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NIMS Awardシンポジウム2026

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研究内容

Keywords

金属積層造形, プロセス最適化, 微細組織制御, 高温力学特性評価

金属積層造形法(Metal Additive Manufacturing、金属3Dプリンティング)は、従来の鋳造や鍛造では困難であった複雑形状を直接製造でき、金属部材の設計・製造を大きく変える技術である。レーザ等の熱源を用いる金属積層造形プロセスは、局所的な溶融と急冷凝固、さらに熱源走査や積層に伴う複雑な熱サイクルを特徴とする。そのため、積層造形材は従来の鋳造材や鍛造材とは異なる熱履歴を経て形成され、積層造形特有の微細組織や材料特性を示す。 このような造形プロセスが微細組織の形成や材料特性の発現にどのような影響を及ぼすかを解明し、プロセス・組織・特性の相関を体系的に理解することが、基盤研究における重要な課題である。さらに、この本質的な理解をさらに発展させて、製品に求められる性能を最大限に引き出すための組織制御や造形プロセスの最適化を進め、さらには目標とする材料特性から逆算した原料合金の設計・開発へと研究を展開することを目指している。

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出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      日本非破壊検査協会, 日本機械学会, 日本鉄鋼協会, 日本溶射学会, 日本AM学会, 日本金属学会

      構造材料研究センター
      タイトル

      積層造形法による耐熱超合金部材の高性能化に関する研究

      キーワード

      金属積層造形, プロセス最適化, 微細組織制御, 高温力学特性評価

      概要

      金属積層造形法は、従来の鋳造や鍛造では困難であった複雑形状を直接製造でき、金属部材の設計・製造を大きく変える技術である。耐熱超合金の積層造形材についても、航空機エンジン等の高温構造部材への応用が期待されている。金属積層造形法のプロセスとしての特徴は、局所的な溶融と急冷凝固、さらに熱源走査や積層に伴う複雑な熱サイクルにある。そのため、積層造形材は従来の鋳造材や鍛造材とは異なる熱履歴を受け、微細組織や材料特性も従来材とは異なる。加えて、耐熱超合金の積層造形材を実用化する上で特に重要な課題が、耐熱超合金の割れ感受性の高さである。すなわち、造形時における割れを含む欠陥形成を抑制しつつ、高温環境における強度や寿命を向上させることが重要な課題である。 この課題の解決に向けて我々は、割れ感受性の高い耐熱超合金IN738LCを対象として、レーザ粉末床溶融結合法(Laser Powder Bed Fusion, L-PBF)におけるプロセス・組織・特性の相関を軸に、 I. フィードバック温度場制御 II. データ駆動型探索による欠陥抑制造形条件の確立 III. 高温力学特性評価 の3テーマを体系的に進めた。これらの一連の研究により、欠陥抑制、組織制御、力学特性向上を統合した、実用化に資する耐熱超合金L-PBF材の開発を実現した。これにより高温・高負荷環境への積層造形材の適用がさらに拡大し、航空機エンジンなどの燃焼効率改善に貢献すると期待される。

      新規性・独創性

      ・プロセス、微細組織、力学特性の相関を軸として、体系的な理解による課題解決を目指した。 ・造形中の冷却過程に寄与する因子を定量的に解明し、その成果を温度場制御法に応用した。 ・複数のレーザ照射パラメータが複雑に影響することから、データ駆動型探索を取り入れた。

      内容

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      I. フィードバック温度場制御 L-PBFにおけるレーザ照射条件が欠陥形成や組織形成に及ぼす影響については、これまでに多くの研究が積み重ねられてきた。一方で、投入された熱が造形物内部でどのように拡散するか、すなわち冷却過程については十分に検討されてこなかった。我々は、冷却過程に影響する因子として部材形状と、造形条件のひとつである層間インターバルに着目し、温度場モニタリングおよび有限要素熱解析により、そのメカニズムを定量的に解明した。さらに、この知見を造形中の温度場フィードバック制御へ応用し、過剰な高温状態を回避しつつ、微細組織や力学特性が部位ごとに段階的に異なるIN738LC部材を創製した。
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      II. データ駆動型探索による欠陥抑制造形条件の確立 L-PBFでは、原料粉末層をレーザで選択的に溶融・凝固させるため、レーザ照射条件に応じて造形材の内部欠陥や微細組織が大きく変化する。割れ感受性の高いIN738LCでは、複数のレーザ照射パラメータが欠陥形成に複雑に寄与するため、高品質造形条件の特定が極めて難しい。この課題に対し我々は、多数のレーザ照射条件についてIN738LC造形材の欠陥データを系統的に取得し、き裂密度および欠陥率のプロセスマップを構築した。これにより、高密度かつ低き裂密度で造形可能な条件範囲を特定し、ブレード模擬形状においても欠陥を抑制した高密度造形に成功した。さらに、因果分析により割れに寄与する微細組織特徴量を特定し、微細割れ形成メカニズムの理解を進展させた。 III. 高温力学特性評価 IおよびIIの成果に基づいて作製したIN738LC積層造形材は、精密鋳造材と同等以上の優れた高温引張特性を示した。これは、微細割れなどの欠陥が抑制されていることに加え、一方向凝固材のように造形方向に延びた柱状晶から成るL-PBF組織に起因すること明らかにした。さらに、熱処理条件の改良による組織制御でクリープ特性を大幅に向上させることに成功した。

      まとめ

      以上の成果により、我々は、耐熱超合金L-PBF材の実用化に向けた主要課題である欠陥抑制と高温力学特性向上にういて、プロセス・組織・特性の相関に基づいて解決する研究指針を示した。これは、IN738LCをはじめとする割れ感受性の高い耐熱超合金の積層造形技術を高温構造部材へ展開するうえで重要な基盤となるものであり、金属材料学および積層造形分野に大きく貢献する成果である。
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