SAMURAI - NIMS Researchers Database

NIMS一般公開2024

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研究内容

Keywords

分極反転、擬似位相整合、非線形光学

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
書籍
会議録
口頭発表
その他の文献

所属学会

応用物理学会, 日本光学会, レーザー学会, OPTICA, レーザー学会, OPTICA(旧Optical Society of America: OSA)

電子・光機能材料研究センター
タイトル

分極反転非線形光学デバイスによる量子光制御

キーワード

分極反転,擬似位相整合,非線形光学,相関光子対,量子光

概要

量子光の発生・制御は新たな通信や計測の手法として注目されている。NIMSが研究を進めてきた分極反転非線形光学デバイスは、高効率であるため光子数の少ない状況でも動作し、量子光発生・制御に優れた特性を示す。材料およびデバイス形態に関して、NIMSでは多様な知見を有し、研究開発を進めて来た。非線形光学材料・デバイスにおける、新たな設計および作製技術を用いて、量子光の制御に展開してきている。高帯域な相関光子対発生や量子光パルスの高速サンプリングなどが実現されており、量子計測や量子メモリの研究に多大な貢献をなしている。

新規性・独創性

微細加工による精密な分極反転技術を基に、GaN半導体レーザー(波長400nm帯)のような短波長レーザーで励起できる高効率非線形光学デバイスが可能になっている。これには短波長光の損傷に強いNIMS発のMg:SLT結晶が大きく貢献している。分極反転を用いないデバイスに比べ100倍高い効率が得られ、拡がった設計マージンにより微細加工技術で周期を滑らかに変化させた帯域拡大デバイスが可能になっている。材料技術、分極反転技術に導波路技術を組み合わせることで、世界最高効率のデバイスが実現されている。分極反転非線形光学デバイスは、THz帯域をもつ相関光子対光源、時間分解能200fsをもつ超高速光サンプリングデバイスなど独創的なデバイスに到達している。

内容

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NIMSでは分極反転による擬似位相整合デバイスの技術を成熟させたことで、多彩なデバイスの設計が可能になった。微細加工による高精度分極反転技術を活用した高効率デバイスが実現され、レーザーディスプレイ、超高速通信、光サンプリングなどの様々な用途で卓越した特性が実証されている。ここでは多様な応用群の中から、高エネルギーの励起光から低エネルギーの相関光子二光子を発生させる場合を図1に示してある。位相整合のタイプに応じて出射光の偏光の組合せを選ぶデザインができる。分極反転パターンによって偏光の組合せを自在にデザインできる「分極反転デバイスの設計自由度」が活かされている。タイプ0は高効率が得られるため量子計測や量子テレポテーションに、タイプIおよびタイプIIは偏光分離特性を活かして量子通信などに適用することができる。研究レベルでは量子計測や量子イメージングへの展開も実証実験が行われており、量子通信では既にその高い秘匿性から実用システムが市場投入されている。我々は分極反転パターンを選択することで、発生光子対の偏光タイプや発生帯域の設計を柔軟に行っている。またこれらにスラブ導波路およびリッジ導波路の構造を組み合わせることで、各量子相互作用に最適なデバイスが得られている。
GaN半導体レーザー励起による相関光子対発生が実現されている。一般に出力が小さいGaNレーザーを用いて量子光発生を行うのは困難であり、低い効率にとどまる。しかし我々は、導波路コアをNIMS発の材料であるMg:SLT結晶として接着スラブ導波路を世界で初めて作製し、強い閉じ込め効果による高効率デバイスを獲得している(図2)。従来のバルクMg:SLTを使用したデバイスに比べて約10倍高い効率が得られている。デバイスは光入射において横方向の自由度を維持しているため非直線の相関光子対発生も可能にしている。この技術により相互作用長の選択や発生波長の帯域拡大、光子対の空間的分離などが得られ、光子対の特性や光学系の選択において自由度が高くなっている。今回の接着スラブ導波路構造においては周期3.2μmの微細分極反転構造が共存している。これにより、小型の高効率相関光子対光源を量子光波長800nm帯で実現できている。Mg:SLTの特性を活かすことで、GaNの短波長400nm励起でも損傷が少なく損失も小さく抑えられている。またMg:SLT結晶は、他の波長でも高い損傷耐性を有することから超短パルス光による光和周波発生サンプリングにも適用しており、高い効率と時間分解能が両立できている。

まとめ

NIMSが長く研究してきた分極反転非線形光学デバイスは、量子光制御の中心的なデバイスとなり、多くの機関で利用されている。様々なデバイス形態が、量子相関光子対光源への道を開き、量子光発生・制御の新たなステージに到達した。GaN半導体レーザーを電池駆動することで、レーザーポインターサイズの量子相関光子対光源も可能になり、小型の光源は量子イメージングや量子顕微鏡への搭載を可能にする。

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