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電子・光機能材料研究センター
タイトル

固体量子光源の開発

キーワード

量子光源,単一光子源,量子もつれ,量子ドット,量子通信,量子情報操作

概要

情報技術の加速度的な発展を背景に、通信セキュリティの確保が、喫緊の課題となっている。情報の漏洩を一切許さない、究極的に安全な通信手法が、量子暗号通信である。従来の光通信では、情報のキャリアとして、レーザー光パルスを用いてきた。一方、量子暗号通信では、情報のキャリアとして、単一光子のパルスを用いる。そのため、伝送距離は、石英ファイバーの透過長である100km以下に制限されていた。より長距離の通信には、未踏技術である量子中継器の開発が必要である。そのためには、非局所的な量子相関を持つ光子(量子もつれ光子)を発生する、高効率量子光源の開発が求められている。

新規性・独創性

量子中継の実現や量子もつれでつながった大規模量子インターネットの構築には、オンデマンドな単一光子や量子もつれ光子対の発生が必須。これを実現できるのは量子ドット光源のみ。
NIMS 独自の量子ドット作製技術を活用。可視〜通信波長の光子発生を実現。
半導体ベースのため、LED等のデバイス化や導波路構造へのオンチップ化も容易。

内容

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NIMS独自の量子ドット作製技術である液滴エピタキシー手法を高精度化し、光学的異方性を根絶した理想的・等方的なGaAs量子ドットの作製に成功。偏光量子もつれの発生を観測、世界最高値の忠実度を見出した(2013年、図1)。その後、応用を目指し、外部レーザー要らずの電流注入LEDデバイス化に成功(2018年)。また通信応用を目指して、石英光ファイバーの最大透過波長である1.55µmでの単一光子発生に成功した(2019年、図2)。動作温度の向上により、大型冷凍機要らずの、ポータブルな光源デバイス(図3)を目指す開発を進めている。

まとめ

量子もつれが発生可能な高品質量子ドットを世界に先駆けて開発に成功。次世代量子通信技術への応用を目指し以下の研究開発を推進する。
バンドギャップ・エンジニアリングによるアプリケーションに応じた波長の実現
量子中継を可能とする理想もつれ光子源の創生と量子中継等の量子操作の実証

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