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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Michio Matsumoto, Lauren Valentino, Gregory M. Stiehl, Halleh B. Balch, Amanda R. Corcos, Feng Wang, Daniel C. Ralph, Benito J. Mariñas, William R. Dichtel. Lewis-Acid-Catalyzed Interfacial Polymerization of Covalent Organic Framework Films. Chem. 4 [2] (2018) 308-317 10.1016/j.chempr.2017.12.011
- Kewei Sun, Orlando J. Silveira, Yujing Ma, Yuri Hasegawa, Michio Matsumoto, Satoshi Kera, Ondřej Krejčí, Adam S. Foster, Shigeki Kawai. On-surface synthesis of disilabenzene-bridged covalent organic frameworks. Nature Chemistry. 15 [1] (2023) 136-142 10.1038/s41557-022-01071-3 Open Access
- Michio Matsumoto, Linawati Sutrisno, Katsuhiko Ariga. Covalent nanoarchitectonics: Polymer synthesis with designer structures and sequences. Journal of Polymer Science. 61 [10] (2023) 861-869 10.1002/pol.20220755 Open Access
口頭発表
- SUN, Kewei, Orlando J. Silveira, MA, Yujing, Yuri Hasegawa, MATSUMOTO, Michio, Satoshi Kera, Ondřej Krejčí, Adam S. Foster, KAWAI, Shigeki. On-Surface Synthesis of Silicon Incorporated Carbon Nanostructures. 15th International Conference on Atomically Controlled Surfaces, Interfaces and Nanostructures (ACSIN-15) . 2024
- MATSUMOTO, Michio. Precise positioning of hetero atoms in 2D network structures - design and synthesis of 2D polymers. INTERNATIONAL CHEMICAL CONGRESS (ICC - 2023). 2023 招待講演
- MATSUMOTO, Michio. Introducing heteroatoms in synthetic 2D polymers – sulfur and silicon. The 11th Singapore International Chemistry Conference. 2022 招待講演
その他の文献
- 松本 道生, 相田卓三, 相田卓三. 多点相互作用を誘起するイオン液体・オリゴマーイオン液体―グラフェンの高効率合成・高キャパシタンス電解質の実現. 和光純薬時報. (2019) 5-7
- 松本 道生. ルイス酸触媒を用いたCOFの室温合成と界面重合シートによる水浄化 – 膨大な数の原子を精緻につなげる合成化学. NIPPON KAGAKU KAISHI. (2020) 704-705
所属学会
日本化学会, 高分子学会
受賞履歴
- 高分子学会 高分子研究奨励賞 (2024)
- 花王芸術・科学財団 花王科学奨励賞 (2023)
- エヌエフ基金 研究開発奨励賞優秀賞 (2020)
- 日本化学会 若い世代の特別講演証 (2020)
- 日本化学会 第99春季年会優秀講演賞(学術) (2019)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
合成二次元有機高分子の新規合成法と物性開拓
二次元高分子,共有結合性有機構造体, ネットワーク高分子,多孔性材料,水浄化膜
概要
2次元高分子は数原子の厚さを持ち、平面方向に原子が規則正しく並んだシート状化合物である。グラフェン発見以来、2次元高分子の特異な物性報告が相次ぐ中、その合成化学はいまだに黎明期にある。我々はこの二次元高分子の合成法として共有結合性有機構造体(COF)に注目して研究を進めている。これまで、その優れた電子物性を志向した材料の分子設計法から、触媒開拓を通した初の室温COF合成の達成、炭素と同族のSiを含んだ2次元高分子の開拓、界面重合を用いた二次元高分子薄膜の単離とその水浄化膜への応用等の成果を報告している。
新規性・独創性
● 精緻かつ自在に原子を配列可能な新規二次元材料の創生
● 電子物性を制御可能な合成二次元材料
● 自在に原子配置を行うことのできる多孔性分子分離膜
内容
これまで得られてきたCOF材料は不溶性の粉末であり、その応用用途への展開が限定的であった。我々は金属トリフラート触媒を用いることでCOFの室温合成に初めて成功し、さらにその条件を液相界面重合法へと展開することでCOFの薄膜合成に成功した。COF薄膜は有機小分子を水中から除去することのできる水浄化膜としての応用が検証された。(左図)
我々はヘテロ原子の配列の違いによる電子物性の違いがあることを、対称性と非対称性の縮環トリチオフェン(BTT)それぞれからなる二次元COFを計算科学手法を用いてバンド構造計算を行うことで明らかにし、実際に非対称性BTTを金属表面上で重合することで非対称性BTTからなる二次元高分子の合成に成功した。また同様の金属表面でのCOF合成法を用いることで、炭素と同族のケイ素を含むCOFの合成にも成功した。ヘテロ原子を自在に並べることで新しい電子物性をもつ二次元材料を新たに開拓することができる。(右図)
まとめ
COFが実現するバルク有機材料のボトムアップ合成法は、グラフェンなどの特異な性質を示す天然の多次元構造物の合成代替、さらにはそれらを凌駕する機能を持った合成化合物を生み出す可能性を提供する。一方、現時点で得られるCOFの結晶子の大きさは最大でも100 µm程度であり、いまだにその合成に技術的課題を多く抱えている。反応条件のさらなる向上や分子設計法の進展により新たなデザイナー材料として分離膜や半導体材料の分野で大いに発展させることができると期待している。