- Address
- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
学生受け入れ中
外部併任先
- Adjunct Professor, Center for Energy Systems Design (CESD), International Institute for Carbon-Neutral Energy Research (WPI-I2CNER), Kyushu University, 744 Motooka, Fukuoka 819-0395, Japan
- Principal Investigator, CNRS-Saint-Gobain-NIMS, IRL 3629, Laboratory for Innovative Key Materials and Structures (LINK), 1-1 Namiki, 305-0044 Tsukuba, Japan
研究内容
- Keywords
Generative AI, Active Learning, Bayesian Optimisation, Knowledge Retrieval, Crystal Structure Generation, Molecular Structure Generation, Materials Design, Language Models, Deep Learning, Machine Learning, Natural Language Processing, Organic/Inorganic Chemistry
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
マテリアル基盤研究センター
AI駆動型材料探索:スモールデータから生成AI・自律実験・合成プロトコル設計へ
生成AI, アクティブラーニング, ベイズ最適化, 自律実験, マテリアルズインフォマティクス, 材料設計, 合成プロトコル, 結晶構造生成, 分子設計, 大規模言語モデル, 知識抽出, 不確かさ定量化, スモールデータ, プロセス最適化, 逆設計, 自己駆動型研究室
概要
研究のポイント:
• 私の研究では、量が少なく、不均一で、取得コストの高い材料データから、実験に直接活用できる科学的意思決定を導くための人工知能(AI)手法を開発しています。
• 機械学習を単なる予測手法として利用するのではなく、スモールデータ学習、アクティブラーニング、ベイズ最適化、不確かさを考慮したモデリング、生成AI、大規模言語モデル、知識抽出、自律実験を統合し、材料探索のクローズドループを構築することを目指しています。
• 対象は、分子、組成、合成・プロセス条件、微細組織、結晶構造など、材料を記述する複数の階層にわたります。ポリマー・接着剤、永久磁石、熱電材料、二次電池、構造材料、セラミックス、分子材料、無機材料など、幅広い材料系に適用してきました。
• 代表的な成果として、少量データから記述子を用いずに分子物性を予測する SMILES-X、エポキシ接着剤・Nd–Fe–B磁石・熱電材料プロセスのアクティブラーニング最適化、AIと自動実験ロボットを組み合わせたLi–O2電池用電解液探索、合金微細組織の生成AI、材料科学文献からの知識抽出・評価のための大規模言語モデル、ならびに実験向けアクティブラーニング/ベイズ最適化ソフトウェアなどがあります。
• 現在は特に、実行可能な合成プロトコルやプロセス履歴、実験制約そのものをAIの設計変数として扱う「合成起点(synthesis-first)の材料探索」を推進しています。これにより、AIが提案した材料候補と、再現可能な実験・合成とのギャップを縮めることを目指しています。
• これらの研究は、NIMS内の異分野研究者、国内外の大学・研究機関、企業との共同研究を通じて進めるとともに、欧州、北米、アジアなど世界各国から受け入れる学生・研究インターンの指導にもつなげています。
新規性・独創性
• 予測から科学的意思決定へ: 高精度な機械学習モデルを構築すること自体を目的とせず、「次にどの実験、組成、プロセス条件、構造、あるいは合成経路を調べるべきか」を導くAIを重視しています。
• スモールデータに適したAI: 材料科学では、高品質な実験データが数十~数百点しか得られないことも一般的です。そのため、データ効率、アクティブラーニング、ベイズ最適化、不確かさ評価、解釈可能なモデリングを中心に研究しています。
• 複数の材料階層を横断する材料設計: 分子表現・化学組成から、実験プロセス、微細組織、無機結晶構造まで、共通するデータ駆動型研究原理を異なる階層へ展開しています。
• 実験とのクローズドループ統合: AIから得られる提案を、人または自動化された実験へ直接接続し、新たに取得したデータから繰り返し学習する研究サイクルを構築しています。
• 構造生成にとどまらない生成AI: 分子、微細組織、結晶構造だけでなく、科学知識や実行可能な合成プロトコルそのものへの生成AIの応用を研究しています。
• 科学知識から実験へ: 大規模言語モデルや情報抽出技術を用いて、論文や既存実験データに含まれる知識を構造化し、再利用可能な材料データへ変換する研究を進めています。
• 研究手法を実際に使える基盤へ: SMILES-X やアクティブラーニング/ベイズ最適化ツールなど、研究成果をソフトウェア、データセット、再利用可能なワークフローとして展開しています。
• 異分野への高い展開性: 共通するAI方法論を化学的・物理的に大きく異なる材料問題へ展開し、実験研究者や企業研究者と新しいデータ駆動型研究を迅速に立ち上げています。
内容
データ・AI・実験を一体化する材料研究:
• 私の研究では、材料科学に共通する根本的な課題、すなわち「実験コストが高い」「データが少ない」「探索空間が極めて大きい」「材料性能が組成や構造だけでなく、合成履歴、プロセス条件、微細組織にも依存する」という問題に取り組んでいます。
• スモールデータ学習と分子設計。SMILES-Xでは、タスクごとに人手で設計した記述子を用いることなく、SMILES文字列から直接分子物性を学習し、注意機構によって予測の解釈も可能にしました。この研究は、少量データに適した分子物性予測および逆分子設計へと発展しています。
• アクティブラーニングとベイズ最適化。過去の実験データを学習するだけでなく、「次にどの実験を行うべきか」を機械学習モデル自身が提案する研究を進めています。接着剤組成、永久磁石、熱電材料をはじめ、多様な材料組成・プロセス最適化へ適用してきました。熱電材料では数回の実験サイクルで大幅な性能向上を実現し、Nd–Fe–B磁石では高い磁気特性を得るための製造条件探索へ適用しました。
• 自律・ロボット実験。Li–O2二次電池研究では、データ科学と自動電気化学実験ロボットを直接連携させ、多成分電解液の巨大な探索空間から有望な組成を効率的に探索し、実験的に検証された電解液候補へ到達しました。
• 材料表現を横断する生成AI。生成AIを分子構造だけでなく材料微細組織にも展開しています。例えば、限られた顕微鏡画像から高い現実性をもつ合金微細組織を生成するため、StyleGAN系モデルを材料科学へ適用しました。現在は、無機結晶生成、生成分布の評価、独立した物理モデルによる検証などへ研究を拡張しています。
• 科学言語モデルと知識抽出。大規模言語モデルが材料科学をどこまで理解できるのかを定量的に評価するとともに、科学論文から実験情報を構造化して抽出する研究を進めています。
• 信頼できるAIと合成起点の材料探索へ。現在は、不確かさの較正、分布外汎化、数値計算の不確かさ、AI生成候補の独立検証などにも取り組んでいます。さらに、合成プロトコル・構造・物性の関係をAIが学習し、実際に実行可能で再現性のある合成経路を提案する「合成起点」の材料探索を重要な研究方向としています。
共同研究・社会実装・国際的な研究人材育成:
• 私の研究の大きな特徴は、AI手法をベンチマークデータだけで評価するのではなく、各分野の専門研究者と共同で開発し、実際の材料研究課題へ適用・検証することです。
• NIMS内では、データ駆動型材料研究に加えて、磁性材料、エネルギー材料、熱電材料、構造材料、材料合成など、多様な研究分野との連携を進めています。国際的には、CNRS–Saint-Gobain–NIMS国際連携研究所LINKをはじめ、フランスを中心とした海外の大学・研究機関との共同研究を展開しています。また、鉄鋼・合金微細組織、磁石、ポリマー・接着剤、機能材料、材料組成、製造プロセス最適化など、産業応用に直結する研究にも取り組んでいます。JFEスチールとの合金微細組織生成研究は、その公開事例の一つです。
• 私は多くのプロジェクトにおいて、材料科学、物理、計算科学、実験の境界領域を担当しています。すなわち、実験研究者の科学的な問いをAIで扱える問題へ変換し、限られたデータから何が本当に学習可能かを検討し、計算ワークフローを構築・検証し、次に行うべき実験を提案し、最終的に得られた結果を材料科学として解釈することを重視しています。
• この考え方は学生・インターンの指導にも反映しています。欧州、北米、アジアなど世界各国の大学からNIMSへ来訪する学生や研究インターンを継続的に指導・共同指導しています。研究テーマは、アクティブラーニング、ベイズ最適化、生成AI、結晶生成と検証、合成・プロセス・物性関係、科学情報抽出、不確かさ定量化、AIによる実験設計など、多岐にわたります。
指導では単に機械学習手法を習得するだけでなく、
科学的問い → データと仮説 → 計算手法 → 不確かさと検証 → 実験・物理的解釈 → 再現可能な研究成果
という研究の全プロセスを経験することを重視しています。
• これらの研究の多くは、学術論文、再利用可能なソフトウェア、研究データセット、特許、あるいは長期的な国際共同研究へ発展することを念頭に設計しています。
• 最終的な目標は、AIによって研究者の専門知識を置き換えることではなく、科学的理解、実験判断、物理的洞察をAIによって増幅する新しい材料研究環境を構築することです。
まとめ
私の研究を貫く中心的な問いは、
• 「人工知能によって、材料科学を単なる予測から、効率的で信頼でき、実験に直接つながる材料探索へどのように発展させられるか」
というものです。
• スモールデータ機械学習、アクティブラーニング、ベイズ最適化、生成AI、大規模言語モデル、不確かさを考慮した手法、自律実験を組み合わせ、分子、材料組成、製造プロセス、微細組織、結晶構造まで幅広い対象へ展開しています。
• 研究はNIMS内の研究者、海外の大学・研究機関、企業、そして世界各国から受け入れる学生・研究インターンとの共同研究を基盤として進めています。
• 目的は単に「より良い材料を予測する」ことではありません。
科学知識・データ → 意思決定 → 実験 → 合成・プロセス → 検証された材料
という研究全体の流れを短縮し、より再現性が高く、データ効率に優れ、科学的に解釈可能な材料探索を実現することを目指しています。





