SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

半導体量子系、超伝導薄膜、酸化物薄膜、磁性体薄膜、量子ホール効果

量子科学技術のための固体材料の開発を目指しています。量子状態を制御・観測するためには、欠陥や不純物を極限まで低減させた極めて高い品質の材料が求められます。本グループでは高品質材料を作製する技術に加えて、量子機能性を引き出す界面・表面制御や微細加工の手法開発を進めています。また、量子状態計測のための材料開発も行い、システム全体としての性能を向上させることを目指しています。

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出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
会議録

所属学会

応用物理学会, 日本物理学会, Materials Research Society

受賞履歴

  • 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 (2018)
  • 第27回井上研究奨励賞 (2011)
  • フジサンケイビジネスアイ 第24回先端技術大賞 ニッポン放送賞 (2010)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル

量子情報素子材料開発

キーワード

半導体,超伝導,磁性体,量子ビット,薄膜,接合,構造解析,微細加工,低温計測,マイクロ波

概要

量子計算機は情報セキュリティや材料開発、創薬、金融などさまざまな分野での応用が期待されるが、その開発にはデバイス作製、冷却技術、高周波量子計測まで他分野に渡る高度な技術が必要である。これまでは、既存の材料を用いて量子計測に焦点を当てた研究が進められてきた。しかし、抜本的に性能や歩留まりを改善するには、量子システム構築の土台である材料から見直すことが有効である。NIMSでは、量子ビット及びその制御・検出に関わる材料の開発を進めている。多岐に渡る材料作製手法や異種材料界面作製手法、微細構造作製プロセス、材料解析・分析手法を駆使し、量子ハードウェアの性能向上と多様性の深化へ向けて、新たな材料系を提案し実証する。

新規性・独創性

電子コヒーレンスの高い新規半導体材料作製手法の開発
量子ビットを構築する新規材料の微細加工プロセス技術の開発
量子ビットの効率的な制御や信頼性の向上を目指した超伝導体や磁性体の開拓
半導体と超伝導体の界面を用いたエラー耐性のある新たな原理の量子ビット系構築
量子制御・検出のための低温で動作する素子のための新たな材料の開発

内容

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量子計算機は従来の計算機の性能をはるかに凌駕し、複雑な状況の計算を可能とするが、現状ではノイズへの耐性が十分ではなく、その改善を目指して多くの研究がおこなわれている。しかし、量子情報の制御や検出に関わるハードウェアのリソースが現在の量子計算機の1万倍程度必要とされ、今の技術の延長では開発の道筋が明らかとなっていない。NIMSでは、量子計算機ハードウェアの個別の問題を解決するため、使用されている材料を抜本的に見直し、より制御性や歩留まりのよい材料・接合の作製および微細加工プロセスの開発を行っている。これまで量子計算機に用いられてきた材料は、超伝導体ではアルミやニオブ、半導体ではシリコンなど従来から応用されてきた標準的な物質であったが、酸化物や窒化物、合金材料など物質の範疇を限定せず、量子計算機への応用可能性を模索する。1例として、高品質酸化物を半導体として用いた量子ビットの実証を進めつつあり、セラミックスに特徴的な動作安定性や金属との電気的接触の取りやすさなど、従来の半導体に対する優位性が明らかとなってきている。また、量子ビットだけでなく、量子制御や検出に用いられるマイクロ波送信・受信ラインには超伝導体や磁性体を用いた部品が数多く存在するため、市販品では対応できない形状や特性の素子の開発も目指している。

まとめ

量子計算機の性能向上のため、ハードウェアに使われる材料を抜本的に見直し、材料の作製から微細加工、特性評価を行っている。材料の物理的、化学的特性を見極めることで、従来の材料より優れた性能が観測されはじめている。量子計算機の材料開発は性能向上につながるだけでなく、量子技術の多様性を生み出し、新しい科学と応用の幅を一層広げる礎になると期待される。

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