFM-EBSD-EDS解析には、KFM測定箇所とSEM-EBSD-EDS測定箇所をナノ・ミクロスケールで一致させる必要がある。このため、KFM測定において表面電位像と同時に得られる表面凹凸像をSEM像と照合させることにより、マルチモーダル解析を実現した。これにより、EBSD解析による異相界面の結晶整合性に基づく耐食性評価と、KFM解析による初期腐食反応の検出、EDS解析による腐食前後の元素偏析評価など、これまで個別に議論されていた実験データを1つに統合して包括的な腐食挙動研究が可能となった。上の図は、フェライト-パーライト鋼についてマルチモーダル解析を行った結果を示しており、EBSD解析によって結晶整合性が低いと判定されたフェライト-セメンタイト異相境界では、KFM解析によって初期腐食に伴う表面電位低下とともに孔食が確認され、さらにEDS解析から腐食反応にはMnとCの偏析が関係していることが明らかとなった。このようなマルチモーダル腐食解析手法を用いた研究は世界的にも報告例が少なく、構造材料の腐食挙動メカニズムに関する基礎・基盤研究の強化に貢献するとともに、ナノ・ミクロスケールの結晶組織に基づく構造材料の耐食性評価、さらに耐食性に優れた高強度鉄鋼材料設計技術の開発に寄与することが期待される。

まとめ

KFM-EBSD-EDSのマルチモーダル腐食解析の実現
ナノ・ミクロスケールの結晶組織に基づく構造材料の耐食性評価
耐食性に優れた高強度鉄鋼材料設計技術の開発

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