SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

電解液、次世代二次電池、多価金属電池、結晶構造解析、分子設計

所属学会

イオン液体研究会, 電気化学会, 日本化学会, Electrochemical Society, International Society of Electrochemistry

エネルギー・環境材料研究センター
タイトル

構造特性に基づく元素戦略蓄電池材料の創製

キーワード

元素戦略蓄電池,ユビキタス元素,マグネシウム,ナトリウム,構造化学,有機合成,界面設計

概要

ユビキタス元素を利用した元素戦略蓄電池は、再生可能エネルギーの高効率化に資する基盤蓄エネルギー技術として実現が期待されている。マグネシウムイオンやナトリウムイオンの電極間輸送を駆動力とする元素戦略蓄電池では、各元素固有の化学的性質に基づいた材料開発が求められる。種々の解析技術により抽出した構造特性から電気化学/溶液化学特性相関を導き出すとともに、計算科学およびデータ駆動型手法との有機的連携により有望材料を探索・設計し、有機合成/ナノ材料合成技術により具現化することで、革新的新材料を創製する。

新規性・独創性

結晶構造と振動分光を併用することで電気化学活性種構造を同定し、電気化学特性支配因子を解明
計算科学に裏付けされた電解質材料の設計と有機合成技術による具現化
マグネシウム金属蓄電池用非腐食性電解液として、負極反応効率99.4%超の世界最高性能を達成
緻密な系統研究に基づき、電解液溶存酸素によるマグネシウム金属の不活化機構を究明
人工保護被膜による金属電極の活性制御

内容

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マグネシウム塩と有機溶媒からなるマグネシウム金属蓄電池用電解液において、ホウ素系マグネシウム塩の網羅的な化学構造-電気化学特性相関解析により、マグネシウム金属負極に好適なマグネシウム塩の骨格構造を究明した。さらにホウ素を同族元素のアルミニウムに置換することでさらなる性能向上が見込めることが計算化学的に示され、有機合成によりそれを具現化し、仮説を実験的に実証した。加えて、溶存化学種の結晶構造解析から、特性向上の構造化学的要因を解明した。最適組成の電解液は、当初98%程度であった負極反応効率を99.4%という世界最高水準まで引き上げることに成功、マグネシウム金属蓄電池実現の最大のボトルネックである電解液の課題を解消するに至った。

緻密かつ系統的な実験-検証により、電解液・溶存酸素・マグネシウムの三相境界面に生じる超高抵抗が、大気下でのマグネシウム金属負極の電気化学活性の喪失を引き起こすことを発見した。金属マグネシウムの高い還元力を利用して、酸素透過を抑制する人工亜鉛被膜をマグネシウム金属表面に形成させることで(a)、溶存酸素によるマグネシウムの酸化を抑え、不活性化を抑制することに成功した(b)。この成果を実用化すれば、既存のリチウムイオン電池の生産ラインをマグネシウム金属蓄電池生産用に転換して利用できるという、極めて画期的な基盤技術である。

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まとめ

世界最高性能のMg金属蓄電池用革新電解液を異分野融合研究により実現
電池製造システムの構築において根幹をなす、革新的なMg金属用人工保護被膜を開発
要素技術や知見をナトリウム、カルシウム、亜鉛蓄電池に水平展開し、元素戦略蓄電池のサイエンスを深化、実電池化へと繋げる

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